【確認問題で覚える古典文法】助動詞「す・さす・しむ」の活用・文法的意味

はじめに

確認問題で覚える古典文法シリーズ、今回は助動詞「す・さす・しむ」を取り上げます。

助動詞「す・さす・しむ」は使役のほかにも意味があります。それぞれの使い方を見ていきましょう!

助動詞「ず」について詳しくまとめた記事も合わせてご覧ください。

【確認問題で覚える古典文法】助動詞「ず」の活用・文法的意味

2021.10.19

助動詞「す・さす・しむ」の活用

基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
する すれ せよ
基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
さす させ させ さす さする さすれ させよ
基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
しむ しめ しめ しむ しむる しむれ しめよ

活用の型は3つとも下二段型です。

助動詞「す・さす・しむ」意味・訳し方・接続

助動詞 文法的意味 訳し方 接続

さす
しむ
1.使役
2.尊敬
1. ~せる、させる
2. ~なさる、お〜になる
未然形+す・さす・しむ

1. 使役

芸はこれつたなけれども、人の耳をよろこばしめむとにはあらず。(方丈記)
芸については下手であるが、聞く人の耳を喜ばせようとものではない。

からうじて待ちつけて喜びながら加持せさするに、(枕草子・二八段)
やっとのことで待ち受けて、喜びながら加持祈祷させたが、

2. 尊敬

われに御覧じあはせてのたまはたる、いとうれし。(枕草子・二六七段)
自分の方を御覧になられて、仰せられるののはとても嬉しい。

御衣賜はり給へりしを、筑紫にもて下らしめ給へりければ、(大鏡・時平伝)
御衣をいただきなさり、(それを)筑紫にもってお下りになされたので、

す・さす・しむが尊敬の意で使われる時は直後に尊敬語を伴う

す・さす・しむが尊敬の意で使われる際には、直後に「給う」などの尊敬語が接続します。

逆に、す・さす・しむが単体で使われているときはすべて使役です。

しかし、尊敬語が伴っても使役の意味であることがあるので気を付けましょう。

助動詞「す・さす・しむ」の確認問題

≪1≫( )内の助動詞「す・しむ」を適切な形に活用しなさい。

(1)愚かなる人の目をよろこば( しむ )楽しみ、またあぢきなし。(徒然草 三八)

(2)人の謗りをもえはばから( す )給はず。(源氏物語 桐壺)

≪1≫の解答
(1)しむる

使役の意味。直後に名詞が来ているので連体形になる。

[訳] 愚かな人の目を楽しませる快楽(というの)も、同様につまらないものだ。

(2)

直後に動詞が続いているので連用形になる。

また、助動詞「す」のあとに敬語が続いているので尊敬の意。

気兼ねするという意味の「はばかる」に使役の意味は不適切である。

[訳] (帝(みかど)は、世間の)人の非難にも気がねなさることもなくて。

≪2≫文中で助動詞「す・さす・しむ」がどのような意味で使われているか答えなさい。

(1)ものおぢをなむわりなくせさせ給ふ御本性にて(源氏物語 夕顔)

(2)妻の嫗にあづけて養は.(竹取物語 かぐや姫の生ひ立ち)

≪2≫の解答

(1)尊敬

「給ふ」と尊敬語が接続しているので尊敬の意。

「させ給ふ」「させおはします」が地の文に用いられたとき、最高敬語といい、天皇・皇后や、それに準ずる人の動作を指すのに使われる。

[訳] (夕顔は)怖がることをむやみにしなさるご性格で。

(2)使役

単独で用いられる「す」は基本的に使役。

[訳] (かぐや姫を)妻である老女に預けて育てさせる。

センター古典の勉強法について詳しくまとめた記事も合わせてご覧ください。

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おわりに

いかがでしたか?

使役は人物関係、行動を把握する際にカギになってくることも多いです。演習を積んでマスターしておきましょう!

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