はじめに
皆さんは「細胞分裂」とは何かを説明できますか?
細胞分裂とは、1つの細胞が2つ以上の細胞に分かれる生命現象のことです。
では、細胞分裂は2種類ありますが、その定義や違いを述べられますか?
いざ問われると、答えに詰まってしまう人が多いですよね。
そこでこの記事では、2種類の細胞分裂の特徴や違いについて徹底解説します。
定期テストを控える高校生も受験生も必見です!
目次
【生物基礎】体細胞分裂
まず始めに「体細胞分裂」からみていきましょう。
体細胞分裂とは、1つの細胞が分裂し、同じ遺伝情報をもつ娘細胞を作る分裂のことです。
体細胞分裂の意義は、1つの細胞から全く同じ細胞を作成し、私たちの体をつくることにあります。
体細胞分裂の特徴
体細胞分裂の特徴は、分裂過程において染色体の数が変わらないということです。
分裂前の細胞と分裂後に出来上がった細胞の遺伝情報が同じでなければならないので、染色体の数も同じになりますよ。
また植物細胞と動物細胞では、体細胞分裂中に細胞を区切る際の、仕切りの形成過程が異なるということにも注意しましょう。
植物細胞は、細胞板と呼ばれる板が細胞内に形成され、1つの細胞が2つに分けられます。
長方形の部屋の真ん中に板を置いて区切るイメージです。
一方で動物細胞は、細胞にくびれができることで1つの細胞が2つに分裂します。
くびれができるため、細胞は一時的にひょうたん型に変化し、そのまま細胞がちぎれるイメージです。
ですから体細胞分裂の特徴は、分裂の前後で染色体の数に変化がないこと、細胞の区切れ方が動物と植物で異なること、の2点になります。
体細胞分裂の流れ
体細胞分裂は大きく「間期」と「分裂期」の2つに分類されます。
間期はさらにG1期(DNA合成準備期)、S期(DNA複製期)、G2(DNA分裂準備期)の3つに分かれます。
分裂期の流れは「前期→中期→後期→終期」です。
それぞれの期間でポイントになる染色体の動きを下記にまとめました。
- 前期:糸状のDNAが凝縮し、染色体になる
- 中期:相同染色体どうしが赤道面に並ぶ
- 後期:並んだ染色体が、両極へ移動する
- 終期:仕切りが作られ、細胞が2つに分かれる
相同染色体とは、染色体のうち、形や大きさが全く同じものを指します。
繰り返しになりますが、
- 1つの細胞から2つの細胞ができる
- 分裂過程において全く同じ細胞が作られる(染色体の量に変化は無し)
という2点がとても重要です。覚えておきましょう!
DNAの量を図で表すと以下のようになります。
【生物基礎】減数分裂
次に「減数分裂」を見ていきましょう。
減数分裂とは、生殖細胞が作られる際に生じる分裂です。
減数分裂の意義は、必要十分量の遺伝情報(ゲノム1つ分)を新個体のために用意することにあります。
減数分裂の特徴
減数分裂の特徴は、子が親と同じ遺伝情報を持つようにするために、生殖細胞の染色体数を半減させる必要があるということです。
仮に体細胞分裂のように分裂し、生殖細胞が分裂前と同じ量の染色体を持つとします。
この細胞が合体をすると、子が持つ染色体の量が通常量の2倍になってしまいますよね。
こうした事態を避けるために、減数分裂という染色体の量を半減する分裂を行うことで、生殖細胞が持つ染色体の量を調整しているのです。
染色体の数を半分にすることで、配偶子が合体すると親と同じ量の染色体を子は持つことができますよ。
減数分裂の流れ
減数分裂の分裂期の流れは「(第一分裂開始)前期→中期→後期→終期→(第二分裂開始)前期→中期→後期→終期」となり、分裂が2サイクル行われます。
細胞周期の名前は同じでも中身が異なるので、細かくその違いを整理しておく必要があります。
第一分裂:染色体の数が半減する
まずは、減数分裂第一分裂に着目します。
第一分裂の染色体の動きを以下のように箇条書きで整理しました。
- 第一分裂前期:相同染色体どうしがくっつく
- 第一分裂中期:くっついた相同染色体が赤道面と呼ばれる細胞の中央部分に並ぶ
- 第一分裂後期:引っ張られるように、相同染色体が両極へ分かれる
- 第一分裂終期:細胞が2つに分かれ、染色体は糸状に戻る
ポイントは、染色体の数が分裂前の細胞と比べ半分になっているということです。
第二分裂:染色体が体細胞分裂と同じように動く
続いて減数分裂第二分裂が起こります。
第一分裂と同様に染色体の流れを箇条書きで整理しました。
- 第二分裂前期:糸状のDNAが凝縮されて染色体になる
- 第二分裂中期:染色体が赤道面に並ぶ
- 第二分裂後期:染色体が両極へ分かれる
- 第二分裂終期:仕切りが形成され、細胞が2つに分かれる
ここでのポイントは、減数分裂第二分裂は、体細胞分裂と動きが同じになることです。
第二分裂中は、染色体の量に変化はありません。
染色体の量の変化図は以下のようになります。
【生物基礎】体細胞分裂と減数分裂の違い
体細胞分裂と減数分裂の違い①:染色体の数が変わるかどうか
まず体細胞分裂と減数分裂の違いとして、染色体の数が挙げられます。
体細胞分裂では、分裂過程において染色体の数に変化はありません。
冒頭で述べたように、体細胞分裂とは全く同じ細胞をもう1つ作ることです。
中に入っている遺伝情報が全く同じになっていなければならないので、染色体の数は変化しないことが分かりますね。
一方で減数分裂では、第一分裂終了時に染色体の数が半減します。
減数分裂には、必要十分量の遺伝情報(ゲノム1つ)を新個体のために用意するという目的がありましたね。
つまり、配偶子の合体で親と同じ量の遺伝情報を持つようにしなければなりません。
そのために、減数分裂では染色体の数を半減させる必要があるのです。
ちなみに第二分裂中は染色体の数に変化がないので、注意してください!
体細胞分裂と減数分裂の違い②:分裂の回数が1回か2回か
次に体細胞分裂と減数分裂の違いとして、分裂期における分裂の回数が挙げられます。
体細胞分裂の細胞周期はG1期→S期→G2期→M期→G1期……となっていて、基本的には同じ周期を繰り返します。
具体的には、S期に染色体の複製が行われ、その後M期に分裂を行い、新たに作られた細胞が同じように細胞周期に従いながら再び分裂を始めます。
ですから、体細胞分裂での分裂の回数は1回です。
それに対して減数分裂は、第一分裂と第二分裂があることからわかるように、続けて2回連続した分裂を行います。
2回分裂をし終えた細胞が、そのまま新たに娘細胞を作ることは基本的にはありません。
おわりに
いかがだったでしょうか。
体細胞分裂と減数分裂は似ているところが多く紛らわしいです。
しかし、こうしてまとめてみると意外に違いが明確であることに気づきます。
分裂の違いをマスターし、細胞分裂をあなたの得意分野にしましょう!
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