はじめに:切片をマスターしよう!
切片は一次関数における基本的な用語です。
今回は切片という用語の確認、切片の求め方に関する練習問題の2つのトピックを用意しました。
ぜひ最後まで読んで、切片をマスターしてください!
(一次関数の基本事項を確認したい人は、以下の記事も一緒に見てみてください)
切片とは?(傾きとの違い)
まずはそもそも切片とは何かについて確認しましょう。
一次関数の式は\(y=ax+b\)と表すことができます。
切片は、\(y=ax+b\)の中の\(b\)に相当します。
一方で傾きは\(a\)に相当します。
これだけではわかりづらいと思いますので、次はグラフで説明します。
下のグラフを見てください。
上のグラフからわかるように\(a\)が正であれ負であれ、\(y=ax+b\)の直線と\(y\)軸の交点が切片です。
なんどもいいますが、傾きは\(a\)のことですので切片と混同しないように注意してください。
切片の求め方
先ほども言いましたが、切片とは\(y=ax+b\)の直線と\(y\)軸の交点です。
つまり、一次関数\(y=ax+b\)の\(x\)に0を代入した\(y\)の値が切片となっています。
試しに\(y=\frac{ 1 }{ 2 }x+1\)で切片を求めてみましょう。
一応グラフを載せておきます。
確認ですが、切片とは単純に\(y=\frac{ 1 }{ 2 }x+1\)の\(x\)に\(0\)を代入した時の\(y\)の値でした。
よってわざわざ丁寧にグラフを書いて切片を求めずとも\(x=0\)としたら一発で切片が出ます。
もっと言えば、切片は\(y=ax+b\)の\(b\)と覚えていれば、式を見ただけで切片がわかります。
暗記は忘れた時が怖いのでオススメはできませんが、「切片は\(y=ax+b\)の\(b\)!」くらいならなんども唱えて覚えられるのではないでしょうか。
切片を求める計算問題
問題
一次関数\(y=ax+b\)がある。
この直線は2点(\(2,3\))、(\(1,-3\))を通るという。
この直線の式を求め、その切片を示せ。
問題の解答・解説
今回は直線の式をはじめに求める問題です。
この手の問題は\(y=ax+b\)の(\(x,y\))にそれぞれ(\(2,3\))、(\(1,-3\))を代入し、\(a\)と\(b\)の連立方程式を解いて、直線の式を求めます。
\(y=ax+b\)の(\(x,y\))にそれぞれ(\(2,3\))、(\(1,-3\))を代入して、\[\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 3 = 2a + b \\ -3 = -a + b \end{array} \right.\end{eqnarray}\]
これを解くと、(\(a,b\))=(\(2,-1\))
よって、求める直線の式は\(\style{ color:red; }{ y=2x-1 }\)となります。
次に切片ですが、もうこれは簡単です。先ほどの「切片は\(y=ax+b\)の\(b\)!」を使います。
よって、切片は\(\style{ color:red; }{ -1 }\)です。
直線さえわかってしまえば、切片は一瞬で出てしまいます。
切片の求め方についての応用問題
次は応用問題を解いてみましょう。問題は2種類あります。
応用問題1
\(x\)切片が\(-2\)、\(y\)切片が\(5\)である直線の方程式を求めなさい。
応用問題1の解答・解説
この問題は、「\(x\)切片が\(-2\)、\(y\)切片が\(5\)である直線」というのを「点(\(-2,0\))、(\(0,5\))を通る直線」というふうに言い換えられるかがカギです。
イメージとしては下のような感じです。
よって、点(\(-2,0\))、(\(0,5\))を通る直線の方程式を求めます。
まず、先ほどの計算問題のように求めたい直線の方程式を\(y=ax+b\)とおきます。
この直線が2点(\(-2,0\))、(\(0,5\))を通るので、それぞれ(\(x,y\))に代入して、
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 0 = -2a + b \\ 5 = 0 + b \end{array} \right.\end{eqnarray}
これを解くと、\(a=\displaystyle \frac{ 5 }{ 2 }\)、\(b=5\)となります。
よって、求めたい直線の方程式は\(\style{ color:red; }{ y=\displaystyle\frac{ 5 }{ 2 }x+5 }\)です。
応用問題2
下の図のように、直線\(y=ax+4\)と2点A(\(-3,1\))とB(\(-2,5\))を結ぶ線分ABがある。
直線\(y=ax+4\)が線分AB(両端も含む)と交わるような\(a\)の値の範囲を求めよ。
応用問題2の解答・解説
この問題は「傾きや切片の範囲を求める問題」といって、切片が絡んだ問題の中で難しい部類に入る問題です。
しかし、このような問題ですることは限られています。
- 定点を求める
- 両端の点の座標を代入する
定点とは、変数(ここでは、\(a\)のこと)がどんな値になっても、その直線が常に通り続ける点のことをさします。
以上を押さえれば、この手の問題はうんと簡単になります。
まず定点の求め方ですが、数に変数がついているかで右辺と左辺に項を分けます。
今回は、変数付きの数を右辺、変数なしの数を左辺に持ってきます。
すると、\(y-4=ax\)となります。
定点は\(a\)の値に依存しない点とのことだったので、\(a\)を消したいと考えます。そのために\(x=0\)を代入します。
\(y-4=0\)となって、定点の\(y\)座標が\(4\)であることがわかりました。
よって、定点の座標は(\(x,y\))=(\(0,4\))となりました。
ここから、直線\(y=ax+4\)が線分AB(両端)と交わるのは一体どんな時なのかが見えてきます。
上の図中の黒い直線が条件を満たす直線の中の一つ、赤い線が条件を満たす直線の中で両端に当たるもの、青い直線が条件を満たさない直線の例を示しています。
なぜ、両端の点の座標を代入するだけで、答えとなる範囲が求まるのでしょうか?
上のグラフをみてください。条件を満たす直線の中で傾きが一番小さいものは点Bを通る時で、傾きが一番大きいものは点Aを通る時だとわかります。
そして、直線の傾きがその最大と最小の間にある時だけ直線\(y=ax+4\)が線分AB(両端)と交わっています。
よって、直線\(y=ax+4\)が点Bを通る時の最小の\(a\)の値と、点Aを通る時の最大の\(a\)の値とで\(a\)の値を挟むことで求めたい\(a\)の範囲がでてくるというわけです。
言葉の説明だけでは、わかりづらいのでもう一度グラフで確認してみてください。
以上で説明を終えて、解答に入っていきます。
問題の条件を満たす直線の中で、傾きが最小なのは点B(\(-2,5\))を通る時なので、
(\(x,y\))=(\(-2,5\))を代入して
\(5=-2a+4\)、よって\(a=\displaystyle -\frac{ 1 }{ 2 }\)・・・①
一方、問題の条件を満たす直線の中で、傾きが最大なのは点A(\(-3,1\))を通る時なので、
(\(x,y\))=(\(-3,1\))を代入して
\(1=-3a+4\)、よって\(a=1\)・・・②
両端を含むことも考慮して、①、②より求めるべき\(a\)の範囲は\(\style{ color:red; }{ \displaystyle -\frac{ 1 }{ 2 } ≦ a ≦ 1 }\)となります。
まとめ:傾きとの区別をしっかりと!
いかがでしたか?
最後の問題は特にそうですが、傾きと切片を複雑に関係させて問題が作られています。
そんな時でも、「切片は一次関数\(y=ax+b\)の\(x\)に0を代入した\(y\)の値!」、「切片は\(y=ax+b\)の\(b\)!」を思い出して、傾きと切片を混同することのないように気をつけましょう!