勉強法・受験テクニック
否定ペンギン
東大合格者20名に聞く東大模試事情|各模試の特徴、判定は?
東大を志望する皆さんのほとんどが受験することになる東大模試。
夏と秋、直前期に行われるものもあり、後の勉強計画、モチベーションに大きく関わる、受験生の重要なペースメーカーです。
今回は、
駿台の東大模試、東大実戦模試
河合塾の東大模試、東大即応オープン
代ゼミの東大模試、東大入試プレ
東進の東大模試、東大本番レベル模試
の4つの模試について、東大合格者に、実際に受けた感触・ほかの東大模試と比べた時の特徴を伺ってみました。
思えば筆者自身も、受験生時代は東大模試に生活を振り回されました。
夏の東大実戦模試、東大即応オープンはともにB判定で、立派な成績でもないのに妙に安心してしまい、秋の東大本番レベル模試でC判定をとって初めてやる気スイッチが入る有様でした。
秋の東大実戦模試ではA判定をとることができ、夏の勉強の成果が表れたのかなと一安心。返却は12月中旬だったので、気分良くセンター試験対策に移ることができました。
筆者はA~C判定の間に留まりましたが、D、E判定をとってしまった時には目の前が真っ暗になることでしょう。
勉強の成果が数値に表れないと、裏切られた心持ちになりますからね。
判定や得点ばかりを気にするなとはよく言われますし、それは正しいです。
だからといって、まったく気にしないのももったいないです。
もちろん模試内容の復習は大切ですが……良い判定をとって喜び、モチベーションをあげる。悪い判定を目にして奮起する。
平坦になりがちな受験生活にアクセントを与える意味でも、模試は有用だといえます。
自分の東大模試の受験結果をどのようにとらえるかは、合否に少なからず影響するといっても過言ではないでしょう。
この記事では、
東大合格者たちは各東大模試をどのようにとらえていたのか?
そのリアルな声をお届けしますので、
東大受験生の方にとって、少しでも勉強の指針となれば幸いです。
ー今回行ったアンケートについてー
今回は平成28年度東大合格者に20名にアンケートを行いました。
第1回の判定がA、第2回の判定がBの場合は「#1A #2B」といった形で合わせて紹介しているので参考にしてくださいね。
 
東大模試No.1:東大実戦模試

8月に#1、10~11月に#2が行われる、駿台主催の東大模試が東大実戦模試です。
非常に多くの東大志望者が参加するので、自分の学力の位置を把握するにはもってこいです。
第2回の返却は12月中旬ごろなので、悪い判定をとってしまうとセンター試験対策にも影響を及ぼしかねません。
良い判定をとれるよう、模試の日程に合わせて学習を進め、復習にも全力を注ぎましょう。
東大合格者が東大実戦を受けた感触
	
		
		
			実際の入試より難しかった気がする。特に国語と社会の採点が厳しかった。
		 
	 
 
	
		
		
			良問揃いであると感じた。このぐらいの問題が解けるようになれば良いのだ、という指針になる。
		 
	 
 
	
		
		
			(#1)理科と英語が難しく、数学は少し簡単だと感じました。試験の大体の雰囲気をつかむことはできたと思います。
		 
	 
 
	
		
		
			(#1)物理に110分ほど回してしまった。反省。(#2)物理に148分ほど回してしまった。化学1点。猛省。
		 
	 
 
	
		
		
			本試の過去問よりも難しい感があった。要求する知識のレベルが細かすぎると感じた。
		 
	 
 
	
		
		
			現代文の模範解答が設問要求を満たしていないことがちょくちょくあった。日本史が難しすぎる。
		 
	 
 
	
		
		
			正直国語の問題作成にセンスがない。また採点基準も正直意味不明で解説を読んでもよく分からず、問題の質は総じて良くない。また社会は時代の流れより単語の量や質が要求される印象で、東大型とは言い難い。
		 
	 
 
	
		
		
			(#1)国語が上手くいったと思った。ただ熱があって英語と社会は受けられなかったのは上手くいかなかったと思った。数学はよくできなかった。(#2)英語がよくできた。数学はいつも通りできなかった。世界史は採点ミスで多くの点を得た。日本史はあまりよくできなかった。
		 
	 
 
	
		
		
			(#1)英語がかなり難しかった記憶があります。国語は現代文が取り組みにくかったです。
		 
	 
 
	
		
		
			(#1)数学はそれなりにできたが英語が全くできなかった。相殺されて並みの結果。(#2)「出る杭は打たれる」なんて私にぴったりの諺だ。最悪の場合C判定すら出ないかもしれない。
		 
	 
 
	
		
		
			(#1) すごく簡単でした。(#2)理科が難し過ぎたなあと思いました。
		 
	 
 
他の東大模試と比べた特徴(東大実戦模試編)
	
		
		
			数学が少し難しく、国語も難しい。日本史の字数も比較的長い。
		 
	 
 
	
		
		
			まず、地歴がムズい。そして、数学もムズい。さらに、国語や英語の採点が厳しい。要するに点数が出ない。
		 
	 
 
	
		
		
			知識重視の地歴の問題群。東大型とは少し言いがたい?採点基準も微妙。
		 
	 
 
	
		
		
			数学のみならず、理科も考え方があっているのに数値を間違えると大幅な減点をくらう。
		 
	 
 
	
		
		
			受験者数が多く、数学はほどほどの難易度。解説が充実している。ただ、知識問題が細かすぎる。
		 
	 
 
	
		
		
			全体的に難しい。世界史の模範解答が体言止め。日本史が難しすぎる。
		 
	 
 
	
		
		
			河合に比べ問題が難しい代わりに採点が甘い。数学と英語で特に差が顕著に表れる。
		 
	 
 
	
		
		
			英語:良質 数学:良質かつ難 国語:漢文は良質、あとは…… 世界史・日本史:あてにならない。
		 
	 
 
	
		
		
			社会の点が入らなすぎる。社会が苦手な人は実戦模試の判定で図にのるべきではないが、逆に得意な人は判定が悪くとも落ち込む必要はない。また、河合にもいえることだが駿台の模試は合格者の大半が受けているので、受験生内における自分の立ち位置を知るのに非常に有効である。
		 
	 
 
	
		
		
			理科が難しい(微積を前提とした物理等)印象です。現代文の採点はあまり厳しくないなあと思います。
		 
	 
 
東大模試No.2:東大即応オープン

8月に#1、10~11月に#2が行われる、河合塾主催の東大模試が東大即応オープンです。
駿台の東大実戦模試と同じく、非常に多くの受験生が参加するので、自分の学力の位置を把握するにはもってこいです。
第2回の返却は12月中旬ごろというのも東大実戦模試と同じ。
例年、11月第1週の土日が東大実戦模試、その次の土日が東大オープンという感じで、1週間後に行なわれます。
この特徴を生かして、
先に行われた模試を受け、自分に足りないと感じた部分を1週間のうちに補充して次の模試に備える
片方だけ一発勝負で受ける
などの戦略が考えられますね。
東大合格者が東大オープンを受けた感触
	
		
		
			駿台より易しい。要素を書きまくれば点がくるのであまりあてにならない。
		 
	 
 
	
		
		
			得意の数学で思うように取れませんでした。それ以外の科目はいつも通りに解けた(国語は溶けた)と思います。
		 
	 
 
	
		
		
			(#1)物理に100分ほど回してしまった。反省。(#2)物理に130分ほど回してしまった。猛省。
		 
	 
 
	
		
		
			総じて問題レベルは東大より少し易しい感じ。国語は東大の典型的な問題形式から冒険しないため、たまに悪問が混じるものの許容範囲程度。数学も少しやさしめだが途中経過に対する減点が厳しい。英語、社会は東大型に近くまあまあおすすめ。
		 
	 
 
	
		
		
			英語は作文の採点がなかなか厳しい。数学はスタンダード。日本史は解説に間違いが見つかるし、リード文写せば点来るから意味なし。
		 
	 
 
	
		
		
			(#1)だめだった。数学も英語もできなかった。腹痛のせいで社会もできなかった。
		 
	 
 
	
		
		
			#1、#2ともそこそこだなあと思ってそこそこの成績が帰って来ました。特に突出したところはないと思います。
		 
	 
 
他の東大模試と比べた特徴(東大オープン編)
	
		
		
			英作文の採点基準がしっかりしていて、解き直しやすい。
		 
	 
 
	
		
		
			駿台と違って、自分が予想するよりも高い点数が帰ってくる。
		 
	 
 
	
		
		
			採点が丁寧。数学がやや簡単。国語の採点が適切。日本史があまり良い問題ではない。A判以上は全員冊子掲載。
		 
	 
 
	
		
		
			駿台と比較して理科が簡単であること、数学が本番の傾向に近いと思いました。
		 
	 
 
	
		
		
			駿台よりも英語が答えやすかった。でも夏の英作文は0点。
		 
	 
 
	
		
		
			本試験に近い内容で、解説も豊富。受験者数が多い。ただ、採点の都合か解答用紙が本番の形式と違う。
		 
	 
 
	
		
		
			駿台模試に比べ圧倒的に問題が簡単な反面、採点が厳しい。途中過程や内容点での減点が激しく、文法ミスがないのにほぼ点が入らないこともある。ただどちらかと言えば河合の方がより東大型に近い。
		 
	 
 
	
		
		
			英語:良質 数学:普通 国語:良質 日本史:良くない 世界史:駿台よりマシ
		 
	 
 
	
		
		
			問題傾向は実戦模試のほうが忠実な気はする。(例えば、第二回でベクトルや軍記物が出たのはあまり東大らしくない。)だが、総合的にみるとオープン模試の判定のほうが信頼できるように思う。また、駿台にもいえることだが河合の模試は合格者の大半が受けているので、受験生内における自分の立ち位置を知るのに非常に有効である。
		 
	 
 
	
		
		
			国語の採点が(自分的に)厳しいなあと思います。他社に比べてあまり問題に魅力を感じないことが多かったです。
		 
	 
 
東大模試No.3:東大入試プレ

7月に#1、10月に#2が行われる、代ゼミ主催の東大模試が東大入試プレです。
駿台・河合塾の模試に比べて受験者数は少なめ。
よって、アンケートデータも少なくなるのですが、ご紹介します!
東大合格者が東大プレを受けた感触
	
		
		
			本当に良い問題が多い。解説も丁寧。復習すれば、必ず力がつく(といっても自分は復習しませんでした)。
		 
	 
 
	
		
		
			(#1)数学と物理で何を言っているかわからないで21点と14点だったほどに何もわかりませんでした。(#2)特に英語と物理が簡単だなあと感じました。
		 
	 
 
他の東大模試と比べた特徴(東大プレ編)
	
		
		
			とにかく国語の点数が高く出る。受験者数が極めて少ない。文系で1000人いない。
		 
	 
 
	
		
		
			地歴の採点は、点数的に本番に一番近いかも。一方、受験者数が少ない。開催会場も少ない。つまりデータ数が少ない。
		 
	 
 
	
		
		
			数学の良問が多く、英語は簡単で(採点が緩かった)国理がよく東大に似せてあるなあと思いました。特に現代文は他社に比べて東大が2000年以降定義する近代と現代についての文章がよく出されている印象があります。以上から冠模試の中では一番出来が良いと思います。
		 
	 
 
東大模試No.4:東大本番レベル模試
6月に#1、10月に#2、1月に#3が行われる、東進主催の東大模試が東大本番レベル模試です。
3回行われること、他の東大模試のない時期に行われることが特徴で、特に#3はセンター試験終了後の最後の腕試しとして使えるかもしれません。
東大プレと同様、受験者数は少なめです。
また、他と異なり模試の過去問が市販されていない点に注意してください。
東大合格者が東大レベル模試を受けた感触
	
		
		
			リスニングが簡単すぎる。数学が難しすぎる。現代文はもはや謎。地歴は良い問題だった。
		 
	 
 
	
		
		
			日本史は手応えのある問題で良かったです。英語もまずまず出来ました。あとはぼろぼろ。
		 
	 
 
他の東大模試と比べた特徴(東大レベル模試編)
	
		
		
			目の前にパソコンがある教室で受けさせられる。試験時間の違う文理で同じ教室の事もある。机が小さい。試験監督がうるさかった。
		 
	 
 
	
		
		
			日本史が良質。世界史が露骨な過去問リバイバル。数学が難しい。国語の採点が鬼。英語がやさしめ。採点基準がある程度統一されている。
		 
	 
 
	
		
		
			日本史は群を抜いて良質でした。英語:並 数学:難 国語:ダメダメ 世界史:ダメダメ
		 
	 
 
	
		
		
			代ゼミと同等くらいには本試に似せてきてると思いますが、数学は難しく英語の採点がかなりゆるい印象を受けました。
		 
	 
 
各種東大模試|まとめ
アンケートの結果から言えることを総括して記します。
複数見られる回答として……
東大実戦模試
- 国語、とりわけ現代文が取り組みにくく、採点も厳しい。(一方、現代文の採点は他と比べて厳しくない、との意見もあり)
 
- 地歴は本番よりも知識を要求され、採点も厳しい。(特に日本史について同様の意見多数)
 
- 理科が厳しい
 
- 英語が難しい
 
(※科目に関わらず、難しいという感想が他模試と比べて多かったです)
東大即応オープン
- 東大実戦模試より本番に近い(=易しい)。点数が高く出る。
 
- 解答用紙が本番の形式と異なる。
 
(※本番に近い、と簡単、と点数が高く出る、はほぼ同義でしょう。これらの意見が多かったです)
東大入試プレ
- とにかく人がいない。
 
- 本番に近い(高めの)点数が出る。
 
(※「人がいない」についてはアンケートをとるまでもない気がしますが……)
東大本番レベル模試
(※ほかの模試でも同様ですが、問題の作成担当者が今年度以降も同じとは限らず、以降も同じ質が保たれるとは保障できません)
以上です。これらは概ね筆者の経験とも一致します(筆者は文系なので理科のことはわかりません。また、東大入試プレは未受験です)。
東大合格者の東大模試事情|まとめ
いかがでしたか?
模試は全受験者が公平に受けられるよう、厳格な採点基準が存在するといわれています。
東大模試のように、受験者数が膨大な記述模試では、公平性を保つために「キーワード採点」(「○○事件」と書いていたら2点加点、など)を行わざるを得ないことを、受験生は念頭に置く必要があるでしょう。
東大を志望する受験生は、あまり地歴の細かい暗記事項を重視しない傾向にあり、地歴の点数が出づらいのもそのためだと思います。つまり、他の模試にも言えることですが、本模試での得点力と本番での得点力は必ずしも一致しません。
本模試で本番の合格点に届かなかったからといって、必要以上に落ち込むのは、それこそ模試を間違った風に捉えてしまっているということです。
一方で、たかが模試……と甘く見て、貴重な成長の機会を逸しないでくださいね。