【人工知能論】早稲田大学人間科学部の授業紹介

早稲田大学人間科学部の【人工知能論】とは?

人工知能論とは?

人工知能論とは、その名の通り人工知能について論じる学問です。

人工知能に関する理論や技術について論じたり、人間と機械の関係について論じたりします。

1956年に「人工知能」という概念が初めて提唱されて以来、人工知能の開発技術の発展に伴って、人工知能論も発展してきました。

人工知能論は、一般的には理工学部で教えられることが多いので、科学技術としての人工知能の可能性について語られる傾向にあります。

しかし人間科学部の人工知能論は、人間と人工知能との間の差異について焦点を当てて、「人間とは何か」という「人間科学的」な問題を深く論じています。

そのため、数学や物理が苦手な人でも馴染みやすいはずです!

この記事では、そんな早稲田大学人間科学部の「人工知能論」について、筆者の実体験を基にご紹介します。

この記事を読んで、少しでも多くの人が、早稲田大学人間科学部で学べる「人工知能論」に興味を持っていただければ幸いです。

人工知能論と人工知能開発との違いについて

具体的な授業紹介に入る前に、人工知能論と人工知能開発との違いについて触れておきましょう。

簡単に説明すると、人工知能論は学際的(領域横断的)であるのに対して、人工知能開発は理工学的です。

人工知能開発は、文字通り人工知能をイチから開発することです。

人工知能開発に携わる人たちは、設計のためにプログラミングしたり、部品を収集してきたり、作動実験を重ねたりします。

その一方で、人工知能論を専門にしている研究者は、人工知能の技術と人間の生活との関係や人間とコンピュータとの関係をマクロな視点から捉えて論じます。

平たく言えば、人工知能論の専門家は「人工知能の評論家」なのです。

早稲田大学人間科学部の【人工知能論】の授業はどんな感じ?

早稲田大学人間科学部の【人工知能論】の授業カリキュラム

早稲田大学人間科学部の「人工知能論」は学部1年生の秋学期(後期)から履修できる「専門科目ⅡB」に含まれています。

「専門科目ⅡB」は、ゼミ以外の講義では最もレベルが高い講義ですが、その分専門的で刺激的な内容になっています。

「人工知能論」は、毎回の講義後に授業アンケートへの記入が求められ、それが出席点となります。

授業アンケートによる評価が全体評価の40パーセントを占め、残り60パーセントの評価は、講義期間中に出題される3つのレポートの総合点によって算出されます。

割と負担は重めですね(白目)。

早稲田大学人間科学部の【人工知能論】の授業風景

それでは人工知能論の実際の授業風景を見ていきましょう。

全15回の講義のうち、12回は普通の講義形式です。授業冒頭に前回授業のアンケートのフィードバックをして、その後配布されるスライドに従って講義が進められます。

前半の講義では、人間と人工知能との差異を考える哲学的な内容になっています。

そして後半の講義では、プログラミングの基本的な知識を学びながら、人工知能技術の基礎を習得します。

数学や物理に関する予備知識は求められませんし、複雑な計算をするわけでもないので、理数系が苦手な人でも心配しなくて大丈夫です!

ちなみに、担当の先生が話好きなので授業の予定は後ろにずれ込むことが多いですが、時間を延長することはあまりありません。

講義期間中に終わらなかった内容はオンデマンド配信で視聴できるようになっています。視聴は任意なので、興味があればどうぞ、という感じです。

15回の講義の中で、だいたい2回ほどディスカッション形式の授業が行われ、自分の周囲の学生4〜5人と出題されるテーマについて議論します。

また、第13回目の講義ではゲストスピーカーが招かれて、「人工知能と脳科学の関係について」というテーマで講演してくれます。

かなり濃い内容なので、興味のある人にとっては面白く、興味がない人には辛い講演かもしれません……。

早稲田大学人間科学部の【人工知能論】を学ぶことについて

人工知能論は何に役立つのか

ここまで人工知能論の授業内容について語ってきましたが、「実際に人工知能を作るわけでもない人工知能論って意味あるの?」と疑問に感じた人も多いでしょう。

ですが、人工知能論は現代を生きる全ての人にとって学ぶ価値のある学問分野です。

理由は、大きく2つあります。

  1. 今後必須になるプログラミングの本質を理解できる
  2. 人間の知能に限りなく近づいている人工知能について知ることで、「人間とは何か」という問題を工学的視点から考えられるようになる

人工知能論の講義を聞くと、プログラミングの基本的な知識を習得できます。

今みなさんがプログラミングしているかどうかは分かりませんが、ほとんど全ての職業でプログラミングの技術が必要になる時代が近い将来必ず来ます。

今のうちにプログラミングの本質を理解しておけば、必要なときに短期間で技術を習得できるようになります。

また、人工知能の技術について学ぶと、人間の認知や行動のシステムについて知ることができて、「人間とは何か」という問題について科学的に考察できるようになります。

大学で「人間とは何か」という哲学的なテーマを問われたときに、科学的で鋭い意見を語れたらかっこいいですよね!

人工知能論の魅力

今、未来の人間と人工知能との関係について様々な予測がなされています。

人工知能が人間の知能を上回るかもしれないとか、人間の職業が奪われるとか、人間が機械のようになるかもしれないとか。

人工知能論について自分でしっかり学んでおくと、恐怖を煽ってくる言説に惑わされず、落ち着いて人工知能と人間との関係を見つめることができます。

人工知能と人間との関係を適切に見定められると、今後数十年の社会の予測が具体的にできるようになり、将来へ向けてできる仕事がわかります。

このように、人工知能論を学ぶと、自分のキャリア設計に役立てられるのです。

人工知能論でおすすめの本

最後に、これから人工知能論を学ぶ人におすすめの本を3点紹介します。

本屋の「AIコーナー」に行けば、山ほど人工知能関連の書籍が置いてあると思うので、いろいろ読みながら人工知能について考えてみてくださいね!

それでは!

  • 大黒岳彦著『情報社会の<哲学>ーグーグル・ビッグデータ・人工知能』、勁草書房、2016年
  • かんようこ著『マンガでわかる!人工知能 AIは人間に何をもたらすのか』、SBクリエイティブ、2018年
  • NEWTON別冊『ゼロからわかる人工知能 増補第2版』、ニュートンプレス、2020年

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