【古典文法】古文の格助詞「が・の・を・に」

はじめに

前回に続いて格助詞を学んでいきましょう。

古文の格助詞「へ・と・にて」ついて詳しくまとめた記事も合わせてご覧ください。

【古典文法】古文の格助詞「へ・と・にて」

2020.03.27

格助詞とは上の語に資格を与え、下の語へ関係付ける助詞のことです。

よくわからないと思うので、詳しく見ていきましょう!

格助詞「が・の」

助詞 文法的意味 訳し方 接続
が・の 1.主格
2.連体修飾格
3.同格
4.体言の代用
5.比喩
1.~が
2.~の
3.~で
4.~のもの・~のこと
5.~のように・~のような
体言・連体形などに

1.主格

例:すずめの子を犬君(いぬき)逃がしつる。(源氏物語・若紫)
(すずめの子を犬君が逃がしてしまったの。)

2.連体修飾格

例:二、三十人中にわづかに一人二人なり。(方丈記・一)
(二、三十人の中でわずかに一人か二人だ。)

3.同格

例:白き鳥、嘴(はし)と脚と赤き、鴫(しぎ)の大きさなる、水の上に遊びつつ魚(いを)を食ふ。(伊勢物語・九)
(白い鳥で、くちばしと脚が赤い、鴫ほどの大きさの鳥が、水の上で自由に動き回りながら魚を食べる。)

同格を表す格助詞「の」は
「(連体修飾語)+体言+の+(連体形)+(が・を・に)」
の形をとる。

この時の訳し方は、
1.「~で」「~であって」
2.連体形の下に「の」の上にある体言を補う
の2つの注意点を抑えること!

例:いと清げなる僧、黄なる地の袈裟着たるが来て、(更級日記)
(たいそうさっぱりした感じの僧、黄色い地の袈裟を着た僧が来て、)

4.体言の代用

例:この歌は、ある人のいはく、柿本人麻呂なり。(古今集・九〇七)
(この歌は、ある人が言うことには、柿本人麻呂のものである。)

5.比喩

例:春日野の雪間をわけて生ひ出でくる草はつかに見えし君はも(古今集・巻一一)
(春日野の雪の間をわけて、はえ出でくる若草のように、ほんのわずかに見えたあなたであることよ。)

格助詞「を」

助詞 文法的意味 訳し方 接続
が・の 1.動作の対象
2.動作の起点
3.経過する場所・時間
1.~を・~に
2.~を・~から
3.~を通って・~を
体言・連体形などに

1.動作の対象

例:翁、竹取ること久しくなりぬ。(竹取物語)
(翁は、竹を取ることが久しくなった。)

2.動作の起点

例:境出でて、下総(しもふさ)の国のいかたといふ所に泊まりぬ。(更級日記・かどで)
(国の境を出て、下総の国のいかたという所に泊まった。)

3.経過する場所・時間

例:伊勢・尾張の間(あはひ)の海づら行くに、(伊勢物語・七)
(伊勢と尾張の国の間の海岸を行く時に、)

格助詞「に」

助詞 文法的意味 訳し方 接続
1.場所・時間
2.動作の対象
3.動作の目的
4.変化の結果・帰着点
5.原因・理由
6.受身・使役の対象
7.比較の基準
8.添加・列挙
9.資格・状態
1.~に・~で
2.~に・~と
3.~のために・~に
4.~に・~と
5.~で・~のために・~によって
6.~に
7.~に・~より
8.~のうえに
9.~として・~で
体言・連体形などに

1.場所・時間

例:清水のある所伏しにけり。(伊勢物語・二四)
(清水のある所に倒れてしまった。)

2.動作の対象

例:行き行きて駿河の国至りぬ。(伊勢物語・九)
(どんどん行って駿河の国についた。)

3.動作の目的

例:いざ給へ、出雲拝み(徒然草・二三六)
(さあいっしょにいらっしゃい、出雲を参拝しに。)

この意味の場合だけ連用形に接続します!

他の意味では体言・連体形に接続するので注意しましょうー!

4.変化の結果・帰着点

例:東(あずま)の方(かた)に住むべき国求めとて行きけり。(伊勢物語・九)
(東国の方に住むのによい国を求めに(行こう)と思って行った。)

5.原因・理由

例:「あなや。」と言ひけれど、神鳴るさわぎ、え聞かざりけり。(伊勢物語・六)
(「あれえ。」と叫んだが、雷の鳴るやかましい音のために、聞くことができなかった。)

6.受身・使役の対象

例:見苦しとて人書かするうるさし。(徒然草・三五)
((字が)下手だと言って、人に書かせるのは、いやみなものだ。)

7.比較の基準

例:昼の明(あ)かさも過ぎて光りわたり、(竹取物語)
(昼の明るさにもまして一面に光って、)

8.添加・列挙

例:わが入らむとする道は、いと暗う細き、蔦(つた)かへでは茂り、(伊勢物語・九)
(わたしたちが入ろうとする(山)道は、たいそう暗く細いうえに、つたやかえでが(うっそうと)茂っていて、)

9.資格・状態

例:都のつと語らむ。(徒然草・二三六)
(都への土産話として語ろう。)

係り結びの法則について詳しくまとめた記事も合わせてご覧ください。

【5分で確認】係り結びの法則の要点まとめ

2020.03.31

古文の格助詞は設問で問われやすい

いかがでしたか?

格助詞は設問になって意味を問われやすいです。

問題集などで慣れておきましょう!

助動詞「る・らる」について詳しくまとめた記事も合わせてご覧ください。

【確認問題で覚える古典文法】助動詞「る・らる」の活用・文法的意味

2021.10.14

 




皆さんの意見を聞かせてください!
合格サプリWEBに関するアンケート