はじめに
こんにちは。今回は多くの人が苦手意識を持っているであろう指数・対数の問題を紹介します。
そして、対数の中でも基本的な問題でありながら完答できる人が少なくなっている常用対数の範囲です。
今回の問題は\(N=2^{100}\)というシンプルな式を扱っていながら、指数・対数に関する様々な知識をチェックすることができます。
基礎的な部分を攻略すれば問題なく解答するとができるので、まずは以下の記事で指数・対数の分野をしっかり復習してから問題に臨んでくださいね。
目次
2017年防衛大学校の「指数・対数」の問題を解いてみよう!
2017年防衛大学校第2問
\(N=2^{100}\)について、 次の問いに答えよ。
ただし、
\(\log_{10}2=0.3010\)
\( \log_{10}3=0.4771\)
\( \log_{10}7=0.8451\)
\( \log_{10}11=1.0414\)
\( \log_{10}13=1.1139\)
とする。
(1)\(N\)の桁数を求めよ。
(2)\(N\)の最高位の数字を求めよ。
(3)\(N\)の最高位から\(1\)つ下の位の数字を求めよ。
2017年防衛大学校第2問 (1) 解答・解説
桁数を知りたいときには常用対数(底が10の対数)を取るんでしたよね。
\(2^{100}\)に常用対数をとって、
\(\begin{align}
\log_{10}{N}&=log_{10}{2^{100}}\\
&=100\log_{10}2\\
&=100×0.3010\\
&=30.01\\
\end{align}\)
\(2^{100}=N\)の対数が分かったので、 \(N=\)の形に直します。
\(\begin{align}
N&=10^{30.01}\\
&=10^{30}×10^{0.1}
\end{align}\)
\(10^n\)は\((n+1)\)桁なので、 \(10^{30}\)は\(31\)桁の数ですよね。
よって、 \(N\)は31桁となります。
\(\style{ color:red; }{∴ 31桁 }\)
(1)からつまづいてしまった人は対数の問題の出題パターンが抜けているので確認しておきましょう。
\(10^{30}×10^{0.1}\)という形に変形して冷静に考えれば、 桁数はわかると思いますよ。
2017年防衛大学校第2問 (2) 解答・解説
最高位の数が何かを知りたいので、 1の位から30桁目まではどうでも良い数ですよね。
だから、 \(10^{30}\)と\(10^{0.1}\)をバラして考えます。
\(10^{30}\)は、\[1000000000000000000000000000000\]と\(0\)が連続しますよね。
つまり、 \(10^{0.1}\)の最高位の値が\(10^{30.01}\)の最高位と同じということです。
\(10^{0.1}\)を評価したい(最高位の数を知りたい)ですが、このままでは値を評価しにくいので指数の\(0.1\)を整数にするために\(10\)乗して考えてみましょう。
\(x^{10}<(10^{0.1})^{10}<(x+1)^{10}・・・①\)
これを満たす\(x\)を考えます。
この\(x\)が、最高位の値になります。
\((10^{0.1})^{10}=10\)なので、①の不等式に\(x=1\)を代入すれば上の不等式が成立します。
\(1^{10}<10<2^{10}\)となります。
したがって、\(1<10^{0.1}<2\)
つまり、 \(10^{0.1}=1.○○○…\)ということです。
(厳密に計算すると\(10^{0.1}=1.258…\)になります。)
\(10^{0.1}\)の最高位は1であることが分かったので、\(10^{30.01}\)の最高位もわかりますね。
\(N=10^{30}+10^{0.1}\)より\(N\)の最高位は\(1\)。
\(\style{ color:red; }{∴ 1 }\)
2017年防衛大学校第2問 (3) 解答・解説
最高位の値は1の位から数えて31桁目の数なので\(10^{30}\)を作って残りの部分を考えました。
(3)では最高位から\(2\)番目の数を求めます。
\(N\)は\(31\)桁の数なので、 1の位から30桁目の数を考えます。
\(\begin{align}
N&=10^{30.01}\\
&=10^{1.1}×10^{29}
\end{align}\)
なので、\(10^{1.1}\)を考えます。
しかし(2)と同様に10乗してしまうと、\((10^{1.1})^{10}=10^{11}\)という非常に大きな数を考えなければならなくなり、困りますよね。
ですが、\(10^{1.1}\)は\(10^{1}×10^{0.1}\)であり、(2)より\(10^{0.1}=1.○○○…\)であることを考えると、\(10^{1.1}\)の最高位と最高位から2番目の数は\(10\)〜\(19\)のいずれかであることがわかります。
したがって、 \(10\)〜\(19\)の連続2数の間に\(1.1\)が入ればよいので、 \(10\)〜\(19\)の常用対数を順に調べていきます。
問題の条件より、
\(\log_{10}10=1\)
\(\log_{10}11=1.0414\)
\(\begin{align}
\log_{10}12&=\log_{10}2^2+\log_{10}3\\
&=2×0.3010+0.4771\\
&=1.0791
\end{align}\)
\(\log_{10}13=1.1139\)
とわかります。
\(\log_{10}13\)で1.1を初めて超えました。
これで、 \(\log_{10}12\)と\(\log_{10}13\)の間に\(1.1\)があるとわかります。
つまり、 \(\log_{10}12<\log_{10}10^{1.1}<\log_{10}13\)。
よって、 \(12<10^{1.1}<13\)
\(10^{1.1}=1.2○○…\)ということですね。
以上より、 最高位は1、 最高位から2番目の数は2とわかります。
\(\style{ color:red; }{∴ 2}\)
おわりに
いかかがだったでしょうか。 きちんと(3)まで完答することができましたか?
この手の常用対数を使って桁数や最高位を問うてくる問題は小問集合などでもよく出題されます。
基本的な問題なので特に(1)と(2)を間違えてしまった人はしっかり復習しましょう。