はじめに
中学数学で登場する「変化の割合」というワード。
そんなに普段出てこないから、いざ問題文中に出てくるとなんのことかさっぱり……という人も多いのではないでしょうか?
そんな人でも大丈夫!この記事を読めば変化の割合がいつ何に使われるワードなのかがきっと理解できると思います。
中学数学、高校数学で登場する変化の割合をマスターしましょう!
目次
変化の割合とは?
ではまず変化の割合とは何かについて説明していきます。
変化の割合とは\(x\)が増える量に対して\(y\)がどれくらい増えるかを表したものです。
この定義は一次関数においても二次関数においても変わりはありません。
つまり、変化の割合\(=\displaystyle \frac{ yの変化量 }{ xの変化量 }\)
少し数学的にいうと関数\(y=f(x)\)において、\(x\)の値が\(a\)から\(b\)まで変化するとき、\(y\)の値は\(f(a)\)から\(f(b)\)まで変化します。
このときの変化の割合は\(\displaystyle \frac{ f(b)-f(a) }{ b-a }\)になります。
以上が変化の割合の定義になります。
次からは一次関数、反比例、二次関数の変化の割合について別々にみていきます。
変化の割合の求め方
変化の割合の求め方:一次関数・比例の場合
最初は一次関数の変化の割合についてです。
一次関数の理解に自信がない人は、以下の記事の内容を確認してみてください。
比例は一次関数の一部です。比例=一次関数ではないので注意してください。
このとき\(x\)を\(1\)から\(2\)、\(2\)から\(3\)と\(1\)ずつ増やしていくことを考えてみましょう。
\(x=1\)のとき\(y=2×1+4=6\)
\(x=2\)のとき\(y=2×2+4=8\)
\(x=3\)のとき\(y=2×3+4=10\)になりますね。
\(x\)を\(1\)ずつ増やしていくと、\(y\)は\(2\)ずつ増えていますね。
よって、\(x\)を\(1\)ずつ増やす時の変化の割合は\(\displaystyle \frac{ 2 }{ 1 }=2\)となります。
試しに今度は\(y=2x+4\)の\(x\)を\(100\)から\(1000\)に増やしてみましょう。
\(x=100\)のとき\(y=2×100+4=204\)
\(x=1000\)のとき\(y=2×1000+4=2004\)となりますね。
変化の割合は\(\displaystyle \frac{ 2004-204 }{ 1000-100 }=\displaystyle \frac{ 1800 }{ 900 }=2\)になります。
このことから、\(y=2x+4\)においてはたとえ\(x\)を\(1\)から\(2\)にしても、\(100\)から\(1000\)にしても変化の割合は\(2\)で一定です。
一次関数の場合、変化の割合はどこを取っても一定になります。
また\(y=2x+4\)における傾きである\(2\)と変化の割合は一致していますよね。
偶然でしょうか?いやそうではありません。
実は、一次関数\(y=ax+b\)の\(a\)は傾きとも呼ばれますし、変化の割合とも、また比例定数とも呼ばれます。
傾きや比例定数について詳しく知りたい人は、以下の記事をご参照ください。
なぜ、傾きと変化の割合が一致するのかを証明しておきます。
傾き\(a\)の一次関数\(y=ax+b\)を考えます。
\(x\)が\(\alpha\)から\(\beta\)に変化したとします。
すると、\(y\)は\((a\alpha+b)\)から\((a\beta+b)\)に変化します。
よって、変化の割合は\(\displaystyle \frac{ (a\beta+b)-(a\alpha+b) }{ \beta-\alpha }=\displaystyle \frac{ a(\beta-\alpha) }{ \beta-\alpha }=\style{ color:red; }{ a }\)となり、傾き\(a\)と一致しますね。
また、変化の割合が常に一定なのは一次関数のときのみです。
変化の割合の求め方:反比例の場合
今度は、反比例の変化の割合について考えてみましょう。
反比例にも変化の割合というものはありますが、一次関数のものとは少し違いがあります。
どのような違いがあるのかをこれから説明していきます。
こちらも例を挙げます。\(y=\displaystyle \frac{ 6 }{ x }\)で考えてみます。
\(x\)が\(1\)から\(2\)に、\(2\)から\(3\)に変化した時のことを考えます。
\(x=1\)のとき\(y=\displaystyle \frac{ 6 }{ 1 }=6\)
\(x=2\)のとき\(y=\displaystyle \frac{ 6 }{ 2 }=3\)
\(x=3\)のとき\(y=\displaystyle \frac{ 6 }{ 3 }=2\)になります。
表にまとめてみます。
上の表から、\(x\)が\(1\)から\(2\)に変化する時の変化の割合は\(\displaystyle \frac{ 6-3 }{ 2-1 }=3\)です。
しかし、\(x\)が\(2\)から\(3\)に変化する時の変化の割合は\(\displaystyle \frac{ 3-2 }{ 3-2 }=1\)になっています。
つまり、反比例における変化の割合は一次関数のときとは違い、\(x\)を変化させる場所によって変わるのです。
当然ですが、反比例の式の比例定数と変化の割合が常に一致はしないことにも注意です。
変化の割合の求め方:二次関数の場合
最後は二次関数における変化の割合です。二次関数にも変化の割合はあります。
もう大体の人が予想していると思いますが、二次関数における変化の割合も反比例の時と同様に一定ではありません。
確認してみましょう。二次関数\(y=x^2\)を考えてみます。
\(x\)が\(1\)から\(2\)に、\(2\)から\(3\)に変化したときの変化の割合を求めてみましょう。
\(x=1\)のとき\(y=1^2=1\)
\(x=2\)のとき\(y=2^2=4\)
\(x=3\)のとき\(y=3^2=9\)になります。
これも表でまとめておきます。
上の表から、\(x\)が\(1\)から\(2\)に変化する時の変化の割合は\(\displaystyle \frac{ 4-1 }{ 2-1 }=3\)です。
そして、\(x\)が\(2\)から\(3\)に変化する時の変化の割合は\(\displaystyle \frac{ 9-4 }{ 3-2 }=5\)になっています。
よって、二次関数においても変化の割合は\(x\)を変化させる場所によって変わることが確認できました。
二次関数における変化の割合も二次関数の一般式\(y=ax^2+bx+c(a \neq 0)\)の\(a\)とは常に一致しないことに注意です。
変化の割合の練習問題
変化の割合についての理解が深まったところで練習問題を解いてみましょう!
練習問題1
一次関数\(y=3x-7\)において、\(x\)の値が\(5\)から\(13\)に変化したとする。
この時、\(y\)の値の増加量を求めよ。
練習問題1の解答・解説
この問題には二通りの解き方があります。
1つ目は\(x=13\)における\(y\)の値から、\(x=5\)における\(y\)の値を引いて\(y\)の増加量を求めるやり方です。
これで、問題を解いてみます。
\(x=13\)のとき\(y=3×13-7=32\)
\(x=5\)のとき\(y=3×5-7=8\)になります。
よって、\(y\)の増加量は\(32-8=\style{ color:red; }{ 24 }\)になります。
2つ目の解き方は「変化の割合=傾き」であることを使ったやり方です。
\(y\)の増加量を\(\alpha\)とおく。
変化の割合=傾きより変化の割合は\(3\)である。
よって、\(\displaystyle \frac{ \alpha }{ 13-5 }=3\)
ゆえに\(\alpha=\style{ color:red; }{ 24 }\)が求まりました。
2つ目のやり方が簡単なのでオススメです!
練習問題2
\(y\)は\(x\)に比例し、変化の割合は\(3\)である。
\(x=3\)の時、\(y=5\)であるという。この比例の式を求めよ。
練習問題2の解答・解説
色々な解き方があると思いますが、ここでは最短のやり方を示します。
ここでも注目すべきは、「変化の割合=傾き」です。
「変化の割合=傾き」より求める式は\(y=3x+b\)とおくことができる。
この式は\(x=3\)の時、\(y=5\)であるのでそれぞれ代入して、\(5=3×3+b\)
よって、\(b=-4\)なので求める式は\(\style{ color:red; }{ y=3x-4 }\)となります。
おわりに
いかがでしたか?
今回は変化の割合がなんであるかを理解してもらうために反比例や二次関数を持ち出しましたが、変化の割合が問題として出題されるとき一次関数であることがほとんどです。
理由はおそらく一次関数の「変化の割合=傾き=比例定数」が問題として問いやすいからだと思います。
なので、一次関数における変化の割合の特徴は絶対に覚えておくようになんども確認するようにしましょう!
二次関数についてはこちらの記事も参考にしてください!