古文の格助詞とは
格助詞とは上の語に資格を与え、下の後へ関係付ける助詞のことです。格助詞を順番に見ながら確認していきましょう。
古文の格助詞「が・の・を・に」については、以下の記事で解説しているので、合わせて確認するようにしてください。
目次
格助詞 「へ」
助詞 | 文法的意味 | 訳し方 | 接続 |
---|---|---|---|
へ | 1.方向 | 1.〜へ・〜へ向かって | 体言に続く |
1.方向
きのふ、山へまかり登りにけり。(源氏物語・夕顔)
(昨日、山へ登った。)
格助詞 「と」
助詞 | 文法的意味 | 訳し方 | 接続 |
---|---|---|---|
へ | 1.動作の共同者 2.変化の結果 3.比較の基準 4.引用 5.並列 6.比喩 |
1.〜と・〜とともに 2.〜と・〜に 3.〜と・〜と比べて 4.〜と 5.〜と〜と 6.〜のように |
体言・連体形に続く |
1.動作の共有者
例:これまで逃れくるは、なんぢと一所で死なむと思ふためなり。(平家物語)
ここまで逃れてきたのは、お前と同じ場所で死のうと思うためである。
2.変化の結果
大家ほろびて小家となる。(方丈記)
大きな家が滅びて、小さな家となる。
3.比較の基準
葉のひろごりざまぞ、うたてこちたけれど、こと木どもとひとしううふべきにあらず。(枕草子・三七段)
(桐の木の)葉の広がり方は、大げさであるけれども、他の木と同じようには言えない。
4.引用
「かれは何ぞ」となむ男に問ひける。
「あれは何か」と男に問いかけた。
「・・・といふ」の引用の「と」は直前が会話の文末のため、かぎかっこが本文に書かれていない場合も、自分で付け足す癖をつけましょう。
会話文がどこまでかわかりやすくなり、内容を掴みやすくなります。
5.並列
世の中にある、人とすみかと、またかくのごとし。(方丈記)
世の中に生きている人とその住んでいる家は、このようなものである。
6.比喩
笛の音のただ秋風と聞こゆるに、(更級日記)
(笛の音がまるで秋風のように哀れに聞こえ、)
格助詞「にて」
助詞 | 文法的意味 | 訳し方 | 接続 |
---|---|---|---|
にて | 1.場所・時(年齢) 2.手段・材料 3.原因・理由 4.資格 |
1.〜で 2.〜で 3.〜で・〜によって 4.〜で・〜として |
体言・連体形に続く |
1.場所・時(年齢)
例:千住といふ所にて舟を上がれば、(奥の細道)
(千住という所で舟から上がると、)
忠盛、三十六にて初めて昇殿す。(平家物語)
平忠盛は、三十六歳で初めて昇殿した。
2.手段・材料
白き虫の、孔ごとにさし出づるを毛抜きにて抜けば、(宇治拾遺物語・二-七)
(白い虫が、穴ごとに出てくるので、それを毛抜きで抜くと、)
3.原因・理由
何ばかりのあやまちにてかこの渚に命をば極めむ(源氏物語・明石)
(何の罪によってこの渚で一生を終えるというのであろうか)
4.資格
太政大臣にて位を極むべし。(源氏物語)
(太政大臣として位を極めるだろう。)
格助詞「にて」は「主語・目的語・補語・述語」以外の補足説明として使われます。
「〜にて」以外の分を先に訳し、「〜にて」を最後につけて訳して意味が通れば格助詞「にて」です。
古文の格助詞は設問で問われやすい
いかがでしたか?格助詞は設問になって意味を問われやすいです。問題集などで慣れておきましょう!