はじめに
二次関数のグラフは数学全般でとても重要で、グラフを描く問題が出題されるだけでなく、グラフを描かないと解けない問題もあります。
今回は東京工業大学に通う筆者が、これから二次関数の勉強を始める人にはもちろん、理解が曖昧で復習したい人にも分かりやすく二次関数のグラフの描き方を解説します!
二次関数のグラフの描き方を身につけるための例題・練習問題も用意しました。
ぜひ最後まで読んで、二次関数のグラフの描き方を完璧にマスターしましょう!
目次
二次関数のグラフの描き方
基本的な流れは
です。
順番に解説していきます。
二次関数のグラフの描き方①:上に凸か下に凸か確かめる
二次関数のグラフは必ず上に凸または下に凸となります。
上に凸なグラフとは、
このように上側が出っ張っているグラフのことです。
逆に下に凸なグラフとは、
このように下側が出っ張っているグラフのことです。
二次関数のグラフが上に凸か下に凸か調べるのは非常に簡単で、\(y=ax^2+bx+c\)の\(x^2\)の係数\(a\)が正ならば下に凸、負ならば上に凸です。
具体的に言うと、\(y=x^2+2x+3\)は\(x^2\)の係数が\(1\)で、これは正なので下に凸です。
\(y=-3x^2+x-4\)は\(x^2\)の係数が\(-3\)で、これは負の数なので上に凸となります。
どっちがどっちか忘れてしまったら、\(y=x^2\)のグラフを思い出してください。
これはグラフの形からして下に凸ですね。\(y=x^2\)は\(x^2\)の係数\(1\)が正なので、\(x^2\)の係数が正なら下に凸だと分かります。
二次関数のグラフの描き方②:平方完成する
平方完成とは、\(y=ax^2+bx+c\)の形の式を\(y=a(x-p)^2+q\)の形に変形することです。
平方完成の方法が分からない方はこちらの記事をご覧ください。
二次方程式のグラフを描くにあたって最も重要な過程ですので、きちんとマスターしましょう。
二次関数のグラフの描き方③:グラフの頂点を求める
平方完成したあとの\(y=a(x-p)^2+q\)の式のpとqを用いると、グラフの頂点は\((p,q)\)だとわかります。
そこで、グラフ用紙の\((p,q)\)の場所に点を打っておきます。
もし平方完成するのが面倒という場合は、\(y=ax^2+bx+c\)の式から直接頂点の座標を求める方法もあります。
この場合、頂点の座標は、\((-\frac{b}{2a},-\frac{b^2-4ac}{4a})\)です。平方完成をするのが面倒だという場合は、この式を覚えてしまいましょう。
二次関数のグラフの描き方④:軸との交点を求める
x軸とy軸、それぞれとの交点を求めなければいけません。
y軸との交点は必ず1つだけあります。それは、\(y=ax^2+bx+c\)のグラフの\((0,c)\)の点です。ここもプロットしましょう。
(y軸は\(x=0\)の点を集めた線なので、\(x=0\)を代入すると\(y=c\)が出るので、\(x=0\)かつ\(y=c\)である点\((0,c)\)が交点となります。)
x軸との交点は0〜2個あります。
その個数は二次関数\(y=ax^2+bx+c\)に\(y=0\)を代入してできる二次方程式\(ax^2+bx+c=0\)の解\(x=\frac{-b\pm \sqrt{b^2-4ac}}{2a}\)の実数解の数と同じです。
- 異なる2つの実数解を持つ場合(判別式\(D\gt 0\))→交点2つ
- 重解を持つ場合(判別式\(D= 0\))→交点1つ
- 解を持たない場合(判別式\(D\lt 0\))→交点なし
そして、x軸との交点がある場合、その座標は、二次方程式\(ax^2+bx+c=0\)の解を用いて、\((\frac{-b+ \sqrt{b^2-4ac}}{2a},0)\)と\((\frac{-b- \sqrt{b^2-4ac}}{2a},0)\)となります。
この点もグラフに描き入れましょう。
二次方程式の解の求め方について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください
二次関数のグラフの描き方⑤:点をなめらかな線でつなぐ
最後に、求めた頂点や交点をなめらかな曲線でつなぐと完成です。
具体的な描き方は、次の例題をみてください。
二次関数のグラフの描き方を使う例題
例題
\(y=x^2+4x+3\)のグラフをかけ。
例題の解答・解説
二次関数のグラフの描き方の5つのステップにしたがって解いていきましょう!
二次関数のグラフの描き方①:上に凸か下に凸か確かめる
\(x^2\)の係数\(1\)は正なので下に凸です。
二次関数のグラフの描き方②:平方完成する
\(y=x^2+4x+3\)
\(=(x^2+4x)+3\)
\(=(x+2)^2-2^2×1+3\)
\(=(x+2)^2-1\)
となります。
二次関数のグラフの描き方③:グラフの頂点を求める
\(y=(x+1)^2+2\)より、頂点は\((-2,-1)\)と分かります。
頂点の座標の公式\((-\frac{b}{2a},-\frac{b^2-4ac}{4a})\)に\(a=1\)、\(b=4\)、\(c=3\)を代入しても頂点\((-2,-1)\)を求めることができます。
二次関数のグラフの描き方④:軸との交点を求める
y軸との交点は、\((0,3)\)です。
x軸との交点を求めるために二次方程式\(x^2+2x+3=0\)を解きます。\(x^2+4x+3=(x+1)(x+3)\)と因数分解できるので\((x+1)(x+3)=0\)より解は\(x=-1,-3\)です。
よってx軸との交点は\((-1,0)\)、\((-3,0)\)です。
二次関数のグラフの描き方⑤:点をなめらかな線でつなぐ
最後に、上で求めた頂点\((-2,-1)\)、交点\((0,3)\)、\((-1,0)\)、\((-3,0)\)をなめらかな線でつなぎます。
二次関数のグラフの描き方を用いた練習問題
問題
\(y=-3x^2-12x+15\)のグラフをかけ。
問題の解答・解説
例題に比べて複雑な式になっていますが、本質は変わっていません。落ち着いて、二次関数のグラフの描き方の5つのステップを思い出しましょう。
二次関数のグラフの描き方①:上に凸か下に凸か確かめる
\(x^2\)の係数\(-3\)は負なので上に凸です。
二次関数のグラフの描き方②:平方完成する
\(y=-3x^2-12x+15\)
\(=-3(x^2+4x)+15\)
\(=-3(x+2)^2-2^2×(-3)+15\)
\(=-3(x+2)^2+27\)
となります。
二次関数のグラフの描き方③:グラフの頂点を求める
\(y=-3(x+2)^2+27\)から、頂点は\((-2,27)\)です。
また、座標の公式の\((-\frac{b}{2a},-\frac{b^2-4ac}{4a})\)に\(a=-3\)、\(b=-12\)、\(c=15\)を代入しても頂点\((-2,27)\)を求めることができます。
二次関数のグラフの描き方④:軸との交点を求める
y軸との交点は、\((0,15)\)です。
x軸との交点を求めるために二次方程式\(-3x^2-12x+15=0\)を解きます。\(-3x^2-12x+15=-3(x-1)(x+5)\)と因数分解できるので\((x-1)(x+5)=0\)より解は\(x=1,-5\)です。
よってx軸との交点は\((1,0)\)、\((-5,0)\)です。
二次関数のグラフの描き方⑤:点をなめらかな線でつなぐ
最後に、上で求めた頂点\((-2,-1)\)、交点\((0,3)\)、\((-1,0)\)、\((-3,0)\)をなめらかな線でつなぎます。
最後に
いかがでしたか? 二次関数のグラフの問題はセンター試験でも出題されます。この記事を読んでマスターしてください!
また、二次関数のグラフを描く問題では、グラフを平行移動する問題もよく出題されます。平行移動に関してはこちらをご覧ください。