これだけ知っとけ!古文常識まとめ【宮中の都市構造と人間関係】

はじめに:これだけ知っとけ!古文常識まとめ

みなさん、古文を読んでいるときに、注釈が付けられていない固有名詞の意味がわからなくて困った経験はありませんか?

「清涼殿」とか「東宮」とか「随身」とか、いざ具体的に説明しろって言われたら難しい古文特有の固有名詞ってありますよね。

そこでこの記事では、古文を読むときに知っておくと便利な古文常識を、宮中の都市構造と宮中の人間関係に焦点を当てて解説します!

古文をもっとスラスラ読めるようになりたい方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね〜。

知っておくと便利な古文常識まとめ

知っておくと便利な古文常識まとめ①:宮中の都市構造

平安京

平安京は、794年に桓武天皇によって造営された京の都市です。

東西に走る道路と南北に走る道路が交差して、碁盤の目のように区画が形成されています。

北側の中央に「大内裏」という中心的な拠点があり、大内裏の東側が左京、西側が右京と呼ばれる地域になっています。

「羅城門」・「京極殿」・「東三条殿」など古典作品の中で有名な邸宅・門も、この平安京の中にあります。

詳しい位置関係は覚えなくていいので、とにかく平安京の中に有名な遺跡があることを押さえておきましょう。

大内裏

平安京の北側の中央に位置する大内裏は、「内裏」を中心として、「式部省」や「陰陽寮」などの中央官庁を配置している、いわば平安の「霞ヶ関」です。

最も手前に位置する朱雀門から中に入ると、正面に応天門という別の門があり、その門をくぐると「大極殿」という大きな公的行事を行う建物に行き着きます。

「昭慶門」という門から大極殿を出ると、向かって右に「建礼門」が見えます。この建礼門を抜けると、いよいよ都の中心「内裏」です。

内裏

内裏は、天皇や妃たちが住む場所であり、政治を執行する場所でもありました。

内裏には数多くの別名があり、「内」・「九重」・「雲の上」・「雲居」などと呼ばれていました。

基本的にどの呼び名も同じ意味なのですが、「内」には「宮中」という意味以外に「天皇」という意味もあるので注意してくださいね。

内裏の入り口である建礼門を抜け、さらに内側の門である「承明門」を潜ると、正面に「紫宸殿」が見えます。

「紫宸殿」は内裏の中心とも言うべき場所で、天皇の即位などの重要な儀式が執り行われていました。

その紫宸殿を抜けて、向かって左へ進むと「清涼殿」にたどり着きます。

紫宸殿が公的な場所だったのに対して、清涼殿は天皇たちが日常的に暮らす私的な場所になっていました。

清涼殿を抜けてさらに奥へ進むと「後涼殿」があります。後涼殿には、天皇に仕える女性たちの控室が用意されていました。

紫宸殿・清涼殿・後涼殿は頻繁に登場する建物なので、ぜひこの機会に覚えておいてくださいね。

清涼殿

天皇の私生活の場であった清涼殿の中で、覚えておいてほしい部屋は「昼の御座(ひのおまし)」・「夜の御殿(よんのおとど)」・「殿上の間」です。

一つずつ見ていきましょう。

「殿上の間」は、「沓脱(くつぬぎ)」という入り口を抜けたところにあります。

殿上の間は横に長い構造になっていて、上達部や殿上人たちが執務を行う場所になっていました。

その殿上の間を抜けて奥に入ったところに、「昼の御座」があります。

昼の御座は、文字通り天皇が「昼」に「座す」場所で、天皇の実質的な執務室として利用されていました。

昼の御座の中央には「御帳台」という机があります。御帳台はなぜか頻繁に出題されるので、昼の御座と併せて覚えておいてください。

昼の御座の奥に進むと、「夜の御殿」に行き着きます。

夜の御殿も、文字通り天皇が夜にいる場所です。要するに天皇の寝室ですね。

清涼殿の中は、手前(玄関口)に近い順に「殿上の間→昼の御座→夜の御殿」という構造になっていることを、しっかり覚えておきましょう。

知っておくと便利な古文常識まとめ②:宮中の人間関係

親王

親王(みこ・しんのう)とは、天皇の子供のことです。

天皇の子供は「宮」とも呼ばれ、男の子なら「皇子」・「御子」(それぞれ「みこ」)、女の子なら「女宮」・「皇女」・「内親王」と呼ばれます。

特に、「〜〜宮」・「〜〜内親王」という表現は頻出なので、ぜひ覚えておいてくださいね。

東宮

東宮(とうぐう)とは、簡単に言うと皇太子のことです。

「宮・親王とは違うの?」と思う方もいらっしゃるでしょうが、宮・親王と東宮は違います。

天皇の子供である宮・親王はたくさんいますが、東宮は基本的に1人しか選ばれません。

たくさんいる宮・親王から、1人だけの東宮を選ぶというシステムになっているわけですね。

「上」とは天皇のことです。

天皇の呼び名は「上」以外にもいろいろあって、「内」・「帝」・「主上」・「君」・「公」・「今上」などと呼ばれていました。

ちなみに、「上」が退官すると「院」になり、「院」が出家すると「法皇」になります。

「上」も「院」も「法皇」も頻出なので、ぜひ覚えておいてくださいね。

尚侍

「尚侍(ないしのかみ)」は、天皇の近くに仕えて、後宮(妃たちの住まい)の儀式などを執り行う「内侍司(ないしのつかさ)」という役所の長官となる女性のことです。

「内侍司」は、基本的に女性だけで構成される部署で、その長官である尚侍は女御や更衣に準じる高い地位が与えられていました。

ちなみに、内侍司の次官を「典侍(ないしのすけ)」と言います。典侍も尚侍と同様に頻出なので、併せて覚えておきましょう。

女房

天皇の側で働く女性たちのことを「女房」と呼びます。

「女房」は、尚侍のように特定の地位にある女性だけではなく、宮中で働く女性全体を指す総称として使われていました。

上達部

「上達部(かんだちめ)」とは、公職の上位3位までの役職もしくは宰相の地位に属する貴族を指す言葉です。

公職の上位3位は、以下のような構成になっています。

  • 1位:太政大臣
  • 2位:左大臣・右大臣・内大臣
  • 3位:大納言・中納言

ちなみに宰相は4位なのですが、政策決定をする上で重要な役職なので、上達部の中に入っています。

上達部は上位階級の貴族で、政策決定の中枢を担うということを押さえておきましょう。

蔵人

「蔵人(くろうど)」とは、天皇の側近として機密文書を扱ったり、天皇に情報伝達したりする役職の人です。

蔵人自体は公職6位の階級なので本来は昇殿できない(昇殿できるのは5位まで)のですが、天皇の近くで仕事をするので特別に昇殿が許可されていました。

また、蔵人の中にも上下関係があり、「別当」という責任者を筆頭として、「蔵人頭(くろうどのとう)」→「五位蔵人」→「六位蔵人」と続きます。

若くして昇殿できる蔵人の地位は、宮中の憧れの的で、蔵人として出世しようとする人も大勢いたようです。現代で言うところの国家公務員みたいな役職ですからね……。

随身

「随身(ずいじん)」とは、貴族の外出のときに護衛のために付き従う役人のことです。

よく時代劇で、牛車に乗った貴族に付き従う子どもが出てきますよね。あの子どもたちも随身で、特に若い少年の場合は「小舎人童(こどねりわらわ)」と言います。

使いっ走りの子どもをイメージして覚えてくださいね。

先駆

「先駆(さき・せんく・さきがけ)」とは、貴族などが街中を通行するときに、大声を上げて前を歩く一般人を追い払う人のことを指します。

「先駆追う(さきおう)」という動詞表現もよく用いられ、この場合は「人を追い払うために大声を上げる」という意味になります。

先駆が行列の先頭に立って人を払い、貴族が随身に囲まれて街を歩く姿を想像しながら覚えてみてくださいね。

おわりに:古文常識を知れば、古文がもっと楽しくなる

いかがでしたか?

この記事では、古文を読む上で役にたつ知識を、「宮中の都市構造」と「宮中の人間関係」に焦点を当てて解説しました。

この記事で紹介した古文常識を押さえておくと、古文の内容がよりイメージしやすくなります。

内容がイメージしやすくなれば、古文を現代の小説のようにリアルに楽しめますので、ぜひ古文常識を覚えてみてくださいね。

それでは!!

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