はじめに
受験に向けて文理や科目を選ぶ時、悩んでしまう人も多いのではないでしょうか?
科目の選択を後悔なく行うためには、科目ごとの違いや特徴を知ることが重要です。
この記事では、理科基礎と理科の違いについて説明していきます。
目次
理科基礎と理科の基本情報
【理科基礎と理科】①理科基礎の内容を応用して理科を学ぶ
理科基礎と理科には、理科基礎の単位を修得しないと理科を履修できないという条件があります。
これは、理科の方が理科基礎よりも内容が複雑で、範囲も3倍ほどに増加するので、学習が難しいためです。
当然ですが、理科基礎で苦手な科目は、理科でも苦手になる可能性が高いです。
理科基礎の段階で、それぞれの科目の内容を自分がどの程度理解しているのかを把握した上で理科の科目を選ぶとよいですね。
【理科基礎と理科】②入試で使用できる科目が限られている
科目の選択をするときは、大学入試でその科目が必要となるかどうかを考慮する必要があります。
例えば、理科基礎のみで受験できる理系の学部はほとんどありません。また、理科の中でも入試に使える科目が制限されている大学もあります。
物理と化学は多くの理系学部の入試で選択できますが、生物と地学の選択に制限がある大学が多いですよ。
自分の受験する可能性のある大学については、入試科目として選択できる科目を前もって調べておくことが必要ですね。
理科基礎と理科の科目別の内容の違いと向いている人
理科の科目では、それぞれ計算量や実験の有無、暗記量などに差がありますよね。
ここから化学・物理・生物のそれぞれの科目の特徴について解説します。
【理科基礎と理科の内容の違い】化学:化学基礎より暗記内容が増加
化学では、化学基礎と化学の内容がひとつながりになっています。
同じ単元を化学基礎と化学で勉強することがほとんどなく、化学基礎のみで登場する分野も多くあります。
化学基礎でしか勉強しない分野は結合・酸と塩基・中和反応などですが、これらの分野は入試にもよく出題されますよ。
化学基礎では理論化学という化学全体の基礎となる部分が扱われています。理論化学では知識問題の他に計算問題が出題されることが多いです。
化学基礎で習った計算方法は化学でも使用します。mol計算はどの分野でも使用するので必ずできるようにしておきましょう。
化学は理論化学に加えて、無機化学・有機化学の3つの分野を扱っています。無機化学と有機化学は暗記量が多いです。
無機化学では、化学基礎で金属それぞれの炎色反応の色を覚えたように、元素1つ1つの性質を詳しく覚えます。またそれらを応用して様々な反応を扱ったり、電池・電気分解の仕組みを理解したりします。
有機化学は有機物(酢酸やエタノールなどの炭素を含む物質)の分類ごとの性質を覚え、それらを用いて反応結果から構造を考える問題が多く出題されます。
有機化学を勉強すると、化学基礎では丸暗記してきた水溶性の物質と水に溶けない物質などの知識を、有機物の構造の違いなどから説明できるようになりますよ。
以上から化学は、実験をやりたい人や今まで学習した化学反応の仕組みに興味がある人におすすめです。
また、有機分野で物質の構造を決定するときには、情報を組み合わせてパズルのように推測していくので、論理的に考えることが得意な人にも向いています。
ただしmolの計算や暗記が必須なので、極端に苦手な人は避けた方が良いでしょう。
【理科基礎と理科の内容の違い】物理:暗記ではなく本質の理解とその応用
物理基礎と物理では範囲がほとんど同じです。物理基礎では全ての分野の基礎的な部分を勉強し、物理ではより細かいことを勉強します。
ここで、物理基礎と物理で考え方の基本は変わりませんが、物理では複雑な数式を使用します。
例えば、物理基礎では物体の投げ上げなどの単純な設定の運動しか扱いませんが、物理では物体の円運動や単振動など複雑な設定の問題も扱えるようになります。
物理基礎、物理ともに公式やその導出以外に覚えることは少ないです。計算して問題を解くことが中心で、それぞれの分野の本質を理解した上で公式を応用させる必要があります。
よって物理は、暗記を最小限にし、自分の頭で考え計算して問題を解きたい人におすすめです。
また、物理基礎でも学習する力学は物理で基礎になるので特に重要です。
物理基礎では他の分野より力学に重点が置かれており、分量の割合が大きいです。
また、物体に対して重力や抗力などの力がどう働いているのかは、物理の力学以外の分野の問題を解くときに考えなければならないことも多いので、必ず理解しておくようにしましょう。
必ず物理基礎の範囲で不安なところをなくしてから、物理の勉強に臨んでくださいね。
【理科基礎と理科の内容の違い】生物:膨大な暗記量を整理して覚えるのが重要
生物基礎と生物では学習する単元がほとんど異なり、さらに生物ではより細かい知識を勉強します。
例えば、ホルモンの名前や作用は生物基礎のみで学習します。
ただし、入試では生物基礎での知識と組み合わせて問われるので、生物基礎の分野もきちんと理解しておく必要がありますよ。
生物基礎・生物に共通した特徴として暗記が多いことがあげられます。
暗記と言っても化学で元素とその性質を1対1対応させるものとは違い、生物ではその単元の全体像を理解した上で細かい知識を整理して覚えることが大切です。
例えば代謝について覚えるとき、解糖系は異化の中の呼吸の第1段階の反応であり、酸素を用いずにATP を生み出す点で発酵と共通していることを覚えれば良いですよ。
このように用語の包含関係を考えたり、共通点を整理したりして覚えると膨大な暗記量にも対応でき、さらに共通点を問う問題の対策にもなります。
また、入試問題では見たことのない実験の説明を見て、結果の予想や分析をする問題が出題されます。
つまり、闇雲に単語を覚えれば良いわけではありません。知識を活用できるようにすることが大切です。
以上より、生物は物事の全体像を把握するのが得意な人におすすめです。
また、暗記するときに具体的な生物とセットで覚えると効果が高いので、生物やその機能に興味がある人も楽しんで勉強できるでしょう。
反対に記量が物理・化学に比べて多いので、暗記が苦手な人や生物に興味がない人は選ぶのをやめた方が良いでしょう。
勉強するときはぜひ、教科書に載っていない世界の生物の知識も調べて、たくさんの面白い機能を一緒に学んでみてくださいね。
おわりに
理科基礎と理科は同じ部分もあるが異なる部分も多いです。
自分が興味を持って勉強できる科目を選ぶのが良いです。興味があれば難しい分野でも諦めず勉強することができるはずです。
理科基礎の時点で苦手な科目を理科で取ろうとするときは注意が必要です。自分がその科目を入試までに克服できるのかを考えて選んでください。
みなさんが後悔しない選択ができることを願っています!