【東大女子 熊本】人の気持ちに寄り添えるように色々な価値観を知りたい。世界を広げようと活動を続ける東大女子!

何かあったときにすぐに動ける人に

―高校ではボランティア部に入られていたそうですが、ボランティアに興味を持ったきっかけは?

中3の時に起きた東日本大震災です。東日本大震災が起きたとき私、遠い国の出来事みたいで実感がわかなかったんです。
それまで自分は将来は人の役に立てる人間になりたいと思ってそれなりに頑張っていたけれど、いざ震災が起きても共感もしないし何かしようとも思わなかった。そんな自分に違和感を覚えてしまって。同じ国の出来事なのに人ごとに思っちゃう自分が嫌でたまらなくて、高校でボランティアの機会を知ったとき、「ここでなんかしないといけないな」と決意したんです。

そのあとボランティア部の活動の中で、3.11の現地ボランティアにすぐ行った医師や自衛隊の方に話を聞く機会があったんです。その方の話を聞いていると、こういう大変な時にすぐ動ける人になりたいと思いました。
今考えると、このときもし東北に1人でも知り合いがいたらものすごく心配になったと思うんです。そういう意味でも、「知らない」のはよくないことなのかもしれません。

―熊本地震が起きたときは、すぐに行動されていましたね。

熊本地震の直前が成人式だったんです。お世話になった人に再会して、地元に恩返ししたいという思いと、何かあっても私には地元があるから大丈夫だという思いを再確認したばかりでした。
その直後に熊本で震度7の地震が起きて、本当に焦りました。最初は家族も友達も無事かわからなくて。
でも、東京では普通の時間が流れていたんです。「あ、東日本大震災の時に自分が感じた熊本の雰囲気と似ているな」と温度差を感じました。

それで、誰かと一緒に熊本のために何かできないかなと考えて、熊本地震の起きた次の日には行動を始めました。

ー具体的には何をしたんですか?

ちょうど東大の学園祭「五月祭」まであと1か月だったので、熊本出身の東大生を中心にそこで何かできないかなって。地震から1か月経っていて、熊本ではまだまだ大変なことが多かったけれど、東京ではニュースからも姿を消して風化してしまっている。だからこそ、熊本をみんなに思い出してもらいたいなと思いました。でも、熊本を単なるかわいそうな被災地としてだけで終わらせたくなかった。ただもっと興味を持ってもらえないかなって考えたんです。

具体的には、五月祭で熊本・大分の飲み物を販売したり、寄付金を集めたりしました。募金箱を各サークルにおいてもらえるようにお願いして。あとは協力してくれた人にくまモンのボディーシールをプレゼントしました。ボディーシールを貼ってみんなが歩いてくれるだけで、それが熊本の宣伝になる。みんな、それを見て熊本を思い出してくれると思ったんです。

五月祭後に。隣はブースを貸してくれたブリ照り焼き丼の屋台

五月祭後に。隣はブースを貸してくれたブリ照り焼き丼の屋台

 

―くまモンのボディシールは私もSNSで見ましたよ!やはり活動への反響は大きかったですか?

地元の人には本当に感謝されることが多くて、ホッとしました。お世話になった高校の先生がメッセージをくれたり。あとは、熊本出身で、何かをやりたいと思っている人たちに機会を提供できたのはよかったですね。
大学の友達の反応も嬉しかったですね。「熊本出身だったよね」って、興味を持ってくれる人が多かった。「知り合いがいる場所だから、自分事として考えるようになったよ」と言ってくれた人もいました。

もちろん、色々否定的な意見もありました。ただ私は、私たちがどう見られるかなんかより、熊本の人たちに何が伝わるのかが大事だと思っていたんです。だから辛いことがあっても、熊本の人たちの求めているものに私たちがどれだけ寄り添えるかを考えながら頑張っていました。

大学で、一気に世界が広がった

―大学に入って良かったことはありますか?

世界が広がりました。東京に出てきて、自分と180度価値観の違う人たちに出会えたんです。熊本にいたときは気づかなかったんですけど、私は地元ではある程度価値観の似通った人たちと一緒にいたんだなと気づきました。私はそれまで単純にそこまで自分と違う人と会ったことがなかったので。コミュニケーションの取り方や物事の考え方ひとつとっても、私が想像もしないことを言う人がたくさんいたのには本当にびっくりしました。

―特に東大だから良かったことはありますか?

社会・世の中への関心がみんな大きいことですかね。1つ1つのニュースに対して、みんな必ず自分の意見を持っていると思います。そういった社会での出来事に関しての議論を当たり前に大学のラウンジでしているのはこの大学だけなんじゃないかな。
しかも、社会への関心を持っていることを特別偉いと思っているわけでもなくて、真剣にそういうことを考えているのが当然だから議論していても変な目で見られない。これは本当に恵まれている環境だなと思います。

あとは、それぞれ学生が自分のやりたいことを頑張っているので、それにはすごく刺激を受けます。東大生というと、ガリ勉のイメージを持たれがちだけれど、実際はみんな勉強以外の分野ですごい才能を持っていたり努力していたりする。そういう人たちに囲まれていることで、自分も負けていられないなとは思いますね。

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