解の公式について
皆さんは解の公式を覚えていますか?
解の公式は、中学3年の数学で出てきて、暗記しないといけないものです。
しかし、公式が複雑すぎて覚えてもすぐ忘れてしまいますよね…
そんな解の公式を、今回は解説していきます。
解の公式をこれから習う人も、覚えていたけど忘れてしまったという人もぜひ参考にしてみてください!
解の公式
一般的な解の公式とその覚え方
さっそく解の公式を紹介していきましょう!
これから以下は特に断りのない限り、\(a,b,c\)は実数で\(a \neq 0\)とします。
二次方程式\(ax^2+bx+c=0\)の解は\[\style{ color:red; }{ x=\displaystyle \frac{ -b\pm \sqrt{ b^2-4ac } }{ 2a } }\]となります。
これが、解の公式になります。
この解の公式は二次方程式にのみ使うことができます。
三次方程式、四次方程式についても解の公式はありますが、式が超複雑なので省略します。
もちろん、中学・高校数学においては二次方程式における解の公式しか登場しないので、気にしなくてもOKです。
解の公式を正確に覚えることで、二次方程式の解は100%求めることができます。
もちろん問題を解く時間を意識すれば、因数分解も使えないかを考えるべきなのですが…(これについては後述します)。
また、おそらく解の公式を初めて見る人は、「なんで?」と疑問に思うことだと思います。
そのような人に向けて、解の公式を覚えるための2つの解決策を示します。
1つ目は、解の公式をただ丸暗記すること。なんとしてでも覚える。
紙に何度も書いたり、実際に問題を解いて頭に残したり、歌にのせて覚えたり…
方法は色々ありますが、とにかく暗記するというのが1つの手です。
2つ目は、後述する導出まで覚えてしまうこと。
導出を覚えることで、万が一公式を忘れても思い出すことができますし、理屈もきちんと理解できます。
こちらの方が安全ではありますが、導出も覚えるとなると少々大変です。
できることなら、公式だけをしっかりと覚えておくのが理想です。
そのためには、練習問題をたくさん解いて覚えてしまいましょう!
高校数学では、二次方程式に実数解がいくつあるかを判別式を使って調べることができます。
判別式は、一般的に\(D\)と表され、\(D=b^2-4ac\)になります。
もうお気付きですか?
実は判別式は解の公式\(\displaystyle \frac{ -b\pm \sqrt{ b^2-4ac } }{ 2a } \)の\(√\)(ルート)の中身なんですね。
\(√\)(ルート)の中身の正負を判別することで実数解の個数を調べているのですね。
もっと判別式について知りたいという場合は、こちらの記事も参照してみると理解が深まりますよ。
\(b\)が偶数のときの解の公式
「解の公式は複雑だし、できることなら楽をしたい…」
そんな願望に少しだけ答えるのが、\(ax^2+bx+c=0\)の\(b\)が偶数であるときの解の公式です。
では、試しに\(b\)が偶数、つまり\(b=2b’\)としてみましょう。
もともとの解の公式に代入してみましょう。
\(\displaystyle \frac{ -b\pm \sqrt{ b^2-4ac } }{ 2a } \)
\(=\displaystyle \frac{ -2b’\pm \sqrt{ (2b’)^2-4ac } }{ 2a } \)
\(=\displaystyle \frac{ 2(-b’\pm \sqrt{ b’^2-ac }) }{ 2a } \)
\(=\displaystyle \frac{ -b’\pm \sqrt{ b’^2-ac } }{ a } \)
よって、\(b\)が偶数であるとき、解の公式は\[\style{ color:red; }{ \displaystyle \frac{ -b’\pm \sqrt{ b’^2-ac } }{ a } }(b=2b’)\]になります。
少しではありますが、式が少し簡単になったと思います。
便利なので覚えても良いですが、もちろん必ずしも覚えるべきものでもありません。
なぜなら、もともとの解の公式であれば、(b\)が偶数であろうと奇数であろうと成り立つからです。
なので、別に無理をして覚えようとしなくても、問題が解けなくなるというわけではないのです!
むしろ無理をして覚えて、間違った公式を使ったりしたら大変なので、自分と相談して覚えるか決めてくださいね。
解の公式の証明(導出)
お待たせしました!では、なぜ解の公式は成り立つのでしょうか?
解の公式の証明は、数多く存在します。
しかし、いずれも普通の人には思いつきもしないようなやり方ばかりです。
このような場合、証明の仕方を覚えてしまうというのも1つの手です。
自分には到底こんな証明思いつきっこないと思ったら、考えるのを一旦やめて、出来上がった証明をみて、納得して、覚えるということを心がけてみてください。
今回紹介する証明は、最もよく見かける証明の1つです。
この証明がメジャーな理由は、おそらく理解がしやすいからだと考えられます。
しかし、やや無理やりな式変形がありますので、そこには注意しながらみてみてください。
(証明)
\(a \neq 0\)より、\(ax^2+bx+c=0\)の両辺を\(a\)で割って、
\(x^2+\displaystyle \frac{ b }{ a }x+\displaystyle \frac{ c }{ a }=0\)
平方完成の形を作るために\(\left( \displaystyle\frac{ b }{ 2a } \right )^2-\left( \displaystyle\frac{ b }{ 2a } \right )^2\)を入れ込みます。
ここのプロセスが、少し無理やりですね。このまま続けます。
\(x^2+\displaystyle \frac{ b }{ a }x+\left( \displaystyle \frac{ b }{ 2a } \right )^2-\left( \displaystyle\frac{ b }{ 2a } \right )^2+\displaystyle \frac{ c }{ a }=0\)
\(\left(x+\left( \displaystyle\frac{ b }{ 2a } \right )\right)^2=\left( \displaystyle\frac{ b }{ 2a } \right )^2-\displaystyle \frac{ c }{ a }\)
左辺の整理ができたら、今度は右辺の整理をしていきます。
\(\left(x+\left( \displaystyle\frac{ b }{ 2a } \right )\right)^2=\displaystyle\frac{ b^2 }{ 4a^2 } -\displaystyle \frac{ 4ac }{ 4a^2 }\)
\(\left(x+\left( \displaystyle\frac{ b }{ 2a } \right )\right)^2=\displaystyle\frac{ b^2-4ac }{ 4a^2 }\)
\(x+\displaystyle\frac{ b }{ 2a }=\pm \displaystyle\frac{ \sqrt{ b^2-4ac }}{ 2a }\)
あとは左辺の\(\displaystyle\frac{ b }{ 2a }\)を移項して、
\(x=-\displaystyle\frac{ b }{ 2a }\pm \displaystyle\frac{ \sqrt{ b^2-4ac }}{ 2a }\)
\(\style{ color:red; }{ x=\displaystyle \frac{ -b\pm \sqrt{ b^2-4ac } }{ 2a } }\)
(証明終了)
いかがでしたか?ややこしかったですよね笑
もし、この証明が気に入った人は、このまま使い続けてください。
でも、大半の人が面倒だと感じるはずなので、その場合はやはり解の公式だけを覚えてください。
解の公式の問題
では、最後に解の公式の練習問題を解いて終わりにしましょう!
公式をちゃんと覚えて、使えているかどうかを確かめてください。
問題
次の二次方程式の解を求めよ。
(1)\(x^2+13x+4=0\)
(2)\(x^2+15x+26=0\)
問題の解答・解説
まず、問題を解き始める前に確認しておきたいことがあります。
二次方程式を解く方法は、解の公式だけではありません。
前述しましたが、他のやり方として因数分解があります。
よって、二次方程式の解を求める問題では、解の公式を使うか因数分解を使うかを見極めないといけません。
その見極め方ですが、二次方程式をなるべく楽に、早く解けないかという観点から見極めます。
この観点からだと、因数分解の方が断然有利になります。
よって、二次方程式を解くときは、基本的にまず因数分解ができないかを考えます。
ここで、因数分解できれば問題ないのですが、もしできそうにないときだけ解の公式を使います。
なので、解の公式とは、いわば二次方程式を解くための最終手段なのですね。
このような視点から方程式を解いていきます。
(1)はどう頑張っても因数分解はできないので、解の公式を使うのだと判断します。
よって、解の公式を使って(1)の解は、
\(x=\displaystyle \frac{ -13\pm \sqrt{ 13^2-4・1・4 } }{ 2・1 }\)
\(=\displaystyle \frac{ -13\pm \sqrt{ 153 } }{ 2 }\)
\(=\style{ color:red; }{ \displaystyle \frac{ -13\pm 3\sqrt{ 17 } }{ 2 } }\)
になります。
(2)に移ります。
(2)については、実は因数分解が使えます。
なので、解の公式をすぐに使おうとするのではなく、ここでは因数分解を使った方が早くて良いということになります。
\(x^2+15x+26=0\)を因数分解すると、\((x+13)(x+2)=0\)とすることができ、よって、答えは\[\style{ color:red; }{ x=-13,-2 }\]になります。
因数分解だと、二次方程式はあっという間に解けてしまいます。
ちなみに、因数分解に気づかず解の公式を使ってしまっても、一応問題は解けますが、因数分解よりは時間がかかってしまいます。
\(x=\displaystyle \frac{ -15\pm \sqrt{ 15^2-4・1・26 } }{ 2・1 }\)
\(=\displaystyle \frac{ -15\pm \sqrt{ 121 } }{ 2 }\)
\(=\displaystyle \frac{ -15\pm 11 }{ 2 } \)
\(=\displaystyle \frac{ -26 }{ 2 },\displaystyle \frac{ -4 }{ 2 } \)
\(=\style{ color:red; }{ -13,-2 }\)
同じ答えはでできますが、解の公式を使うと解を求めるまでにより時間がかかってしまいます。
これが、極力因数分解を使うように心がける理由です。
計算量が圧倒的に違うので、解の公式を使わずに済むのが理想的と言えるでしょう。
解の公式のまとめ
いかがでしたか?
解の公式のことについて、理解が進んだことかと思います。
繰り返しになりますが、解の公式は絶対に二次方程式が解ける最強の公式です。
一方で、公式自体が複雑なので覚えにくいという面もあります。
問題演習を重ね、身体が公式を覚えているという状態まで持っていけるように頑張っていきましょう!