実践力を鍛える!入試数学への挑戦〜隠れた「実数条件」に注意せよ〜

突然ですが、皆さんは受験勉強を始めたときに入試数学のレベルの高さにびっくりしたことはありませんか?

高校数学は、教科書のレベルと実際の入試のレベルの差が非常に大きいと言われています。

そのギャップを埋めていくためには根気強く問題演習を重ねる必要があります。ですが、問題集の問題量に圧倒されてしまう人もいるでしょう。

本当にこれらの問題を全て解く必要があるのでしょうか?

答えはNO! です。実は、解くべき問題は限られた数しかありません!

そこでこの連載では、教科書と入試数学のギャップを埋めるような手法・考え方を厳選し、問題の例と共に解説していきたいと思います。

では、先生と生徒さんの2人にバトンタッチします!

先生
第1回目のテーマは『隠れた実数条件に注意せよ』!このテーマは多くの受験生にとって悩みの種かもしれないね。
難しい問題だけど、頑張っていこう!
生徒
『実数』?簡単そうですね(笑)
先生
お?言ったね?じゃあ、この問題を解いてごらん。
問(数学I,IIレベル)
実数x,y が x^2+y^2≦1 を満たしながら変化する。X=x+y, Y=xy として、点(X,Y)が動く領域を XY平面上に図示せよ。(有名典型問題)
先生
1分間考えてみてごらん。

―――1分経過―――

生徒
こんな感じでいいと思います!
〈生徒の解答〉グラフ1
x^2+y^2≦1より (x+y)^2-2xy≦1
X=x+y、Y=xy を代入して
X^2-2Y≦1   ∴Y≧(X^2-1)/2 …①
よって求める領域は右図斜線部(境界線を含む)。
先生
・・・なるほど。
生徒
あ、合ってますか?
先生
実はね、これだけじゃ条件が足りていないんだよ。
生徒
!!?
先生
例えば、(X,Y)=(0,1)として(x,y)を求めてごらん。
生徒
えっと、このときは
x+y=0, xy=1
yを消去して整理すると x^2= -1
だから x=±i
生徒
え、虚数(-o-;)
先生
分かったようだね。さっきの解答で何がいけなかったかというと、➀の範囲内にある点(X,Y)を取ってきたとき、逆にx,yが実数となるための条件が欠けていることなんだよ。
生徒
それが冒頭の『実数条件』ですか!やられた(汗)
先生
その通り!じゃあ、どうすればx,yが実数になると思う?
生徒
・・・方針さえ立たないです。
先生
ヒント!x, yを解に持つ方程式が実数解だけを持てばいいんだよ。
生徒
あ!つまり・・・
解と係数の関係より、x,yを解に持つ2次方程式の1つは
t^2-Xt+Y=0
x,yは実数なので、判別式をDとしてD≧0より
X^2-4Y≧0  ∴Y≦X^2/4…②
先生
正解!解答をまとめると以下のようになるね。
〈模範解答〉
x^2+y^2≦1より (x+y)^2-2xy≦1
X=x+y、Y=xy を代入してグラフ2
X^2-2Y≦1  ∴Y≧(X^2-1)/2…➀
また、x,yを解に持つ2次方程式の 
1つは
t^2-Xt+Y=0
x,yは実数なので、判別式をDとしてD≧0より
X^2-4Y≧0  ∴Y≦(X^2)/4…②
①,②より求める領域は右図斜線部
(境界線を含む)
生徒
正直、判別式なんて知るかあああ!って感じです。こんなの初見じゃ解けないですよ。。。
先生
そりゃそうだよ!種明かしをすると、これは1954年の東大の過去問。私の経験では、初見でこの問題を正しく解ける人は1%未満だね。
生徒
うひゃあ!でも、今では有名問題なんですよね?
先生
そう、そこが難しいところでね。この問題は教科書にもあまり載っていない「逆像法」、別名「逆手流」という手法を利用したものなんだ。
でも、入試で出題されたらほとんどの受験生が解いてしまうと思う。
つまり、受験勉強では時には教科書を超えた演習をして典型問題の多くの解法を理解し、身に付けることが必要になってくるんだよ。
生徒
なるほど、難易度にギャップがあるんですね。でも演習の時間が取れないかもしれないです(・_・;)
先生
では、これからも私と一緒に入試数学を学んでいくかい?
生徒
え、いいんですか?じゃあ、これからもお願いします!

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Benzene君

東京大学理科3類1年のBenzene君です! benzene(ベンゼン)とは、化学でもおなじみの物質のひとつ。 リラックスした表情で、受験生のみんなをゆったりサポートします。