こんにちは!古典文法チェック&演習シリーズ、今回は過去の助動詞「き・けり」について学んでいきましょう。
この2つはどちらも過去を表しますが、使われ方に違いがあります。その見分け方を含め、早速確認していきましょう!
助動詞「き」
○活用
基本形 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
---|---|---|---|---|---|---|
き | (せ) | ー | き | し | しか | ー |
活用の型は特殊型です。
○意味・訳し方・接続
助動詞 | 文法的意味 | 訳し方 | 接続 |
---|---|---|---|
き | 1.過去 | …た | 連用形に接続。ただし、カ行変格活用、サ行変格活用の動詞では未然形にも接続する。 |
☆特徴
体験過去=直接体験した過去の出来事を回想して述べている。
1. 過去
例:京より下りし時に、みな人、子どもなかりき。(土佐日記・二月九日)
(京から土佐へ下った時には、みんな子どもがいなかった。)
(京から土佐へ下った時には、みんな子どもがいなかった。)
助動詞「けり」
○活用
基本形 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
---|---|---|---|---|---|---|
けり | (けら) | ー | けり | ける | けれ | ー |
活用の型はラ変型です。
○意味・訳し方・接続
助詞 | 文法的意味 | 訳し方 | 接続 |
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けり | 1.過去 2.詠嘆 |
1.…た・…たそうだ 2.…なあ・…ことよ |
連用形に接続 |
☆特徴
1.伝聞過去=人から聞いた過去の出来事を回想して述べている。
2.和歌に多い・「なりけり」に多い
1.過去
例:昔、男ありけり。東の五条わたりにいと忍びていきけり。(伊勢物語・五)
(昔、ある男がいた。京の東の五条通りの辺りに、大変人目を忍んで行った。)
(昔、ある男がいた。京の東の五条通りの辺りに、大変人目を忍んで行った。)
2.詠嘆
例:人もなき空しき家は草枕旅にまさりて苦しかりけり。(万葉集・巻三)
(愛する妻もいないむなしい家は旅にもまさって苦しいことだなあ。)
(愛する妻もいないむなしい家は旅にもまさって苦しいことだなあ。)
体験過去「き」と伝聞過去「けり」
「き」「けり」のどちらを使うかの判断は会話文なら話し手、会話以外の部分なら作者です。
作者や話し手が体験したことかどうか、その時その場にいたかどうかなどが、「き」「けり」によって分かります。