はじめに:分配法則についてわかりやすく
分配法則は中学一年で習う単元です。
算数から数学という名前に変わり、数だけではなく文字も扱われるようになったばかりの中学生にとって、分配法則は難しく感じられるかもしれません。
でも、大丈夫!この記事を読めば、分配法則の仕組みややり方、間違いやすいポイントなどがよくわかります。
さらに練習問題で、分配法則が問題としてどのように出てくるかがよくわかります。
ぜひ最後まで読んでいってください!
分配法則とは?(やり方解説)
まずは分配法則の紹介からです。
分配法則は言葉では説明しにくいものです。
簡単にいうと\(A(B+C)\)という文字式を\(AB+AC\)にばらすことができること¥を分配法則といいます。
つまり、分配法則とは\(A(B+C)=AB+AC\)が成り立つことをいうのですね。
でも、これだけでは文字ばっかりでいまいちイメージが湧きません。
そこで、\(A\)に\(3\)を、\(B\)に\(4\)を、\(C\)に\(2\)を代入してみましょう。
\(3(4+2)\)を普通に計算すると、カッコの中を先に計算して\(3×6=18\)になりますね。
これが分配法則を使っても成り立っていることを確認してみましょう。
分配法則を使うと\(3(4+2)=3×4+3×2\)となり、\(3×4+3×2=12+6=18\)で先ほどの計算結果と一致しましたね。
よく分配法則を一番最初の文字だけに使ってしまい、\(A(B+C)=AB+C\)としてしまう人がいます。
()(カッコ)の中身の項が何個になっても、全ての項に分配法則は適用されますので注意してくださいね。
この分配法則を使うととても便利に計算のできる問題がありますが、それについては後の練習問題でやってみます。
とりあえず、なぜ分配法則が成り立つのでしょうか?
先ほど例を出して実際に分配法則が正しいことを確認しましたが、これを一般化してみましょう。
分配法則の証明
では、分配法則の証明をしていきます。
証明といっても、どうして分配法則が成り立つのかを図を使って説明するのですが…
皆さんは掛け算の仕組みについては知っていますよね?
例えば\(3×4\)は、\(3\)の塊が\(4\)つあるということ、つまり\(3+3+3+3\)のことを表しているのでした。
よって\(3×4=12\)になるのです。
この考え方を分配法則を考えるときにも使います。
先ほどの\(A(B+C)\)で考えます。
掛け算の仕組みに従うと、\(A(B+C)\)とは\((B+C)\)という塊が\(A\)個あるということを表しています。
言い換えると、\(A(B+C)\)は、\((B+C)\)を\(A\)個足しているということになります。
そして、\((B+C)\)が\(A\)個足されているということは、\(B\)、\(C\)のそれぞれが\(A\)個足されているということですね。
そこで\(B\)は\(B\)、\(C\)は\(C\)で分けてみましょう。
そして、\(B\)、\(C\)がそれぞれ\(A\)個ずつあるということは…
もうおわかりですよね。\(B\)が\(A\)個集まって\(AB\)、\(C\)が\(A\)個集まって\(AC\)となるのです。
以上をまとめておきます。
分配法則は掛け算が一体どのようなものだったかがきちんと掴めていればさほど難しくはないものですよ。
分配法則の逆の作業のことを因数分解といいます。
具体的には\(AB+AC\)を\(A(B+C)\)とすることをいいます。
因数分解について知りたい人はこちらを参照してください。
分配法則の練習問題(3題)
では、分配法則がよくわかったところで、練習問題にチャレンジしてみましょう!
全部で3題あり、1問が基本の確認、残り2題がちょっとした応用になっています。
問題1
次の式を分配法則によって展開せよ。
(1)\(3(2x+3y)\)
(2)\(2a(3x+4y+5z)\)
問題1の解答・解説
分配法則\(A(B+C)=AB+AC\)にしたがって式を展開していきます。
(1)は今までの通りです。
\(A(B+C)=AB+AC\)同様に\(3(2x+3y)\)を\(\style{ color:red; }{ 6x+9y }\)と展開すれば良いですね。
くれぐれも\(6x+3y\)と展開してしまわないように注意してくださいね!
\(3(2x+3y)\)の\(3\)は\(2x\)にも\(3y\)にもかかりますよ!!
(2)に移ります。
こちらはカッコの中に\(3\)つ項がありますが、やることは変わりません。
\(2a\)をきちんと\(3x\)と\(4y\)と\(5z\)にかけてあげます。
答えは\(2a(3x+4y+5z)=\style{ color:red; }{ 6ax+8ay+10az }\)となります。
問題2
\(12×2998\)をできるだけ簡単に計算せよ。
問題2の解答・解説
こんなに大きな桁だと暗算はきついし、かといって筆算も時間がかかりそう…
こんなときにも使えるのが分配法則なのです!
やり方は簡単で、桁が大きかったり、複雑な数を2つの数に分けるのです。
しかし2つに分けるといっても、テキトーに気分で分けたりしてはかえって計算が面倒になりますよ笑
どのように2つに分けるかというとキリの良い数に分けるのです。
例えば、今回の\(2998\)を\(3000-2\)に、\(101\)を\(100+1\)に分けるといった具合です。
これを使うと、\(12×2998=12(3000-2)\)とできて、分配法則が使える形になりましたね。
よって、解答としては
\(12×2998\)
\(=12(3000-2)\)
\(=36000-24\)
\(=\style{ color:red; }{ 35976 }\)
とたった4行で済んでしまうのです!
わざわざ筆算を実行する必要はありませんし、正確性が格段に上がります。
問題3
次の□に入る数字を求めよ。
\(99×99=□-99\)
問題3の解答・解説
先ほどのように計算を工夫して□の中を求めます。
今回は\(99=(100-1)\)であることを使います。
よって、分配法則
\((A+B)(C+D)\)
\(=AB+AD+BC+BD\)
を使います。
よって、
\(99×99\)
\(=(100-1)×(100-1)\)
\(=10000-100-100+1\)
\(=(10000-100)-(100-1)\)
\(=9900-99\)
ゆえに、□=\(\style{ color:red; }{ 9900 }\)になります。
まとめ:分配法則のやり方を知っておくと、計算が楽になる!
いかがでしたか?
分配法則を知っていると、今まで面倒だった計算が楽になりましたよね?
確かに、練習問題に出てきた問題も地道にやればできなくはない問題ばかりです。
しかし、いくら問題が解けても時間がかかっていてはストレスもたまるし、ミスも起こりやすくなる…
面倒な問題だからこそカシコク問題を解いて周りと差をつけましょう!
なんども練習して身に付けるようにしましょうね。