はじめに
皆さんは、日頃どのようにして暗記に取り組んでいますか?
どんな科目も暗記だけで攻略することは出来ませんが、基礎知識の暗記はその科目を勉強する上での大切な土台となります。
基礎知識が頭に入りきっていない状態で応用問題や発展問題に取り組んでも、成績はなかなか安定しません。
暗記がなかなか進まないと、科目の得意・不得意に結びつけて考えがちですが、実は暗記法を変えたり、ちょっとした工夫をしたりするだけで、簡単に克服できるものがたくさんあります。
もし1時間に10個しか覚えられなかった英単語や古語が、30個覚えられるようになれば勉強の効率もぐっとあがりますよね。
そこで今回は、受験に必要な知識を効率良く吸収していくための6つのステップをご紹介します。
目次
効果的に暗記するための6つのステップ
方法1.声に出して覚える
知識は、頭の中で反復するだけでなく、声に出して書きながら覚えると記憶に残りやすいと言われています。
書くだけでなく自分の声を聞くことで、手・耳・口と三つの器官を同時に動かすことができ、脳がいつも以上に刺激されるからです。
この効果を最大限にするために、耳栓をして声を出すと、耳を塞いでいない時よりも自分の声がよく聞こえます。
自分の覚えたいことを紙に書きながらそれを読み上げ、自分の声をしっかり聞くと、暗記の効率はぐんと上がります。
耳栓で周囲の音が遮断されているので集中力が高まりますし、普段の勉強では出さない声を出すことで、新鮮な気持ちで暗記に取り組めるはずです。
他の人の迷惑にならないところ、例えば自室などで思う存分声を出してみてはいかがでしょうか。
方法2.まとまりとして知識を頭に入れていく
知識を頭に入れる際に大切なのは、脳内のどこにどのような知識を記憶するのか、できるだけリアルにイメージしながら整理することです。
タンスの引き出しが整理されていれば、着たい洋服もすぐに見つけられますよね。
それと同じように「記憶の引き出し」を頭の中につくり、同じ項目や単位でそろえられる知識を同じ引き出しに入れておくと、あとで欲しい記憶を取り出しやすくなります。
日本史を例とした場合、一番大きな枠は「旧石器時代」「鎌倉時代」「明治時代」といった時代区分です。
まずこのような基本的な大枠を一番大きな引き出しとして、頭に入れます。
そして、その引き出しの中に区切りを作っていくようなイメージで、細かい知識を覚えていきます。
「鎌倉時代」という引き出しならば、その中に「頼朝」「頼家」「実朝」「義時」「泰時」などと当時実権を握っていた人物の名前を引き出しの中の区切りとして仕切りを作ります。
そしてその区切りごとに各人物の在任中に起こった事件名や事件の詳細、その事件の起こった年号などの細かい知識を入れていきます。
このように、記憶の収まる場所を具体的にイメージしながら、大きなまとまりから細かい知識へと段階的に覚えていくことによって、内容を頭の中で整理して覚えることが出来ます。
そのため、覚えている箇所と覚えていない箇所が明確になり、復習をする際の効率も上がります。
暗記科目が苦手な受験生の多くは、細かい知識をばらばらと頭に入れてしまいがちです。
知識そのものはたくさんあるのに、その知識が全体の中でどこに所属するのかを整理できていないために「見たことはあるけど分からない」「以前覚えたのに思い出せない」などと、うまく記憶を引っ張り出すことが出来ないのです。
きちんと引出しに整理して覚えることで、スムーズに思い出すことが出来るようになります。
頭の中でうまくイメージできない人は、紙に引き出しを描いて、そこに入れる知識を書き込み、暗記の脳内イメージを描いてみましょう!
方法3. 物語を作って流れで覚える
絵を描くのがちょっと苦手な人は、物語をつくってみてはいかがでしょうか。
物語やストーリーの中で覚えた知識は記憶に残りやすいと言われています。
物語の中で情報を覚えると、「引き出し」と同じように具体的なイメージが頭に浮かぶので、物語の流れに沿って芋づる方式で記憶を呼び起こせます。
日本史や世界史の通史を覚える際などにとても役立ちます。
覚えようとしている人物がどういう外見の人だったのか自分で想像してみるのもいいですし、歴史マンガを読むのも効果的です。
マンガを読むと、出来事の背景や時代、人物名などが絵の記憶と共にまとまって頭に入るのでお勧めです。
また、少し頭をやわらかくして、自分でお話を考えてみてはどうでしょうか?
英単語や古文単語の場合は、単語の意味だけでなく文中でどう使われているか確認し、それに習って自分で自由に作文してみるといいです。
自分で考えた文章なら、あとで思い出しやすいですよね。
方法4.覚えたことを復習するところまで計画を
必要な知識が頭の中に収まる様子をしっかりイメージできたら、暗記スケジュールを作ってみましょう。
エビングハウスという心理学者によると、受験に多い「単純暗記した記憶」は、一時間後には半分以上、翌日には74%、一週間後には77%、一ヶ月後には八割近くほどが記憶から抜け落ちてしまうという実験結果が出ています。
せっかく知識を覚えても、どんどん忘れてしまうのでは悔しいですよね。
そこで大切なのが何度も暗記を繰り返して覚え直し、忘却を防ぐことです。
科目ごとに暗記スケジュールをたてて暗記を反復しましょう。
暗記を定着させるのに効果的な反復のタイミングは、覚えた知識をちょうど忘れてしまいそうな頃、つまり翌日以降、三日以内です。
だんだん反復の間隔をあけていき、暗記内容を「一時的な記憶」ではなく「自分の知識」にしてしまいましょう。
方法5.演習して覚えたことをアウトプットする練習をしておく
暗記の反復スケジュールの中にぜひ盛り込みたいのが、記憶を引き出しから取り出して使ってみることです。
きれいにタンスの引き出しを整理したものの、洋服を一回も着てみないのでは意味がありませんね。
記憶がある程度定着してきたと思ったら、問題演習でその知識を実際に取り出して使えるかどうか試してみましょう。
「ちゃんと暗記できていないから、問題演習で力試しなんてできない」という方がいますが、実際はその逆です。
つまり「知識がちゃんと暗記できていないから、演習ができない」のではなく「知識がちゃんと暗記できないのは、演習をやらないため」なのです。
暗記した知識は使えば使うほど、脳になじんでいきます。
数学や物理などの科目では特に、公式をむやみに覚えようとするのではなく、演習を繰り返して体にしみ込ませるのが一番です。
他の苦手だと思っている科目でも、何度も記憶の引き出しから出し入れして問題演習を繰り返していくうちに、暗記した知識がお気に入りの洋服のように思えて来るはずです。
引き出しがある程度整理できたら、それを取り出してみる練習をしましょう。
方法6.寝る前こそ暗記を
起きているときにフル稼働させているつもりの脳ですが、実は、わたし達が眠っている間もせっせと働いています。
特に眠っている間、脳は記憶の整理を行っているため、暗記に効果的な時間帯は寝る前であるといわれています。
脳科学者によると、就寝前2時間は「暗記のゴールデンタイム」だそうです。
この脳の働きを有効に活用して、勉強が終わってベッドに入る前に英単語をあと十個!覚えてみてはどうでしょうか?
ぐっすり寝ている間に整理された記憶を、朝もう一度確認すれば完璧です。
最後に
いかがでしたか?
もちろん、これまでに紹介した6つのステップを全てこなす必要はありません。
しかし、今からいろいろ試して自分に合うステップを見つけたり自分なりの暗記法を開発したりしておけば、苦手も克服できるし、これからの勉強時間をより密度の濃いものにできるでしょう。
入試を攻略するためには、広い範囲の知識を整理しながら効率的に身に着けていくこと、そして長期的にその記憶を保持し続けることが大切です。
暗記だけでなく自分に合う勉強法を見つけ、勉強に取り組んで下さいね!