【古典文法】助動詞「き・けり」

≪1≫( )に入る過去の助動詞「き」を適切な形に活用しなさい。

(1)初めよりおしなべての上宮仕へし給ふべき際にはあらざり()。(源氏物語・桐壷)

(2)陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに 乱れそめに()我ならなくに。(古今集・恋四・724)

≪1≫の解答
(1)過去を表す「き」の終止形になります。
訳:母君(光源氏にとって母である桐壷の更衣)はもともと普通一般のおそば勤めなさるはずの身分ではなかった。

(2)

「き」の連体形です。
訳:陸奥で織られる「しのぶもじずり」の摺り衣の模様のように、乱れる私の心。いったい誰のせいでしょう。私のせいではないのに(あなたのせいですよ)。

≪2≫( )に入る過去の助動詞「けり」を適切な形に活用しなさい。

(1)いづれの御時にか、女御・更衣あまた侍ひ給ひ()なかに、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めき給ふ、あり()。(源氏物語・桐壷)

(2)あさましう、犬などもかかる心あるものなり()。(枕草子)

(3)大きなる榎の木のあり()ば、「榎の木の僧正」とぞ言ひける。(徒然草・四五段)

≪2≫の解答
(1)ける・けり

どちらも伝聞過去の「けり」。
最初の「ける」は連体形、最後の「けり」は終止形です。
訳:どの帝の御代であったか、女御や 更衣が大勢お仕えなさっていたなかに、たいして高貴な身分ではない方で、きわだって御寵愛をあつめていらっしゃる方があった。(2)けり

詠嘆の「けり」、終止形です。
訳:驚きあきれた、犬などにもこのような心があるものなのだなあ。

(3)けれ

伝聞過去の「けり」、已然形です。
訳:大きな榎の木があったので、みんなは「榎の木の僧正」と言った。

≪3≫次の文中にある助動詞「き・けり」の文法的意味を答えなさい。

(1)盗人の襲ひかかりたるなりけり

(2)祭り見さま、いとめづらかなり。(徒然草・一三七段)

≪2≫の解答

(1)過去
「けり」の終止形です
訳:盗人が襲いかかってきたに違いない

(2)過去
一つ目は「き」の連体形、二つ目は終止形です。
訳:その祭りを見物した様子は、まことに珍妙なものであった。

おわりに

過去の助動詞「き」「けり」は古文のなかではとても基本的な助動詞です。

それほど理解が難しくないわりには試験問題への登場頻度がとても高いのでぜひ覚えてしまいましょう。




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