はじめに:2次方程式の判別式
2次方程式の問題は入試でも頻出ですが、その2次方程式に解がいくつあるのかを調べるとき、判別式を使うと便利です。
また、2次関数の、x軸との交点の個数も判別式で求めることができます。
そこで今回は、これから判別式の勉強を始める人にはもちろん、理解が曖昧で復習したい人にも分かりやすく判別式とは何なのか、判別式の意味と使い方を解説していきます。
最後には理解を深める練習問題もつけました。
ぜひこの記事を最後まで読んで判別式をマスターしてください!
判別式とは
判別式とは、2次方程式の解がいくつあるのかを調べることができる式で、多くの場合、Dで表します。
上にあるように、2次方程式\(ax^2+bx+c=0\)の\(b\)が偶数のとき、判別式を4で割った\(\frac{D}{4}\)を使うと計算が楽になります。
(\(D\)と\(\frac{D}{4}\)の符号は一致します。)
\(D\)の式さえ覚えていれば\(\frac{D}{4}\)の式は覚えなくてもかまいません。
しかし、センター試験の数学など時間との勝負の試験では計算量はなるべく減らしたいですから、両方使えるようにしておくことをおすすめします。
\(D=b^2-4ac\)の\(b\)の代わりに\(2b\)を使うと、
\(D=(2b)^2-4ac=4b^2-4ac\)
となり、両辺を\(4\)で割った
\(\frac{D}{4}=b^2-ac\)
という式が出ます。
2次方程式の判別式の意味
解の公式\(x=\frac{-b\pm \sqrt{b^2-4ac}}{2a}\)の、ルートの中身\(b^2-4ac\)が判別式です。
ルートの中身である\(D\)が
正の数または0なら解\(x\)は実数、
負の数なら解\(x\)は虚数
です。
つまり、\(D≧0\)ならば、\(x=\frac{-b\pm \sqrt{b^2-4ac}}{2a}\)が実数解となります。
特に\(D\gt 0\)のとき、\(x=\frac{-b+\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\)と\(x=\frac{-b-\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\)は異なる数になります。この2つが実数解となるわけです。
\(D=0\)のときは実数解は\(x=\frac{-b\pm \sqrt{b^2-4ac}}{2a}=\frac{-b}{2a}\)の1つだけ。
ちなみに\(D\lt 0\)なら、\(x=\frac{-b+\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\)、\(x=\frac{-b-\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\)の2つとも虚数解になり、実数解はもちません(この2つが虚数解となります)。
判別式\(\frac{D}{4}\)についても、\(x\)の係数が偶数のときの解の公式\(x=\frac{-b\pm \sqrt{b^2-ac}}{a}\)を使って同様のことが言えます。
実数と虚数について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
また、2次関数\(ax^2+bx+c\)のグラフとx軸との交点の個数は、2次方程式\(ax^2+bx+c=0\)の実数解の個数と一致します。
判別式は2次関数のグラフを描くときのも使えるのです。
2次関数のグラフについては以下をご覧ください。
2次方程式の判別式を使う練習問題
それでは判別式が何か分かったので、これを利用して問題を解いてみましょう!
問題1
\(x^2+3x+2=0\)の実数解の個数を求めよ。
問題1の解答・解説
上の公式\(D=b^2-4ac\)に、a=1、b=3、c=2を入れます。
判別式\(D=3^2-4×1×2=9-4=5\)
よって\(D=5\gt 0\)なので、①の場合が当てはまり、実数解は2つです。
ちなみに、
\(x^2+3x+2=0\)
の左辺を因数分解すると、
\((x+1)(x+2)=0\)
となります。
解は\(x=-1,2\)となるので、実数解は2つになりますね。
因数分解について詳しくはこちらをご覧ください。
問題2
\(4x^2+4x+1=0\)の実数解の個数を求めよ。
問題2の解答・解説
今回は\(x\)の係数が偶数なので、\(\frac{D}{4}=b^2-ac\)を使います。a=4、b=2(\(x\)の係数の4の半分)、c=1を入れると、
\(\frac{D}{4}=2^2-4×1=4-4=0\)
です。
よって\(D=0\)となり、②の場合に当てはまるので、実数解を1つだけもちます。
ちなみに
\(4x^2+4x+1=0\)
の左辺を因数分解すると、
\((2x+1)^2=0\)
となります。
解は\(x=-\frac{1}{2}\)の1つだけです。
おわりに:判別式はいつでも使えるようにしておく
いかがでしたか?
判別式をメインに扱う問題は少ないですが、問題を解く過程ですぐにさっと使えると便利です。
繰り返し練習して判別式の計算を身につけましょう!