【3分でわかる化学基礎】物質量とモル(mol)をわかりやすく解説

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はじめに

化学を習い始めて1ヶ月、突然出てくる「mol」。

物質量・molは高校の化学でとても大切な考え方ですが、新しい単位に戸惑う人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、molを基礎からわかりやすく解説します。

原子量分子量モル濃度についても最後に説明しているので、ぜひ最後まで読んでくださいね。

molの考え方が理解できれば、化学の他の単元もぐっと理解しやすくなりますよ。

化学基礎と化学の違いについて知りたい方はこちらの記事が参考になります!

【文理選択前の高校生必見!】理科基礎と理科の違いとは?化学・物理・生物の科目別に解説!

2022.10.12

教科書の定義をわかりやすく解説!「物質量」「モル(mol)」って何?

物質量・モル(mol)の定義:炭素12gの中の原子の数を数えてみた

物質量の定義:1mol=6.02×1023

物質量の単位であるmolは、個数を表します。

例えば、「水素が1molある」ということは「水素分子が6.02×1023個ある」ということと同じ意味です。

この「6.02×1023」は特別な数字で、アボガドロ数という名前がついています。ちなみに計算問題では、6.0×1023を使うことが多いですよ。

6.02×1023は、炭素の塊12gの中に含まれる炭素原子の数が6.02×1023個だったことに由来します。

そしてこの12という数字は、自然界に多く存在する炭素の質量数(陽子の数+中性子の数)が12であることから来ています。

質量数12の炭素1molが12gになるように定義したので、他の元素も質量数と1molあたりの質量が一致してわかりやすいですよ。

お米の「合」と物質量の「モル(mol)」は同じ考え方の単位

お米を計るときに使う単位である「合」と物質量の「mol」は、どちらも小さくて扱いづらいものを、一定の量にまとめて扱いやすくするために使われている単位です。

もし「合」という単位がなかったら、お米を炊くときは「お米1粒と水30分の1mlを反応させて……」と考えることになってしまいます。

実際は「合」というちょうどいい量の単位を使って「お米1合と水200mlを反応させる」と考えますよね。

原子や分子も、米粒と同じで、1個2個で考えるには小さすぎるのです。

「ある程度たくさんの数を集めてそれを1とする」基準を定めた方が、実際に実験するときに扱いやすいということです。

混同しやすい!「原子量」「分子量」「物質量」の違い

原子量・分子量とは、その原子・分子を1mol(6.02×1023個)集めると何gになるかを表した値です。

例えば酸素Oの原子量は16なので、O原子は1mol(6.02×1023個)集めたら16gになるということです。

お米の例えでいえば「お米1合あたり何gか」が米の品種によって決まっているということですね。

分子量は、分子に含まれる原子の原子量を足すと求められます。

例えば水H2Oの分子量は、Hの原子量が1・Oの原子量が16なので、水素2つ分と酸素1つ分を足して1+1+16=18と求められます。

同じ○○量なので混同する人が多いですが、物質量個数で、分子量と原子量質量であるという違いがあります。

物質量は「物」の「質量」ではなく「物質」の「量」であると意識すると良いでしょう。

原子や分子は、化学反応の時に決まった個数の比率で反応するので、個数の単位molを使う必要があります。

分子は使われている原子の種類によって質量が異なるので、質量の比で反応を考えると、反応しない余りが出るなど不都合があります。

例えば、水H2Oの生成式は2H2+O2→2H2Oです。

つまり、水素分子2個と酸素分子1個から、水分子2個ができます。

これを「水素2gと酸素1g」で考えると上手くいきません。なので、質量ではなく個数である物質量で考える必要がありますね。

モルを使った単位をわかりやすく解説!モル質量・モル体積・モル濃度

モル質量(g/mol)

モル質量とは、物質1molあたりの質量(g)です。

先ほど出てきた「原子量」「分子量」は、その原子・分子のモル質量を表す数字です。

1molの個数を質量数12の炭素12gに含まれる原子の数と定義したので、原子量・分子量とモル質量が一致するようになっています。同じにしたので便利ですね!

例えば、水の分子量は18なので、モル質量は18g/molです。ちなみに原子量・分子量には単位がないので気をつけましょう。

モル体積(L/mol)

モル体積とは、気体物質1molあたりの体積(L)です。

気体物質のモル体積:気体の種類にかかわらず、気体物質1molは標準状態で22.4L

例えば、酸素1molもアンモニア1molも標準状態(0℃、1気圧)では22.4Lです。

酸素とアンモニアの分子量は異なるのに、体積が等しいのは驚きですよね!

22.4Lという数字は、大変ですが問題を解きながら覚えましょう。

モル濃度(体積モル濃度)(mol/L)

モル濃度とは、溶液1Lに含まれる溶質のmol数です。

物質は水に溶かして反応させることが多いので、モル濃度は問題を解くときに一番頻繁に登場します。

例えば「モル濃度2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液」と言ったら、その水溶液1Lには水酸化ナトリウムが2mol溶けているということです。

単位が違うだけで、質量パーセント濃度の考え方と同じですね!

これができれば大丈夫!練習問題2選

紙とペンが無くてもできるので、このまま解いてみましょう!

練習問題1

Q:窒素(N2)1mol、水素(H2)3molが反応するとアンモニア(NH3)は何mol生成するか求めよ。また、生成したアンモニアがすべて気体であるとき、標準状態で何Lになるか。
注:「窒素1mol」というのは「窒素分子1mol」という意味です。

練習問題1の解答・解説

A:2mol、44.8L
まず反応式N2+3H2=2NH3を書いて、反応する窒素・水素・アンモニアの物質量の比を確認します。
下の図のように考えると、アンモニアは2molできることがわかりますね。
アンモニア生成の図解
1molの気体物質は気体の種類に関わらず、標準状態で22.4Lなので、生成した2molのアンモニアは22.4×2=44.8Lであると求められます。

練習問題2

Q:水酸化ナトリウム(NaOH)20gを水に溶かして5Lにした。この水溶液のモル濃度(mol/L)を求めよ。原子量はH:1、O:16、Na:23とする。

練習問題2の解答・解説

A:0.1mol/L
まず溶かした水酸化ナトリウムは何molかを求めましょう。
水酸化ナトリウム(NaOH)の分子量は23+16+1=40
つまり、水酸化ナトリウム(NaOH)は1mol集めたら40gになるということですね。
よって水酸化ナトリウム20(g)は20÷40=0.5(mol)とわかります。

次に水溶液のモル濃度を求めます。
5Lに0.5molの水酸化ナトリウムが溶けているので、モル濃度(溶液1Lに含まれる溶質の物質量)は
0.5(mol)÷5(L)=0.1(mol/L)
水酸化ナトリウム水のmol濃度の図解

さらに問題を解きたい方はこちらの記事を参考に問題演習をしてみましょう!

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おわりに

molの定義や使い方は理解できましたか?

わからなくなったら何度でもこの記事を読み直して、molをマスターしましょう!

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