はじめに
無機化学は、沈殿や気体の色など覚えるべき色が多く、覚えにくいですよね。
この記事では語呂や表など記憶強化のコツを総動員して、無機化学で覚えるべき色の全てを詳しく解説します。
楽しく色を覚えて無機化学をマスターしましょう!
目次
無機化学で覚えるべき色一覧 その1
イオンの色
まず、イオンの色を覚えましょう!イオンの色は様々な物質の色の推定に役立つためしっかり覚える必要があります。以下に一覧表で示しました。

暗記の補助になる情報を紹介するのでぜひ参考にしてください!
解説
①鉄について、2価は薄く、3価は濃いことをまず覚えましょう。
②Cu²+の青はカブトガニの血の青色と関連があります。
人間の血はヘモグロビンという鉄を含んだ成分を有していますが、カブトガニはヘモシアニンという銅を含んだ成分を有しており血が青いんです!
③Niについては、周期表を思い出しましょう。
思い出せましたか?「Co Ni Cu」の順ですね。Niは青系統のCoとCuの間なので青系統だろうと考えます。緑色と覚えますが、実際は青緑に近いです。(画像)

④MnO₄‐とMn²+は酸化還元滴定と対応させましょう!ほぼ無色(淡桃色)→赤紫色の色の変化で滴定の終点を判定しましたね。これはMn²+からMnO₄-への色の変化に由来しています。
⑤I₃-はうがい薬を連想しましょう!

⑥錯イオン2つについては金属イオンの色が濃くなったと考えると良いです。
*クロムは後述
水酸化物沈殿・酸化物の色
まず、水酸化物沈殿を解説します。表を見てください。

水酸化物沈殿のポイントは2つです。
①基本は白色で、上記の例外5種を覚える。
②イオンの色が濁った(たいてい白っぽく濁る)と考える。
特に②を知っているとイオンの色から推定が可能なため、暗記の負担がかなり減ります。
続いて酸化物を解説します。以下に示した7種を覚えましょう!

解説
①鉄は酸化数に着目し黒から赤へとさびが進んでいくイメージで覚えましょう。
②銅について筆者は10円玉の色の変化で覚えました。古い10円玉ほど黒っぽいですよね。酸化が進み赤から黒へと変化するイメージです。
③亜鉛は全て白と覚えましょう。ZnO、ZnSなどテストで聞かれるものはすべて白です。
ZnOはジンクホワイトといわれ、ベビーパウダーに使われています。

④MnO₂はマンガン乾電池の正極活物質です。電池分解動画を2つ紹介するのでぜひ見てみてください!
どうでしたか?酸化マンガンの色が強く印象に残ったことだと思います。このように色を覚える場合は視覚情報が重要なため動画は有効なのです。資料集、Web記事なども積極的に活用しましょう!以下に無機化学の色を学ぶ際におすすめの動画、記事を紹介します。
https://kimika.net/m1ionchindeniro.html
無機化学の色まとめ(イオン/化合物(沈殿)/ハロゲンなど) | 化学のグルメ
無機化学で覚えるべき色一覧その2
塩化物、硫酸塩、炭酸塩、硫化物の沈殿の色
これら4つの中で硫化物だけ仲間外れなのですが、分かりますか?実は塩化物、硫酸塩、炭酸塩は全て白色で、硫化物の基本色は黒色です。まずはこの点を押さえて下さい。
塩化物、硫酸塩、炭酸塩は全て白色なので色よりも、どの金属が沈殿を作るのかを覚えることが大切になります。
塩化物はAg、Hg、Pb。硫酸塩はBa、Ca、Sr、Pb。炭酸塩はBa、Ca(バカ!)。を覚える必要があります。特に赤字で示した金属は頻出なので優先的に暗記しましょう!
筆者が硫酸塩を覚える際に役立ったゴロを1つ紹介します。
「バカにするな!」竜さんは白けて沈む

ゴロは積極的に活用しましょう。本記事で紹介しきれない分は、ぜひ検索してみたり、オリジナルのゴロを考えてみてください!
次に硫化物について解説します。
硫化物の基本色は黒ですが、例外4種を覚えます。

解説
①亜鉛は全て白
②SnSについて、筆者は「SNSでカっとなる」「SNSは濁ってる」などと覚えました。
③CdSはカドミウムイエローと呼ばれ、絵具などに使われています。
④MnSはMn²+の色から連想すると覚えやすいです。
クロム、鉄、ハロゲンの色
まず、クロムについて整理しましょう!

クロム関連で覚えるべきは以下の3点です。
①Cr³+の暗緑色とCr(OH)₃の灰緑色をセットで覚えましょう。(イオンの色から推定できるのでしたね。)
②(CrO₄)²‐、Ba(CrO₄)、Pb(CrO₄)、Ag₂(CrO₄)の色はセットで覚えましょう。ゴロを紹介します。
「バナナを銀貨で買ったら苦労した」

ヨビノリさんというYoutuberの方が紹介していたゴロで、バナナでBa、Pbと黄色を覚えられる点がとても優秀です。
③(CrO₄)²‐を酸性にすると(Cr₂O₇)²‐となり、黄色→赤橙色へと強い色に変化するとイメージすると良いでしょう。
次に、鉄について覚えることは以下の2点です。
①錯体は濃青色
②Fe³+にSCN-を加えると血赤色
*イオンと水酸化物と酸化物の色は既出
最後にハロゲンの色です。ハロゲンで覚えるべきは単体とハロゲン化銀の色です。ポイントは1つだけ。周期表の下に向かうに従って色が濃くなることです。

順に色を思い浮かべながら濃く変化していくイメージを脳内で描きながら暗記すると一気に覚えやすくなるのでおすすめです。
その他覚えるべき色
最後に気体の色と炎色反応を解説します。
気体について2点覚えましょう。
①オゾンO₃(淡青色)。オゾンから空の色を連想しましょう。
②NO₂(赤褐色)
炎色反応は花火の色の原理などでおなじみですよね。覚えるべき色はLi(赤)Na(黄)K(赤紫)Cu(青緑)Ba(緑)Ca(橙赤)Sr(紅)です。
ここでは筆者が最も有能だと考えるゴロを紹介します。
「リアカーなきK村、どうも精力・馬力がなくて、勝とうとするもアカン!」

以上が無機化学で覚えるべき色の全てになります。覚えにくいものは紙などに整理しましょう!繰り返し触れて少しづつ覚えていくのがおすすめです。筆者は Quizletにまとめ、隙間時間に見ていました。
下に覚えにくいものをいくつか列挙したので力試しに色を思い浮かべてみてください!分らなかったものは早速紙に書き出しましょう!

おわりに
入試に出る無機化学の色をすべて紹介しました。
全部で50個ほどありますが工夫すれば暗記量を減らすことは可能です。
この記事で紹介した内容に加えて、ぜひ一度皆さん自身で工夫してみることをおすすめします!
楽しく化学を学んでいきましょう!