はじめに:式が3つの連立方程式について!
皆さんは「連立方程式」と聞けば、「\(x\)と\(y\)」、「式が2つある」といったイメージを持つのかもしれません。
しかし、実は連立方程式は必ずしも式が2つではないのです!
3つのときもあれば、場合によっては4つのことも…(とはいえ4つはさすがに複雑すぎて問題にできませんが笑)
そこで今回は、式が3つのときの連立方程式の解き方について解説していきたいと思います!
普段解く連立方程式とは何が違うのかをしっかり理解していきましょう。
いわゆる「普通の」連立方程式である、式が2つのものの解説はこちらです↓
そもそも方程式って何?
皆さんは方程式についてちゃんと理解していますか?
ちゃんと理解していないと、解けない方程式でずっと悩んだり…と悲しいことが起こったりしますよ笑
方程式とは、「数字のわからない数を含む、イコールで結ばれた式」のことです。
わからない数については、見やすようにいろいろなものに置き換えられて問題にされています。
置き換えにはいろいろあって、小学生には□などの図形、中学生以降は\(x\)などの文字を使っている場合が多いですよね。
方程式の具体例は、\(□+6=10\)や\(x+y=1\)などになります。
そして、方程式の中にもいろいろ種類があって、それが二次方程式や今回の連立方程式などのことなのですね。
今回解説していく、式が3つの連立方程式を連立3元1次方程式と呼びます。
しかし、難しい用語なので「へぇ〜」と思うくらいで良いです。
また、方程式には重要なルールがあります。
それは、「わからない数を求めるには、その個数と同じ数だけの関係式が必要である」ということです。
例えば、\(□+6=10\)のようにわからない数が1つのときは、式は1つでよいのですね。
\(□+6=10\)であれば、\(□=4\)だとすぐにわかるはずです。
今度は\(x+y=1\)のようにわからない数が2つのときは、式は2つ必要です。
ですので、\(x+y=1\)だけでは\(x\)、\(y\)の値を1つに決定することはできません。
\(x+y=1\)のように、わからない数が2つあるのに式が1つしかないような方程式を不定方程式といいます。
不定方程式の場合、解は無限に存在します。
なので、\(x+y=1\)だけでは\(x\)、\(y\)の値を1つに決定できないのですね。
\(x+y=1\)の他に、例えば\(x-y=3\)という式があって、連立方程式を解くことで初めて\(x=2\)、\(y=-1\)と解が1つに決まります。
つまり、式が3つの連立方程式の場合だったら、「わからない数が3つあるはずだ!」と考えてください。
逆に言えばわからない数が3つあれば、式は少なくとも3つ必要だと考えて欲しいのです。
わからない数が3つあるのに、式が2つしかなければその方程式は永遠に解けません。
方程式についてよく理解していないがために、式の不足して解けるはずのない方程式を永遠にいじくるミスは連立方程式の文章題にありがちなミスです。
方程式についての最低限の知識は、しっかり覚えておいてくださいね。
式が3つの連立方程式の解き方
では、次は式が3つの連立方程式の解き方の解説に入ります。
例題に入る前に、少し問題を解く方針的なものを説明しておかねばなりません。
先ほども言いましたが、連立方程式は「文字を1つずつ消去していく」のがオーソドックスなやり方です。
文字を1つ消すためには、式は2つ必要です。
これは、式が2つの連立方程式においていつもやっていることですよね?
例えば\[\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x + y = 5・・・① \\ 2x + 4y = 14・・・② \end{array} \right.\end{eqnarray}\]という連立方程式を解くとします。
このように式が2つあって初めて、「さあ\(x\)を消そうか?\(y\)を消そうか?」となるわけです。
式が1つだけであれば、先ほど参考にでてきたように「不定方程式」になり、答えは出てきません。
式が2つあることで、②\(-2×\)①をした結果、\(x\)が消えて\(y\)だけの式になり\[y=2\]が出てきます。
あとは①か②の式に\(y=2\)を代入して\[x=3\]も出てきますね。
何が言いたいかというと、式が3つになったとしてもやることは変わらないということです。
「いずれか1つの文字の値を決める→もとの式に代入」を繰り返すことで方程式は解けていきます。
言葉での説明はこのくらいにして、実際に例題を解いていきましょう。
例題
次の連立方程式を解いて、\(x\)と\(y\)と\(z\)の値を求めよ。
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x + y + z = 10・・・① \\ x + 4y + 2z = 17・・・② \\ 2x + 3y + z = 17・・・③ \end{array} \right.\end{eqnarray}\)
例題の解答・解説
問題中の式には解説の都合上、あらかじめ番号を振っています。
基本的に消す文字については、どれでもOKです。
この手の問題に慣れてきたら、係数が小さい文字から消すことを意識して解いて見ても良いかもしれません。
また、どの2つの式で文字を消すのかについてもどの式でも良いです。
今回は\(z\)、\(y\)の順に消して、まず\(x\)の値を求めていこうと思います。
手始めに①と②、①と③で\(z\)を消去し、\(x\)と\(y\)だけの方程式を2つ作ります。
よってここでは「2つの式で1つ文字を消す」ということを2回やらねばなりません。
①\(2×-\)②をして、\[x-2y=3・・・④\]
③\(-\)①をして、\[x+2y=7・・・⑤\]
次に④と⑤という2つの式に着目して、\(y\)を消します。
④\(-\)⑤をして、\[2x=10\]
よって、\[\style{ color:red; }{ x=5 }\]が出てきました。
ここからは代入作業です。
\(x=5\)を、④か⑤代入します。
よく①〜③に代入する人がいるのですが、もう一度連立方程式を解かないといけなくなり、回り道になってしまいます。
代入先は、あとあと計算が楽になるかきつくなるかを分ける重要なものなので、慎重に選ぶようにしましょうね。
④に\(x=5\)を代入します。
すると、\(5-2y=3\)となり、\[\style{ color:red; }{ y=1 }\]がすぐに求まりますね。
残りの\(z\)については、①〜③のどれかに\(x=5\)と\(y=1\)を代入すれば良いですね。
今回は比較的楽そうな①に\(x=5\)と\(y=1\)を代入します。
すると、\(5+1+z=10\)となり、よって\[\style{ color:red; }{ z=4 }\]になります。
まとめると、\(\style{ color:red; }{ x=5,y=1,z=4 }\)が答えになります。
いかがでしたか?
「2つの式を使って1つの文字を消す」ことをぜひ忘れないでください!
式が3つの連立方程式の練習問題
最後に練習問題をやってみましょう。
以下の問題は、解説は省略して解答例のみを示しています。
もし途中でつまずいたときは、例題に戻って解き方を確認してみてくださいね!
問題1
次の連立方程式を解いて、\(x\)と\(y\)と\(z\)の値を求めよ。
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x + y + z = 1 \\ 4x + 6y + 5z = 0 \\ 4x + 9y + 6z = 0 \end{array} \right.\end{eqnarray}\)
問題1の解答・解説
式に番号をふって、\[\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x + y + z = 1・・・① \\ 4x + 6y + 5z = 0・・・② \\ 4x + 9y + 6z = 0・・・③ \end{array} \right.\end{eqnarray}\]とする。
\(4×\)①\(-\)②をして、\[-2y-z=4・・・④\]
\(4×\)①\(-\)③をして、\[-5y-2z=4・・・⑤\]
次に\(2×\)④\(-\)⑤をして、\[\style{ color:red; }{ y=4 }\]
\(y=4\)を④に代入して、\[\style{ color:red; }{ z=-12 }\]
\(y=4\)、\(z=-12\)を①に代入して、\[x+4-12=1\]
よって、\(\style{ color:red; }{ x=9 }\)
以上より、\[\style{ color:red; }{ x=9,y=4,z=-12 }\]
おわりに:連立方程式のまとめ
いかがでしたか?
連立方程式の鉄則である、「文字を消す」ということを意識して解けば、式が3つに増えても別に問題はないと思います。
解き方を理解したら、次は解くスピードを意識してください。
やり方によっては大幅なタイムロスとなったりもします。
「どのように解いたら時間がかかるか」などは自分で問題を解く中で研究し、見つけていってください。
自分にとってベストな解答を目指して、学習を重ねていってくださいね。