小論文答案例

問題文

 日本の若者の投票率の低さが問題視されています。OECDの発表では、16~35歳の投票率と55歳以上の投票率の格差は25.2%(若者層が低い)となっており、これは世界的に見て英国(38.2%)に次いで大きい数字となります。

 一方本年から選挙権年齢が18歳に引き下げられましたが、7月に行われた参議院選挙では、19歳以下の投票率が45.45%と、全国平均を大きく下回る結果となりました。ただし18歳(51.17%)と19歳(39.66%)とでは投票率に大きな違いがあり、このことから高等学校での教育が投票率向上のために一定の役割をはたしているという指摘もあります。

 それでは、今後日本の若者が政治に関心を持ち、選挙に参加していくために、学校教育はどのように取り組めばよいのでしょうか。次の文章を参考に、あなたの意見を800字程度で述べてください。

解答例

 選挙権年齢が18歳に引き下げられるに伴い、日本の若者が政治に関心を持ち、選挙に参加していくためには、学校教育はどのように取り組むべきだろうか。 
 確かに学校や教師が偏ったの政治思想を一方的に生徒に押し付けることは問題であるが、学校側が「政治的中立」を気にするあまり、生徒が政治に触れる機会がとても少ないというのが現状である。政治に関する知識や理解が無いままでは、政治に関心を持つことはできず、したがって若者の投票率が上がることはないだろう。
 したがって私は、記事の筆者が述べているように、学校側が社会問題に触れる機会や主体性を身に付ける場を生徒に提供するべきである。主体性を身に付けるのは早いに越したことはないので、小学校の教育から転換していくとよいのではないだろうか。
 その具体的な方法の一つとして、生徒が立候補者と有権者に分かれて行う「模擬選挙」を授業や学校行事の一環として実施することを提案する。小中学校は学校改革などの身近なテーマで行い、選挙方法に慣れることから始め、高校生は実際の社会問題を題材に政策作りを行えば、実際の政治問題の知識を身に付けることができる。政治知識だけなら教師から生徒への一方的な詰め込み教育でも行えるが、模擬選挙では立候補者は政策作りの過程で主体性を身に付けることができるし、有権者側は論点を見極め判断するスキルも身に付けることができる。これを繰り返すことで、政治や選挙が身近なものに感じることができるため、投票へ向かう人は増えるはずであるし、ひょっとしたら立候補者を体験した人の中から実際の政治家になりたいと思う人もでてくるかもしれない。このように模擬選挙には若者の政治への関心を上げるのに役立つものと考えられる。
 よって私は、若者の投票率を上げるためには、小学校のころから模擬選挙のような、社会問題に触れる機会や主体性を身に付ける場を授業の中に取り入れればよいと考える。(797文字)