『意外に侮れない!?難関大合格への計算力』2018年東京大学の数学入試問題に学ぶ「組み合わせ」

はじめに

今回は東京大学文科2018年度第2問を扱っていきます。

理科でも本問と似たような問題が出題されていますが、文科で出題された本問はそれよりも簡単であり、文科で出題された4問の中でも比較的簡単な問題です。

簡単な要因は、誘導に従ってきちんと式変形をこなしていけば答えを出すことができることにあります。

つまり、本問は試験当日には満点をとらなければいけない問題です。

タイトルにある通り、必要なのは計算力。 丁寧な式変形を心がけましょう。

2018年東京大学の「組み合わせ」の問題を解いてみよう!

2018年東京大学文科第2問

数列\(a_{1}, a_{2},\)……を
\[
a_{n}=\frac{{}_{2n} \mathrm{ C }_n}{n!}   (n=1, 2,……)
\] で定める。

(1) \(a_{7}と1\)の大小を調べよ。
(2) \(n≧2\)とする。 \(\displaystyle\frac{a_{n}}{a_{n-1}}<1\)をみたす\(n\)の範囲を求めよ。
(3) \(a_{n}\)が整数となる\(n(n≧1)\)を全て求めよ。

2018年東京大学文科第2問 (1) 解答・解説

組み合わせの式に\(7\)を代入するだけで答えが得られますね。

計算ミスをしないように丁寧に議論していきます。

\(a_{n}=\displaystyle \frac{{}_{2n} \mathrm{ C }_n}{n!}(n=1, 2, ……)\)
 
に\(a=7\)を代入して、
 
\(\begin{align*}
a_{7}&=\frac{{}_{2×7} \mathrm{ C }_7}{7!}\\\\
&=\frac{\frac{14!}{7!×(14-7)!}}{7!}\\\\
&=\frac{14!}{(7!)^3}\\\\
&=\frac{14×13×12×11×10×9×8}{(7×6×5×4×3×2×1)^2}\\\\
&=\frac{13×11}{7×6×5}\\\\
&=\frac{143}{210}\\\\
&<1\\\\
\end{align*}\)
\(
\style{ color:red; }{∴ a_{7}<1 }
\)
 

【3分で分かる!】順列と組み合わせの違いと公式をわかりやすく(練習問題つき)

2020.07.29

2018年東京大学文科第2問 (2) 解答・解説

(1)と同様に丁寧に計算すれば答えは得られます。

分数の中に分数が入ったりと計算が複雑になりますが、頭の中で無理に計算しようとせず, しっかりと計算式を書いて計算を進めましょう。

\(\begin{align*}
\displaystyle \frac{a_{n}}{a_{n-1}}&=\displaystyle \frac{\displaystyle\frac{{}_{2n} \mathrm{ C }_{n}}{n!}}{\displaystyle \frac{{}_{2(n-1)} \mathrm{ C }_{(n-1)}}{(n-1)!}}\\\\
&=\displaystyle \frac{{}_{2n} \mathrm{ C }_{n}}{n×{}_{2(n-1)} \mathrm{ C }_{(n-1)}}\\\\
&=\displaystyle \frac{\frac{2n!}{n!×n!}}{n×\frac{(2n-2)!}{(n-1)!×(n-1)!}}\\\\
&=\frac{2n!×[(n-1)!]^2}{n×(2n-2)!×(n!)^2}\\\\
&=\frac{2n(2n-1)}{n}×\left(\frac{ 1 }{ n } \right)^2\\\\
&=\frac{2(2n-1)}{n^2}\\\\
&<1\\\\ \end{align*} \)
つまり、\[\frac{2(2n-1)}{n^2}<1\]となるような\(n\)の範囲を考える。

あとは\(n\)を評価するだけですね。

両辺に\(n^{2}(>0)\)をかけて、

\(\begin{align*}
2(2n-1)&>n^2\\\\
n^2-4n+2&=(n-2)^2-2\\
&>0
\end{align*}\)
つまり、\[(n-2)^2>2\] これを満たす\(n\)の値の範囲は、

\(
\style{ color:red; }{n≧4}
\)

2018年東京大学文科第2問 (3) 解答・解説

一見するとどのような解法を立てれば良いのか分かりませんよね。

誘導がついている場合, 誘導問題(小問)の意味を考えましょう。

(1)(2)において何をやってきたのか冷静に考えてみると解法の切り口が見えてきますよ。

今回は、(1)で\(a_7\)が\(1\)よりも小さいことを証明しましたね。 続けて(2)では, \(a_3\)以降は徐々に小さくなっていくことがわかりました。

この2つを冷静に並べて眺めてみましょう。するとあることがわかりますね。 つまり, \(a_7\)以降は\(1\)以下の分数ー整数にはなり得ないことがわかります!

(2)より\(\displaystyle\frac{a_n}{a_{n-1}}<1(n≧4)\)なので、

\(a_n<a_{n-1}(n≧4)\)

\(a_3>a_4>a_5>a_6>a_7>……\)
・・・①

また, (1)より\(a_{7}<1\)なので、

\(1>a_7>a_8>a_9>……\)
・・・②

整数となるような\(a_n\)の候補が無数にあった状態から, \(a_1\)から\(a_6\)まで調べれば十分という状態になりました。 ここまでくれば、しらみつぶしにチェックしていくだけです。 シンプルですね。

①と②より、\(a_n\)が整数となりうるのは\(n=1,2,3,4,5,6\)のいずれかなので, \(a_1\)から\(a_6\)までの値を実際に求めると,

\(\begin{align*}
a_1&=\frac{{}_{2×1} \mathrm{ C }_1}{1!}\\
&=2\\\\
a_2&=\frac{{}_{2×2} \mathrm{ C }_2}{2!}\\
&=3\\\\
a_3&=\frac{{}_{2×3} \mathrm{ C }_3}{3!}\\
&=\frac{10}{3}\\\\
a_4&=\frac{{}_{2×4} \mathrm{ C }_4}{4!}\\
&=\frac{35}{12}\\\\
a_5&=\frac{{}_{2×5} \mathrm{ C }_5}{5!}\\
&=\frac{21}{10}\\\\
a_6&=\frac{{}_{2×6} \mathrm{ C }_6}{6!}\\
&=\frac{77}{60}\\\\
\end{align*} \)
以上より、\(a_{n}\)が整数となる\(n\)は、
\(
\style{ color:red; }{ n=1,2 }
\)
である。

おわりに

いかがだったでしょうか。

東大の問題とは一見わからないような非常にシンプルな問題だったと思います。

近年は東大をはじめとする難関大学の入試問題であっても, とびきり難しい問題を出して受験生を困らせるというよりは, シンプルな問題でいかに基礎を抑えられているかをみていることが多くなっています。

ボーナス問題であるということは, 落としたら非常に危険な問題ということ。

今回問題が解けた人はその調子で学習を続けましょう。 途中で計算ミスをしてしまった人は、計算力を日々鍛えるとともに複雑な計算は丁寧にするという意識を持って問題を解くようにしましょう。

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