はじめに
今回は円周角の定理と円周角の定理の逆について解説・証明し、これらの定理の使い方を紹介します。
円周角の定理とその逆は、図形問題における定理の中でも基本的な定理であり、使用頻度も高い定理なのでしっかり使いこなせるようになりましょう。
目次
円周角の定理
円周角の定理とは以下のようなものです。
「1つの弧に対する円周角の大きさは一定であり、その弧に対する中心角の半分である」というのが円周角の定理です。
そもそも円周角とは、円周上の点で、弧AB上にはない点Pをとったときの∠APBのことを呼びます。
円周角は画像で青点で示されている角度ですね。図からもわかるように円周角は一つの弧に対して無数にあります。
そのうちのどの円周角の角度も等しいというのが円周角の定理の前半です。
円周角の定理の後半は、「円周角が中心角の半分である」となっています。
中心角とは画像でオレンジ色で示されている角度であり、円の中心Oと結んだ∠AOBを中心角と呼びます。
この中心角は円周角の2倍(円周角は中心角の半分)というのが後半の内容です。
円周角と中心角という言葉をまずは正しく理解しましょう。
ちなみに、弧が半円のとき、中心角は180°ですので、当然円周角は90°となります。
直角三角形を利用して値を求めさせる問題も多いので、この性質はぜひ覚えておきましょう。
円周角の定理の証明
それでは以上で説明した円周角の定理を証明していきます。図を書けば直感的に理解できるところもありますが、場合分けが必要になるため、少し証明は長いです。
円周角の定理の証明が問われる可能性は低いので、一度目を通す程度でも十分ですが、数学が得意な人は理解してみましょう。
円周角の定理の証明①:中心Oが直線PAまたは直線PB上にある場合
∠AOBは∠AOPの外角であるから、三角形の1つの外角はそれととなり合わない2つの内角の和に等しいです。
よって、
∠AOB=∠APO+∠PAO
ここで、△OAPは二等辺三角形なので、半径の長さは等しい。
すなわち、∠APO=∠PAO
よって
∠AOB=2∠APO
これより
∠APB=\(\frac{1}{2}∠AOB\)
よってOが直線PB上にあるとき、∠APB=\(\frac{1}{2}∠AOB\)が成り立つ。
円周角の定理の証明②:中心Oが∠APBの内部にある場合
中心が∠APBの内部にある場合です。上の図を見るとわかるように、先程やったことを2つの三角形で表せば証明することができます。
図を参考にして自分で証明してみましょう。
円周角の定理の証明③:中心Oが∠APBの外部にある場合
最後の中心が∠APBの外部にある場合です。こちらは証明が少し複雑ですので、まずはなんとなくのイメージをつかめればOKです。
最終的に∠APB=\(\frac{1}{2}∠AOB\)を証明したいのですが、これを
∠APO-∠BPO=\(\frac{1}{2}(∠AOC-∠BOC)\)
と分解することで求めるという方向性でいきます。
∠APOについて先程と同様にして、
∠APO=\(\frac{1}{2}∠AOC\)が成り立ちます。
∠BPOについても同じく
∠BPO=\(\frac{1}{2}∠BOC\)が成り立ちます。
よってそれぞれ引くことで
∠APO-∠BPO=\(\frac{1}{2}(∠AOC-∠BOC)\)を導くことができます。
したがって、
∠APB=\(\frac{1}{2}∠AOB\)が成り立ちます。
以上で証明終了です。長いですが、場合分けをしっかり行って証明していきましょう。
円周角の定理の逆
最後に円周角の定理の逆というのを覚えておきましょう。これは以下のようなものです。
円周角の定理は多くの受験生がマスターしてきますが、円周角の定理の逆は見落とされやすく、気づきにくいので盲点になりやすいです。
円と関係なさそうな問題でも同じ角度になることを見つけ、それが円周角になりそうな場合は円周角の定理の逆が適用できないか、検討する癖をつけましょう。
円周角の定理を利用する問題
問題1
次の図のxの値を求めよ。
問題1の解答・解説
円周角の定理を使って問題を解いていきましょう。
複数の解き方が考えられますが、中心角が円周角の2倍であることを利用して解いてみましょう。
∠AOCは∠ABCの中心角であるので
∠AOC=2∠ABC=2x°
ここで△AOCは二等辺三角形であるから、
∠OAC=∠OCA=30°
△AOCの内角の和は180°であるから、
∠AOC+∠OAC+∠OCA=180°
よって、∠AOC=120°となる。
ここで、∠AOC=2x°であるから
x°=60となる・・・(答)
このようにして中心角が円周角の2倍であるという性質を利用して答えを求めることができました。
他にも半円の弧の円周角が90°であることを利用しても求めることができたので、余力がある人はやってみましょう。
おわりに
慣れないうちはどこが円周角で、どこが中心角なのかを忘れてしまうことがあるので、まずは正しい用語の理解に努めましょう。
内容自体はそこまで難しくないので、何度も問題を解いて当たり前のように円周角の定理を利用できるようにしましょう。
また、円周角の定理の逆などを利用する場合もあるので、数学を得点源にしたい方は、問題演習を行ってきっちり身につけましょう。