漸化式の解き方のパターンをマスターしよう!
漸化式(ぜんかしき)は数列の中でも重要な分野です。
扱いづらいため苦手意識を持ちやすい分野ですが、簡単な例から意味を理解して様々なパターンの解法を暗記することが大事です。
今回は漸化式について解説します。
目次
漸化式とは
漸化式はぜんかしきと読みます。
数列の定め方の一つである項をそれ以前の項を用いて表す等式のことです。
言葉だけだと分かりにくいので、具体的に考えてみましょう。
\({a_n}\) を初項3,公差4の等差数列とします。
3,7,11,15,19,23…
このとき、\(a_5=19\)を前の項を用いて表すと
\(a_5=a_4+4\)
となりますね。
公差4の等差数列なので前の項に公差4を足せば、次の項の値になるのは当然です。
これをより一般的に表すと、どのnについても
\(a_{n+1}=a_n+4\)
が成り立ちます。
つまり、「第n+1項」は「第n項+4」に等しい、というのを式で表しているのです。
このように前の項を用いて項の値を決める等式が漸化式ということになります。
今回は漸化式のうち、等差数列になるもの、等比数列になるもの、\(p・a_n+q\)の形で表されるものを解説します。
漸化式の解き方のパターン①:等差数列で表される漸化式の解き方
先程の例に出したように等差数列を漸化式で表すと以下のようになります。(dは公差)
\(a_{n+1}=a_n+d\)
\(a_{n+1}-a_n=d\)
このことを踏まえて問題を解いてみましょう。
問題1
次の漸化式で表される数列{\(a_n\)}の一般項\(a_n\)を求めよ。
\begin{eqnarray}
a_1=0 (1)\\
a_n-a_{n-1}=-2 (2)
\end{eqnarray}
問題1の解答・解説
(2)が重要です。これよりある項と次の項の差が-2であることがわかります。
つまり、この漸化式からこの数列が等差数列であると分かるのです。
そして(1)より初項は0です。
よって、この数列は初項0、公差-2の等差数列であり、一般項\(a_n\)は
\(a_n=-2(n-1)\)
と表すことができます。
このように漸化式から等差数列だと判断することができます。以下のような形の漸化式が問題になった際は等差数列なので覚えておきましょう。
\(a_{n+1}=a_n+d\)
\(a_{n+1}-a_n=d\)
漸化式の解き方のパターン②:等比数列で表される漸化式の解き方
漸化式とは最初に述べた通り、前の項から次の項を表す等式です。
等比数列の場合も等差数列と同様に表すことができます。
漸化式で表すと以下のようになります。(rは公比)
\(a_{n+1}=r・a_n\)
次の項が前の項のr倍と等しいという等式です。スッキリしていて分かりやすいですね。
次のような漸化式を想定して、一般項を求めてみましょう。
\(a_{n+1}=3a_n\)
\(a_1=2\)
上の式より、公比が3の等比数列であることがわかり、下の式より初項が2であることがわかります。
よって、一般項は\(a_n=2・3^{n-1}\)であることがわかります。
漸化式の解き方のパターン③:特殊な漸化式の解き方
漸化式は等差数列や等比数列以外の数列を表すこともあります。例えば、次の例を見てください。
\(a_{n+1}=3a_n-4\)
\(a_1=4\)
こちらは等比数列や等差数列ではありません。しかし、この漸化式を解いて一般項を求める方法があります。
これから\(a_{n+1}=p・a_n+q\)という形をした漸化式の解き方を解説していきます。
特殊な漸化式の解き方その1:\(a_{n+1}=p・a_n+q\)型として解く
まずは以下の形となるようなαを求めます。
\(a_{n+1}-α=3(a_n-α)\)
なぜこのような変形を行うのかというと、
\(b_n=a_n-α\)と置くことで、
\(b_{n+1}=3b_n\)という形になり、
\({b_n}\)が等比数列であることが導けるからです。
また、\(a_n=b_n+α\)とすることで\(a_n\)を求めることができます。
この操作は慣れないうちはなかなか理解できないので何度も練習することが必要です。
それでは実際にやってみます。
\(a_{n+1}-α=3(a_n-α)\)を変形すると
\(a_{n+1}=3a_n-3α+α=3a_n-2α\)
元の式と比べると\(-4=-2α\)なので
\(α=2\)
よって、\(a_{n+1}-2=3(a_n-2)\)となります(☆)。
ここで、\(b_n=a_n-2\)と置くと☆は、\(b_{n+1}=3b_n\)となり、数列\({b_n}\)は公比3の等比数列であることがわかります。
また、\(b_1=a_1-2=4-2=2\)より、\({b_n}\)の初項が2であることがわかるので、
\(b_n\)=2・3^{n-1}
と表すことができます。
\(b_n=a_n-2\)より
\(a_n=b_n+2=2・3^{n-1}+2\)
以上のようにして求めることができました。
特殊な漸化式の解き方その2:答えが正しいか検証してみる
数列の問題の良いところは、検算がしやすいところです。
このように一般項を求める問題ではn=1,2,3の場合の値が一致するか確かめるとミスに気づけてよいでしょう。
元の式はこちらです。
\(a_{n+1}=3a_n-4\)
\(a_1=4\)
n=1を上の式に代入すると
\(a_{2}=3a_1-4=8\)
n=2を上の式に代入すると
\(a_{3}=3a_2-4=20\)
となり、この数列は4,8,20…となっていることがわかります。
これが先程求めた一般項と一致するか確かめましょう。
一般項は\(a_n=2・3^{n-1}+2\)
ですので、
\(a_1=2・3^{1-1}+2=4\)
\(a_2=2・3^{2-1}+2=8\)
\(a_3=2・3^{3-1}+2=20\)
となり、n=1,2,3では一致することがわかりますね!
このように実際の値で確かめることで計算間違いなどのケアレスミスに気づけるので時間があるときは必ずやりましょう。
一旦、\(b_n\)で置いたりと複雑に思うかもしれませんが、要するに変形して等比数列として扱うだけだと思うことができれば大丈夫です!
演習を重ねて、パターン別の漸化式の解き方を身につけよう!
漸化式は最初のうちは慣れないと思うので、\(a_{n},a_{n+1}\)に具体的なnを代入して考えると良いでしょう。
慣れてくると、等差数列や、等比数列の漸化式はすぐにわかるようになるのですが\(p・a_n+q\)型はつまずく人が多いです。
「等比数列の漸化式に変形する」という解法は覚えるしかないので、簡単な問題を何問も解くことで身につけましょう。