はじめに:約数の個数・約数の総和の求め方について
大学入試でも、共通テストから東大まで、どんなレベルでも整数問題はよく出題されます。特に約数は整数問題を解く上で欠かせない存在です。
今回は約数に関連した「約数の個数」・「約数の総和」を求める問題を解説します!
最後には約数の個数・約数の総和の求め方を身につけるための練習問題も用意しました。
ぜひ最後まで読んで、約数をマスターしましょう!
目次
約数の個数の求め方
まずは約数の個数の求め方を解説します。例として360で考えてみましょう。
まずは360を素因数分解します。\(360=2^3×3^2×5^1\)です。
素因数分解について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
このとき、数字の右肩にある指数は3、2、1ですね。それぞれに1を足します。4、3、2です。
それらをかけ算したもの、つまり\(4×3×2=24\)が360の約数の個数です。
文字を使って表すと、\(x^a×y^b×z^c×…\)の約数の個数は\((a+1)(b+1)(c+1)(…)\)ということです。
たとえば上で取り上げた360の場合、素因数分解すると\(360=2^3×3^2×5^1\)でした。
約数は、この2、3、5の指数を決めると1つに決まります。
このように、
2の指数は\(2^0\)、\(2^1\)、\(2^2\)、\(2^3\)の4通り、
3の指数は\(3^0\)、\(3^1\)、\(3^2\)の3通り、
5の指数は\(5^0\)、\(5^1\)の2通りということで、
全体で\(4×3×2=12\)(通り)です。
約数の総和の求め方
次に約数の総和の求め方です。
約数の総和とは、約数を全て足したものです。たとえば6の場合、約数は1、2、3、6の4つなので\(1+2+3+6=12\)が約数の総和です。
このように約数が少ない場合は素直に足して求められますが、大きい数字ではどのように求めればよいでしょうか。
同じく360を例に解説していきます。
まずは上と同じく素因数分解します。\(360=2^3×3^2×5^1\)でしたね。(素因数分解するときは1乗のときも右肩に1を書いておくことをオススメします。)
今回は、それぞれの素数2、3、5の0乗から順番に足したものをかけ算します。言葉では理解しにくいので360を例に考えてみましょう。
360の場合、
\((2^0+2^1+2^2+2^3)(3^0+3^1+3^2)(5^0+5^1)\)
\(=(1+2+4+8)(1+3+9)(1+5)\)
\(=15×13×6\)
\(=1170\)
です。
文字を使って表すと、\(x^a×y^b×z^c×…\)の約数の個数は\((x^0+x^1+…+x^a)(y^0+y^1+…y^b)(z^0+z^1+…+z^c)(…)\)
ということです。
全ての約数は、素因数(約数の中で素数のもの)の積で表せます。
例えば18だと、
さらに、18を素因数分解すると\(18=2^1×3^2\)なので、約数の総和は\((2^0+2^1)(3^0+3^1+3^2)\)で求めることができます。
この式を展開すると、
\((2^0+2^1)(3^0+3^1+3^2)\)
\(=2^0×3^0+2^0×3^1+2^0×3^2+2^1×3^0+2^1×3^1+2^1×3^2\)
となり、それぞれの項が約数になっているのが分かります。
約数の個数の公式と約数の総和の公式を混同してしまったら
この2つの式は形が似ていることもあり、混同してしまいがちです。そんなときは、とりあえず「約数の個数」と「約数の総和」を両方求めてみましょう。
「約数の個数」は必ずもとの整数より小さく、「約数の総和」は必ずもとの整数より大きくなります(※ただし1は例外)。
(上で考えた360の場合、約数の個数は24で、\(24\lt 360\)が成り立ちます。
約数の総和は1170で、\(1170\gt 360\)が成り立ちます。)
約数の個数・総和の練習問題
問題1
126の約数の個数を求めよ。
問題1の解答・解説
126を素因数分解すると、\(126=2^1×3^2×7^1\)となります。
よって
\((1+1)(2+1)(1+1)\)
\(=2×3×2\)
\(=12\)
12が答えです。
問題2
126の約数の総和を求めよ。
問題2の解答・解説
素因数分解は\(126=2^1×3^2×7^1\)でした。
よって
\((2^0+2^1)(3^0+3^1+3^2)(7^0+7^1)\)
\(=(1+2)(1+3+9)(1+7)\)
\(=3×13×8\)
\(=312\)
答えは312です。
おわりに:約数の個数・約数の総和は整数問題の要
整数問題は様々な解法パターンがありますが、約数を考えることが多くあります。
「約数の個数」・「約数の総和」はセットで出題されることも多いので、合わせて覚えてしまいましょう!