【3分で分かる!】数学的帰納法の意味と証明の書き方をわかりやすく(練習問題つき)

はじめに

この記事では初めて数学的帰納法の勉強を始める人はもちろん、復習したい人にもわかりやすく

数学的帰納法とは
数学的帰納法を使った証明の書き方
数学的帰納法の使い時

を解説します!

最後には数学的帰納法による証明を身につけるための練習問題も用意しました。

数学的帰納法は整数問題をはじめ、数学全般の証明で頻繁に使われます。

ぜひ最後まで読んで、3分で数学的帰納法を完璧にマスターしましょう!

数学的帰納法とその意味

数学的帰納法とは、ある命題がすべての自然数\(n\)に対して成り立つことを証明する証明方法です。

数学的帰納法で証明するべきことは2つ。

  1. \(n=1\)で成り立つ
  2. \(n=k\)で成り立つとき、\(n=k+1\)でも成り立つ

この2つが示せると、
数学的帰納法
このように、すべての自然数\(n\)に対して成り立つと言えます。

そのまま覚える数学的帰納法のテンプレート

数学的帰納法の証明は以下の4つのSTEPに沿って書きます。

このSTEPさえ覚えれば簡単に証明できてしまうので、この場で覚えてしまいましょう。

例題を解きながら、4つのSTEPを見ていきます。

\[1+2+3+…+n=\frac{n(n+1)}{2}\] を示せ。

STEP1:\(n=1\)のときを示す

数学的帰納法の証明は\(n=1\)で成り立つことを証明するところから始めます。

\(n=1\)のとき、
\[(左辺)=1\] \[(右辺)=\frac{1×2}{2}=1\] よって\((左辺)=(右辺)\)が成立する。

STEP2-1:\(n=k\)で成り立つと仮定する

\(n=1\)での場合が示せたあとは、証明したい命題が、\(n=k\)で成り立つと仮定します。

\(n=k\)で成り立つと仮定すると、
\[1+2+…+k=\frac{k(k+1)}{2}\]

STEP2-2:\(k\)以下のすべての自然数で成り立つと仮定する

STEP2-1のように、\(n=k\)で成り立つと仮定しただけでは対応できない問題もまれに存在します。

そんなときはこちらのSTEP2-2を使ってみましょう。

STEP3:\(n=k+1\)で成り立つことを証明する

STEP2で仮定したことを使って、\(n=k+1\)で成り立つことを証明します。

数学的帰納法の証明は、このSTEP3が山場です。STEP2で仮定したことをうまく使って証明しましょう。

\(n=k+1\)のとき、
\[(左辺)\] \[=1+2+…+k+(k+1)\] \[=\frac{k(k+1)}{2}+(k+1)\] \[=\frac{k(k+1)+2(k+1)}{2}\] \[=\frac{(k+1)(k+2)}{2}\] \[=(右辺)\]よって\(n=k+1\)でも成り立つ。

この証明では、
数学的帰納法
のようにSTEP2での仮定を使いました。

STEP4:数学的帰納法から、すべての自然数\(n\)で成り立つ

STEP3まで完了したら、「数学的帰納法から、すべての自然数\(n\)で成り立つ」と書いて証明終了です。

証明をまとめると、

\(n=1\)のとき、
\[(左辺)=1\] \[(右辺)=\frac{1×2}{2}=1\] よって\((左辺)=(右辺)\)が成立する。

\(n=k\)で成り立つと仮定すると、
\[1+2+…+k=\frac{k(k+1)}{2}\] となる。\(n=k+1\)のとき、
\[(左辺)\] \[=1+2+…+k+(k+1)\] \[=\frac{k(k+1)}{2}+(k+1)\] \[=\frac{k(k+1)+2(k+1)}{2}\] \[=\frac{(k+1)(k+2)}{2}\] \[=(右辺)\]

よって\(n=k+1\)でも成り立つ。

数学的帰納法から、すべての自然数nで成り立つ。

となります。

今示した式は、初項1、末項n、項数nの等差数列の和を求める式です。

不安な人は等差数列の公式をまとめた記事を見てください!

【3分でわかる!】等差数列の公式をわかりやすく

2020.04.30

練習問題

それでは数学的帰納法を使って証明問題を解いてみましょう。

問題1

\[\frac{1}{1×3}+\frac{1}{3×5}+\frac{1}{5×7}+…+\frac{1}{(2n-1)×(2n+1)}\]

\[=\frac{n}{2n+1}\]
を示せ。

問題1の解答・解説

\(n=1\)のとき、
\[(左辺)=\frac{1}{1×3}=\frac{1}{3}\] \[(右辺)=\frac{1}{2×1+1}=\frac{1}{3}\] よって\((左辺)=(右辺)\)が成立する。

\(n=k\)で成り立つと仮定すると、
\[\frac{1}{1×3}+\frac{1}{3×5}+…+\frac{1}{(2k-1)×(2k+1)}=\frac{k}{2k+1}\]
となる。\(n=k+1\)のとき、
\[(左辺)\] \[=\frac{1}{1×3}+…+\frac{1}{(2k-1)×(2k+1)}+\frac{1}{(2k+1)×(2k+3)}\]
\[=\frac{k}{2k+1}+\frac{1}{(2k+1)×(2k+3)}\] \[=\frac{k×(2k+3)+1}{(2k+1)×(2k+3)}\] \[=\frac{2k^2+3k+1}{(2k+1)×(2k+3)}\] \[=\frac{(2k+1)(k+1)}{(2k+1)×(2k+3)}\] \[=\frac{k+1}{2k+3}\] \[=\frac{k+1}{2(k+1)+1}\] \[=(右辺)\]

よって\(n=k+1\)でも成り立つ。

数学的帰納法から、すべての自然数\(n\)で成り立つ。

問題2

\[(1+2+3+…+n)^2=1^3+2^3+3^3+…+n^3\]
を示せ。

問題2の解答・解説

\(n=1\)のとき、
\[(左辺)=1^2=1\] \[(右辺)=1^3=1\] よって\((左辺)=(右辺)\)が成立する。

※STEP2-2を使います
k以下のすべての自然数で成り立つと仮定すると
\[1+2+…+k=\frac{k(k+1)}{2}\] となる。\(n=k+1\)のとき、
\[(左辺)\] \[=1+2+…+k+(k+1)\] \[=\frac{k(k+1)}{2}+(k+1)\] \[=\frac{k(k+1)+2(k+1)}{2}\] \[=\frac{(k+1)(k+2)}{2}\] \[=(右辺)\]

よって\(n=k+1\)でも成り立つ。

数学的帰納法から、すべての自然数\(n\)で成り立つ。

おわりに

いかがでしたか?

数学的帰納法を使った証明は、ここで紹介したSTEP通りにやるだけで簡単にできます。

ぜひ何度も練習してマスターしてください!

証明問題を解くのが苦手な人はこちらの記事もあわせてご覧ください!

もう悩まない!解けない原因別 証明問題の勉強方法

2020.10.09



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