はじめに:正四面体の高さと体積の求め方と公式
正四面体の高さ・体積には公式があります。
しかし、単に公式を覚えるだけでは記憶が曖昧になったときに使えないものとなってしまいます。
正四面体に関する公式を原理から理解して、公式を万が一忘れた場合、自分で公式を一から再現できるようにしっかりと練習しましょう!
目次
正四面体の高さの求め方
一辺の長さが\(a\)の正四面体ABCD(図1)の高さを求めましょう。
頂点Aから正三角形BCDに下ろした垂線の足を点H(図2を参照)とする。
点Hは正三角形BCDの重心になっているので、直線BHと辺CDとの交点を点E(図2を参照)とすると\[BH:HE=2:1\]となります。
上の三角形では点Fが三角形ABCの重心になっています。
あとは、例えば三角形ABHで三平方の定理を用いれば高さAHが出ます。
そのためには、まずBHの長さを出しておかねばなりません。BHの長さを求める際に着目するのは、三角形BCE(または三角形BDE)です。
三平方の定理よりBEの長さを求め、その値を\(×\frac{ 2 }{ 3 }\)すればBHの長さが出てきます。
式の形に整理してみると、\(BH=\frac{ 2 }{ 3 }BE=\frac{ 2 }{ 3 }\sqrt{ BC^2-CE^2 }\)となります。
よって、
\(BH=\frac{ 2 }{ 3 }\sqrt{ a^2-(\frac{ 1 }{ 2 }a)^2 }=\frac{ 2 }{ 3 }\sqrt{ \frac{ 3 }{ 4 }a^2 }\)
よって、\(BH=\frac{ \sqrt{ 3 } }{ 3 }a\)
参考までに図を載せておきます。
求める高さAHは、\(AH=\sqrt{ AB^2-BH^2 }=\sqrt{ a^2-(\frac{ \sqrt{ 3 } }{ 3 }a)^2 }=\sqrt{\frac{ 2 }{ 3 }a^2}\)
よって、\(AH=\frac{ \sqrt{ 6 } }{ 3 }a\)となります。
結果だけを覚えるのもアリですが、ちゃんと求め方まで覚えることで公式を安心して使うことができるようになります。
正四面体の体積の求め方
今度は体積です。正四面体のような頂点がとんがっている立体には次のような公式が与えられていました。
\[(体積)=(底面)×(高さ)×\frac{ 1 }{ 3 }\]
なぜ\(\frac{ 1 }{ 3 }\)をかけるのかを説明するのは非常に大変なので、割愛させていただくとともに、この公式だけは丸暗記することを推奨します。
さて、実際に正四面体の体積を求めます。
ここでは、先ほど説明した正四面体の高さを用います。
\((一辺aの正四面体の体積)\)
\(=(一辺aの正三角形の面積(底面積))×(高さ)×\frac{ 1 }{ 3 }\)
\(=\frac{ \sqrt{ 3 } }{ 4 }a^2×\frac{ \sqrt{ 6 } }{ 3 }a×\frac{ 1 }{ 3 }\)
\(=\frac{ \sqrt{ 2 } }{ 12 }a^3\)となります。
正三角形の面積について復習したい方はこちらも参照してください。
もう一つ正四面体の体積の求め方を示しておきたいと思います。それは正四面体に外接する立方体に着目して求めるやり方です。
こちらは気付きにくいですが、高さをわざわざ求めずに体積を求めることのできる方法です。
ここでここまでの内容をおさらいしておきたいと思います。
正四面体の高さ・体積に関する練習問題
最後に正四面体の高さ・体積が絡んだ練習問題を2つ用意しました。
今までの内容を復習する意味でトライしてみてください!
練習問題1
一辺の長さが4の正四面体がある。この正四面体の高さと体積を求めよ。
練習問題1の解答・解説
上で高さ・体積を求めるための最終結果を提示したので、ここでは途中の過程を省略します。
最終結果を覚えてる人はこれから示す解答のように、覚えていない人は上で説明したように一から高さを求め、体積まで出してみてください。
さて、一辺の長さが\(a\)の正四面体の高さは\(\frac{ \sqrt{ 6 } }{ 3 }a\)でしたので、\(a\)に\(4\)を代入して、求める高さは\[\frac{ 4\sqrt{ 6 } }{ 3 }\]となります。
同様にして、一辺の長さが\(a\)の正四面体の体積は\(\frac{ \sqrt{ 2 } }{ 12 }a^3\)でしたので、求める体積は\[\frac{ 16\sqrt{ 2 } }{ 3 }\]となります。
練習問題2
体積が\(18\sqrt{ 2 }\)の正四面体がある。この正四面体の一辺の長さを求めよ。
練習問題2の解答・解説
今度の問題は一辺の長さがわかっていません。そこで、まず求めるべき一辺の長さを\(x\)とおきます。
すると、体積の公式により\[\frac{ \sqrt{ 2 } }{ 12 }x^3=18\sqrt{ 2 }\]という方程式が作れます。
これを解くと、めでたく求めたかった一辺の長さが\(x=6\)として求まります。
まとめ:正四面体の高さや体積の公式については、暗記は禁物?
いかがでしたか?
正四面体の高さや体積を一から求めようとすると案外時間がかかるし、面倒だから結果だけを暗記してしまおうという人も一定数はいます。
しかし前述しましたが、いざ試験で使うとなった時に間違った公式を使ってしまうと、ちゃんと求めたら点が取れたはずの問題ですら落としてしまう可能性があります。
また、いきなり「この立体はこのようにもとまるから…」といきなり公式を持ち出しても、採点者からすれば「なぜそうなるのか?」が伝わらず、最悪答えがあっていてもバツにされてしまうこともあります。
万が一「導出から示せ」と言われてもしっかりと対応できるように、一度は自分で上の説明を見ながら一から公式を証明してみるのをオススメします!
ぜひチャレンジして見てください!!