【入試頻出テーマ】iPS細胞とES細胞の違いって?倫理的問題は何?

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ES細胞とiPS細胞の話は、入試でもよくある話題ですよね。
国語ではもちろん、英語の文章でも出てきます。

事前準備のために、一体何が問題なのか、簡単におさえておきましょう!

ES細胞とiPS細胞の違い

ES細胞とは

ヒトは受精卵から始まり、その分裂、分化(それぞれの細胞の役割決定)を経て出来上がります。

つまりヒトの受精卵は体の中のどんな細胞にもなれるのです。ヒトの受精卵と同じ万能な分化能力をもった細胞を、受精卵からヒトになるまでの発生の過程のごくごく初期(胚盤胞期という)の細胞を人工的に培養することによって手に入れる技術が確立されました。

この人工的な万能細胞をES細胞といいます。

iPS細胞とは

ES細胞と同等の能力をもつ細胞を、ヒトの皮膚などから手に入れる技術が確立されました。この技術で手に入る細胞をiPS細胞といいます。

ES細胞が受精卵をもとに作られるのに対し、iPS細胞はヒトの皮膚から手に入れることができるのです。

ES細胞の大きな課題と問題点

まずES細胞が発見され注目を集めました。
それは、ES細胞を培養して血管、歯などから心臓、肝臓に至まで様々な器官、臓器を作ることができるのでは、という「再生医療」の可能性を無限に広げることになったからです。

しかしここで大きな障害があります。ES細胞はこれからヒトになることのできる細胞を消失させ、利用しなければなりません。
つまり、何もしなければヒトになった細胞を、人工的にいじって臓器にしてしまうのです。

このことが倫理的問題となっております。現に、アメリカでは公的研究費による新たなES細胞の研究を禁止しました。このように多くの先進国ではES細胞の応用に手をこまねいています。

iPS細胞の凄いところ

そこで近年、子供や成人の皮膚などの細胞からES細胞と同等の分化能力をもつiPS細胞を作る技術が発見され、注目を集めました。

この技術は先ほど述べた、ES細胞の持つ倫理的問題を回避でき、尚且つES細胞で期待されていたような「再生医療」の実現を感じさせ、話題を呼んでいます。

1.ES細胞と違い受精卵を使う必要がない!

髪の毛や皮膚を使って作れる細胞なので、受精卵を殺す必要がないのです。
これなら、倫理的に問題ありませんよね。

ES細胞の時にあった、生命倫理の問題を克服出来るのです。

2.臓器移植の時に拒絶反応が起きない

iPS細胞から作りだした臓器などを移植するときに拒絶反応が起こらないことも大きなメリットとなっています。

ヒトには、異物が侵入するとそれを攻撃する機能が備わっています。

そのせいで、他人の臓器を移植すると拒絶反応を起こしてしまう可能性があったのです。

しかしiPS細胞から作った臓器は、そもそも自分の細胞から作られたものなので異物ではありません。つまり拒絶反応が起こるリスクが無いと考えられています。

3.難病の創薬スピードが上がる

例えば、まだ治療法が発見されていないような希少な病気の薬を、製薬会社は作りたくても作れません。

なぜなら患者さんが少なくデータ収集などに時間がかかるため、研究期間が長くかかります。研究期間が長くなると研究費用が膨大になります。
そしてやっと開発したとしても、患者さんが少ないから利益にならないのです。

製薬会社はボランティア団体ではなくあくまで利益団体ですから、こういった薬を作ることは出来ないのです。

しかしiPS細胞を使って、病気のもととなっている細胞を増殖し続けることが出来れば、薬の実験が素早く出来、研究期間を短くしたり研究費用を安く抑えることが可能になります。

つまり人類の医療の進歩スピードが大きく上がると考えられています。

まだまだiPS細胞は実用化されていないのですが、技術が進歩すると上記のようなことが実際に出来るようになる可能性がある、夢のような細胞なのです。

iPS細胞の新たな倫理問題

このようにiPS細胞には多大のメリットがあり、もてはやされています。では、問題点がないと、手放しに喜んでiPS細胞の研究を進め、利用していってよいのでしょうか。

このような新技術は、往々にして新たな倫理問題を生み出します。

今考えられている問題点をご紹介します。

人間が死ななくなる?

人体図

現在、脳や心臓といった複雑な臓器は作られていませんが、技術が進んでこれらの臓器が作れるようになったとしましょう。すると、永遠に新しい臓器を作り続けることで、死ななくなる可能性もあるわけです。
しかし人間は死ななくなってもいいのでしょうか?命とは一体何なのでしょうか。こういった議論が巻き起こる可能性は十分考えられます。

iPS細胞もそもそも倫理的にアウトなのでは?

命とは何かという話にもつながりますが、例えば心臓にも生まれ変わるその元となるiPS細胞自体が既に生命とはいえるのではないか、
といった哲学的な議論にまで発展する可能性があります。

おわりに

日本から始まったiPS細胞の発展を日本全体で後押しするとともに、それを使った時に出てくるかもしれないリスクに関しても同様に責任を持って検討していくことが日本に与えられた課題であり、再生医療のリーダーシップをとっていくためにも必要なことではないでしょうか。
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