はじめに
実数は数ⅠA、複素数と虚数は数ⅡBの範囲でとても重要な分野です。
しかし、実数と虚数と複素数の違いを曖昧にしか理解していない人が多くいます。
今回は、これから実数・複素数・虚数の勉強を始める人にはもちろん、理解が曖昧で復習したい人にも分かりやすく実数・複素数・虚数とは何かを解説します!
最後まで読んで、実数・複素数・虚数の違いを完璧にマスターしましょう!
実数とは
実数とは、「実際に存在する数」で、有理数と無理数の総称です。
中学で扱った数はほぼ全て実数と言っていいでしょう。
有理数は、分数で表すことのできる実数です。3や\(\frac{1}{2}\)などが例として挙げられます。
一方、無理数は、分数で表すことができない実数のことをいいます。
「分数で表すことが無理」なので無理数と覚えるといいですよ。
実数の中で有理数でないものは全て無理数です。円周率πや平方根\(\sqrt{3}\)などが例として挙げられます。
有理数・無理数の定義や見分け方についても詳しく解説しているので、以下の記事を見てください。
虚数とは
虚数とは、a+bi(a,bは実数)で表される数のうち、b≠0のものを指します。
1+2iや5iなどは虚数です。
ここでiとは虚数単位で、\(i^2 = -1\)をみたす数、つまり\(\sqrt{-1}\)のことです。
しかし、2乗して-1になる数は存在しませんよね。
ですから「存在しない数」という意味で虚数と呼びます。
また、虚数a+biのうち、a≠0のもの、つまりiや3iなどは純虚数と呼びます。
実数には大小関係があります。\(3\lt π \lt 3.2\)のように、全ての実数は大きさを比べることができるからです。
しかし、虚数には「大きさ」というものがないため、大小を比べることができません。
ここで、虚数に「大きさ」がないことを証明してみましょう。
虚数に「大きさ」があるとすると、iにも「大きさ」があり、この「大きさ」はプラス、マイナス、0のどれかになるはずです。
つまり、iの大きさがプラスでもマイナスでも0でもないことを背理法で証明します。
①iの大きさがプラス、つまり\(i \gt 0\)と仮定します。
\(i\gt 0\)なので、両辺にiをかけても不等号の向きは変わりません。しかし、\(i\gt 0\)の両辺にiをかけると\(-1\gt 0\)となってしまい、これは明らかに矛盾します。
背理法から、\(i\gt 0\)ではないことが分かりました。
②iの大きさがマイナス、つまり\(i\lt 0\)と仮定します。
\(i\lt 0\)なので両辺にiをかけると不等号の向きが逆になります。しかし、\(i\lt 0\)の両辺にiをかけると\(-1\gt 0\)となってしまい、これも矛盾です。
背理法から、\(i\lt 0\)ではないことが分かりました。
iは虚数単位であって0ではないので\(i\neq 0\)であり、上で証明したように\(i\gt 0\)でも\(i\lt 0\)でもないことから、iには大きさがないことが分かりました。
複素数とは
実数と虚数を合わせて複素数と呼びます。つまり、a+biで表される数全体が複素数です。
つまり、複素数a+biのうち、
- b=0のもの:実数
- b≠0のもの:虚数
というわけです。
虚数は存在しない数です。ではなぜ虚数を勉強する必要があるのでしょうか。
それは、二次方程式と関係があります。
たとえば、二次方程式\(x^2+x+1=0\)の解は、解の公式から\(x=\frac{-1±\sqrt{-3}}{2}\)となります。この解はルートの中にマイナスが入ってしまっているので実数ではなく、虚数です。
よって、実数しか考えないことにすると、この二次方程式は解をもたないことになってしまいます。
そこで虚数を導入することにより、この二次方程式に解をもたせているのです。
複素数や虚数については計算問題もよく出題されます。その計算のやり方・コツについてはこちらの記事を参照してください。
最後に
実数も虚数も複素数も数学ではよく扱われます。
これら3つについては意味も含めて完璧にマスターしましょうね!