はじめに
高校化学は理論化学、無機化学、有機化学の主に3つの領域に分かれています。そのため、勉強の優先順位を付けることが難しいです。
本記事では、3つの領域の分野別難易度を紹介しているので、今後の勉強の指針を定めやすくなっています。
記事内では、分野ごとのランキングだけにとどまらず、どの部分が難しいと感じたのかを実際の経験を元に説明していますよ。
高校化学は領域ごとに問題の系統がガラっと変わることが多いので、暗記と理解の両方の力が必要です。そこで化学の勉強法についても紹介しています。
理論化学の分野別難易度ランキング
理論化学はどのような分野?
理論化学は回答者の8割が最も難しい領域と回答しているくらい攻略に時間がかかると言って良いでしょう。主な理由は3つ挙げられます。
1つ目は、計算が複雑だからです。有効数字の扱いに注意する必要もあり、計算に関しては数学よりも注意を払いながら行う必要がありますよ。
2つ目は、物質量の単位であるmolが新概念となっているからです。個数を別の単位で表すことに慣れるまで時間がかかる人が多いです。
3つ目は、暗記だけでは太刀打ちできないからです。計算問題が多く出題されるため、詳細な部分まで理解が必要な領域となっています。
この3点を考慮しながら、ここからは理論化学の難しい分野とその対策方法をお伝えします!
【ライバルより一歩先へ】理論化学の難しい分野1位:物質の状態変化・気体
この分野では気液平衡や飽和蒸気圧などの問題が登場します。2つの範囲は特に難問が出題されやすいです。
また、計算量がとても多くて多くの式を立てる必要もあるので大変です。数字のスケールが大きいので指数にも気をつけて計算する必要がありますよ。
問題を解くときに、目に見えない気体へのイメージがわきにくいため、困る方も多いのではないかと思います。そんな時は、問題の状況を把握するために自分で図を描くと良いですよ。
どの状態が等しいかに注目して問題を解くことを心掛けると、一見難しそうに見える問題でもすらすらと解くことができます。
【ライバルより一歩先へ】理論化学の難しい分野2位:化学平衡
この分野では平衡定数という新概念が登場します。扱う事象が幅広く、問題のレパートリーが多いのが特長です。
電離平衡の分野では、近似を使用する問題が出てきます。
正しい場所で近似を用いなければ、計算に大きな影響が出てしまいます。また、多段階電離の問題では式を複数立てたり、等しいとみなせる部分に注目したりと注意するポイントが多いですよ。
緩衝液の分野では、どの溶液が影響して緩衝作用を示すのかを見極めることが必要です。
複数の化学平衡について考察する問題が実際に東工大で出題されたこともあり、数学の知識も試されていることが分かりますね。
【ライバルより一歩先へ】理論化学の難しい分野3位:化学反応と熱・エネルギー
この分野ではエネルギー図、ヘスの法則、結合エネルギーが登場します。
解法は図を書いて相互関係を理解する方法、または式をたくさん作り地道に計算する方法の2つに分かれます。
図で視覚的に理解しやすいので分かった気になってしまいやすいです。また、吸熱反応と発熱反応を逆にしてしまいやすいですよ。±が反対になるので、解答が完全に異なってしまう点に注意しましょう。
ミスを防ぐために、計算式と図の両方で確認を行うと良いですよ。
無機化学の分野別難易度ランキング
無機化学はどのような分野?
無機化学は暗記事項が8割を占めており、3領域の中では比較的取り掛かりやすいです。
暗記が苦手な人は難しく感じるので、演習を積み重ねて暗記事項を整理すると良いですよ。
【ライバルより一歩先へ】無機化学の難しい分野1位:遷移金属元素
この分野では比較的なじみのある鉄やニッケル、鉛や銅などの重金属が登場します。
沈殿の有無や溶液の色など、反応と関連付けて覚えられる物が少ないのが特長です。逆に覚えていると得点源にしやすいとも言えますね。
また、族でグルーピングされていないため、ハロゲンのように性質が類似したものがなく、単体で暗記する必要があります。
さらに、工業的製法の各段階を暗記するのが大変です。物質や反応式が多く出てくるので類似問題を繰り返して暗記していきましょう。
また、酸塩基との反応式を暗記することも大変です。なぜなら、酸化剤と還元剤それぞれで反応を暗記する必要があるからです。
過酸化水素のように酸化剤、還元剤どちらの式も存在したり、過マンガン酸イオンのように酸と塩基によって反応式が異なる物質もあります。
過去にセンター試験でも出題のあった、鉄の酸化に関する問題は頻出なので対策をしておきましょう!
【ライバルより一歩先へ】無機化学の難しい分野2位:生活と無機物質
この分野では、合金、半導体が登場します。
金属は日常生活のあらゆる場面で用いられており、用途を覚えるのが大変です。
また、半導体の仕組みの理解に時間がかかります。試験に出る頻度はそこまで高くないですが、日常生活と絡めた問題が出たとき用として基本知識を押さえておきましょう。
有機化学の分野別難易度ランキング
【有機化学の分野別難易度ランキング】有機化学はどのような分野?
有機化学は教科書では最後に扱われる範囲です。受験直前に慌てて学習することが多いので知識不足になりやすい領域です。
今回ランキング自体には含まれていませんが、構造決定の問題は有機化合物の知識をフルに使う必要があります。そのため、特徴的な反応の有無や不飽和度と多重結合の関係など視野を広く持たなければ問題が解けないことに注意しましょう。
【ライバルより一歩先へ】有機化学の難しい分野1位:合成高分子化合物
この分野では、ゴム、プラスチック、イオン交換樹脂などが登場します。
ゴムの用途や構造式など覚える事項が多岐にわたるのが特徴です。特に樹脂の原料や用途、重合方法の暗記が大変です。
試験では、繊維の合成で反応式を用いながら生成物の量を出す計算問題が頻出となっています。慣れるために、教科書傍用問題集などの問題を繰り返しましょう。
また、具体的な数字ではなく、重合のためにnが用いられておりイメージがしにくいのも特徴の1つです。
イオン交換樹脂については、他の領域との複合問題が作られることもあります。
合成高分子化合物は応用的な範囲なので、分子量が小さい有機化合物の理解が基本となります。有機化学分野の既習事項に不安がある場合は、そこを完璧にして取り組むべきですよ。
【ライバルより一歩先へ】有機化学の難しい分野2位:天然高分子化合物
この分野では、糖、タンパク質、核酸などが登場します。
糖と核酸については、立体的な構造式まで自分で書けるようになる必要があります。なぜなら、脱水縮合でどの部分が反応に関与しているかを見る必要があるからです。
糖の構造式は一部分だけが違ったり、官能基の位置が上下逆になっていたりしてややこしいです。何度も繰り返し確認するようにしましょう。
試験では、タンパク質は検出反応とセットで出題されやすくなっています。どのアミノ酸が含まれているかを回答する問題が多いので、問題集の類似問題を解いて対策をするのがおすすめですよ。
天然高分子化合物の分野は、生物選択の人でないとはじめての内容が多く慣れるまでに時間がかかります。
暗記をしていないと全く解けない問題が多いので、理解と暗記のバランスを取りながら学習を進めていきましょう。
また、合成高分子化合物と同様に、反応式を用いて生成物の量を求める問題もあるので、基礎的な計算もあなどらず丁寧に対策していくことをおすすめします。
おわりに
高校化学は領域ごとに問題の系統がガラっと変わることが多いです。
暗記と理解の両方が必要で、つまづきやすいポイントを1つ1つ押さえていくことが大切ですよ。
ぜひ、本ランキングをもとに具体的な化学の勉強計画を立ててみてくださいね。