源氏物語で読み解く古典文法~過去の助動詞『き・けり』編~

japan-65380_640

はじめに

受験生の皆さん、古文の勉強はかどってますかー?

古文文法ってなかなか覚えられないし、覚えたところで身についたか確認するの難しいですよね。

そこで今回は、古文文法の基本のきから復習したいと思います!

最後に練習問題もつけているのでちゃんと学べたかどうかもチェックしてみてくださいね。

それでは過去の助動詞「き・けり」の解説から!

古文文法に自信のない人は最初から読んでくださいね。
古文文法はもう覚えたって人はこちらからどうぞ→リンク

意味

過去の助動詞には「き・けり」があります。

何が違うかといいますと、
 

き:話し手が直接経験したことを述べるときに使う
けり:伝え聞いた話などを回想して述べるときに使う

つまり
 「私」がしたことを言いたかったら「き」を使って、
 「私以外の人」がしたことを言いたかったら「けり」を使うってことです。

「けり」には詠嘆の用法もあります。

「詠嘆」が出てくるのは基本的に
 和歌の中
 会話文の中
 「なりけり」の形
だけです。

和歌の中では確実に詠嘆ですが、後の2つは文脈判断が必要なので気を付けてくださいね。

活用

未然形/連用形/終止形/連体形/已然形/命令形/接続
き:(せ)/○/き/し/しか/○/連用形
けり:(けら)/○/けり/ける/けれ/○/連用形

「き」の接続には注意です
「き」がカ変動詞・サ変動詞に接続するときはカ変動詞・サ変動詞の未然形に接続します。

カ変動詞+き
 来しか(こしか)
 来し(こし)
サ変動詞+き
 せしか
 せし

()のついている「き」の未然形「せ」は反実仮想でしか使われません!「AせばBまし」の形を覚えればひとまずは安心です。

ちなみに「AせばBまし」の意味は「もしAだったならば、Bだっただろうに」ですよー

練習

それでは「き・けり」がマスターできているか確認です!

源氏物語、夕顔の一節を使って復習していきましょう。

赤字になっている部分のうち、どれが過去の助動詞「き・けり」かわかりますか?

六条わたりの御忍び歩(あり)①きリンク①のころ、内裏(うち)よりまかでたまふ中宿(なかやど)りに、「大弐(だいに)の乳母(めのと)のいたくわづらひて尼になりに②けるリンク②、とぶらはむ」とて、五条なる家尋ねておはしたり。

 御車入(い)るべき門(かど)は鎖(さ)したり③けれリンク③ば、人して惟光召させて、待た④せリンク④たまひ⑤けるリンク⑤ほど、むつかしげなる大路(おほぢ)のさまを見渡したまへるに、この家のかたはらに、檜垣(ひがき)といふもの新しうして、上は半蔀(はじとみ)四五間ばかり上げわたして、簾などもいと白う涼しげなるに、をかしき額(ひたひ)つきの透き影、あまた見えて覗(のぞ)く。立ちさまよふらむ下(しも)つ方思ひやるに、あながちに丈(たけ)高き心地ぞする。「いかなる者の集へるならむ」と、様(やう)変はりて思さる。

 御車もいたくやつしたまへり、前駆(さき)も追は⑥せリンク⑥たまはず、「誰(たれ)とか知らむ」とうちとけたまひて、すこしさし覗きたまへれば、門は蔀(しとみ)のやうなるを、押し上げたる、見入れのほどなく、ものはかなき住まひを、あはれに、「何処(いづこ)かさして」と思ほしな⑦せリンク⑦ば、玉の台(うてな)も同じことなり。

 切り懸(か)けだつ物に、いと青やかなる葛(かづら)の心地よげに這(は)ひかかれるに、白き花ぞ、おのれひとり笑みの眉(まゆ)開けたる。「遠方人(をちかたびと)にもの申す」と、ひとりごちたまふを、御隋身(みずゐじん)つい居て、「かの白く咲⑧けるリンク⑧をなむ、夕顔と申しはべる。花の名は人めきて、かうあやしき垣根になむ咲きはべり⑨けるリンク⑨」と申す。げにいと小家(こいへ)がちに、むつかしげなるわたりの、この面(も)かの面、あやしくうちよろぼひて、むねむねしからぬ軒のつまなどに這ひまつはれたるを、「口惜しの花の契りや。一房折りて参れ」とのたまへば、この押し上げたる門(かど)に入りて折る。

 さすがに、ざれたる遣(や)り戸口に、黄なる生絹(すずし)の単袴(ひとへばかま)、長く着なしたる童(わらは)の、をかしげなる出で来て、うち招く。白き扇のいたうこがしたるを、「これに置きて参ら⑩せリンク⑩よ。枝も情けなげなめる花を」とて取ら⑪せリンク⑪たれば、門開けて惟光の朝臣(あそん)出で来たるして、奉らす。「鍵を置き惑はしはべりて、いと不便(ふびん)なるわざなりや。もののあやめ見たまひ分くべき人もはべらぬわたりなれど、らうがはしき大路(おほぢ)に立ちおはしまして」と、かしこまり申す。引き入れて、下りたまふ。


これは違うって分かった人も多いんじゃないでしょうか?

正解は名詞「歩き」の一部です。 

でも試験本番に焦って名詞の一部でも助動詞だと間違えてしまうことはよくあります。気を付けてくださいね。


これは過去の助動詞「けり」です。

直前を見てください。完了の助動詞「なり」の連用形「に」がきています。

これで過去の助動詞だと確認することができますね。「けり」は連用形に接続するんでしたから。

ちなみに「けり」の活用形は連体形です。


続いても過去の助動詞「けり」です。

今回も直前を見てみると完了の助動詞「たり」の連用形が来ています。「けり」の連用接続の条件を満たしていますね。

この活用は已然形です。


これは「せ」でも過去の助動詞「き」の活用ではありません。

思い出してください。「せ」は「AせばBまし」の形でしか出てこないんでしたね?

この「せ」は使役の助動詞「す」の連用形です。


これは過去の助動詞「けり」の連体形です。

そろそろ考え方も分かってきましたよね?ちゃんと尊敬の補助動詞「たまふ」の連用形に接続してます。

これで自信をもって過去の助動詞だと言い切ることができますね!


これは④と同じパターンの使役の助動詞、連用形です。

直前を見てみましょう。四段動詞「追ふ」の未然形「追は」がきています。

過去の助動詞「き」が未然形に接続するのは、カ変動詞とサ変動詞だけでしたよね?だからこれは過去の助動詞じゃないって断言できるんです!


これにひっかかった人は落ち着いて見直してみてください。

確かに「せば」の形をとっていますが、「まし」はどこにもないですよね?

それに前から丁寧に読んでいくと四段動詞「なす」の活用語尾であることは簡単に分かります。


これも落ち着いて見てみれば簡単です!

直前を見てください。「咲」がありますよね?

これは今まで出てこなかった二つの品詞が合体してるバージョンです。『四段動詞「咲く」の活用語尾+完了・存続の助動詞「り」の連体形』になってます。

割とだまされてしまう人も多いので要注意です。ちゃんと直前を確認する癖をつけてくださいね!


これは過去の助動詞「けり」の連体形です。

いつも通り直前をチェックすると補助動詞「侍り」の連用形がきています。

「侍り」はラ変活用なので終止形と連用形の区別がつかないんですが、ここで文は終わってないのでもちろん終止形はきません。


またまた「せ」の問題です。

これは直後を見てみましょう。「よ」が来てますよね?

ここで「せよ」で1セットだと気付けた人はナイスです!正解は使役の助動詞「す」の命令形が「せよ」ですから。

一応直前も確認しておくと四段動詞「参る」の未然形が確認できます。これで過去の助動詞じゃないことは一目瞭然です!


最後も使役の助動詞「す」です。今回は未然形に活用しています。

もう言わなくても分かりますよね?直前は四段動詞「取る」の未然形です。だから過去の助動詞ではありません!

みなさん、全問正解できましたか?

文章の中で助動詞を識別するコツは直前の活用語の活用形を毎回確認することです。

長文が出てくるたびに確認していれば慣れてきて識別にかかる時間を短縮できます!

読解に時間をかけられるように確認する癖をつけてくださいね。

まだまだ実力を試したいという人には簡単な総合問題も用意してあります。これは助動詞すべてを取り扱った問題なので助動詞すべてを一通り学んだという人はぜひ挑戦してみてください!

総合問題

須磨には、いとど心づくしの秋風に、海はすこし遠けれど、行平の中納言の、

「関吹き越ゆる」

と言ひ①けむ浦波、夜々はげにいと近く聞こえて、またなくあはれなるものは、かかる所の秋②なり③けり

御前にいと人少なにて、うち休みわたれ④るに、一人目を覚まして、枕をそばだてて四方の嵐を聞き給ふに、波ただここもとに立ちくる心地して、涙落つともおぼえ⑤ぬに、枕浮くばかりになり⑥に⑦けり。琴をすこしかき鳴らし給へ⑧るが、我ながらいとすごう聞こゆれば、弾きさし給ひて、

恋ひわびて泣く音にまがふ浦波は思ふ方より風や吹く⑨らむ

と歌ひ給へ⑩るに、人々おどろきて、めでたうおぼゆるに、忍ば⑪れで、あいなう起きゐつつ、鼻を忍びやかにかみわたす。

①過去の伝聞の助動詞「けむ」の連体形

②断定の助動詞「なり」の連用形

③詠嘆の助動詞「けり」の終止形

④存続の助動詞「り」の連体形

⑤打消の助動詞「ず」の連体形

⑥完了の助動詞「ぬ」の連用形

⑦過去の助動詞「けり」の終止形

⑧完了の助動詞「り」の終止形

⑨現在推量の助動詞「らむ」の連体形

⑩存続の助動詞「り」の連体形

⑪可能の助動詞「る」の連体形

PICK UP!

スタディサプリ(旧受験サプリ) [PR]

月額980円でスマホ、タブレットでプロの予備校講師の授業が見放題!
GMARCHや早慶、国立の志望校別対策の講座やセンター対策講座、高1・2年生向けの通年講座もあります。