三角錐の表面積と体積の求め方・公式・練習問題
こんにちは!
今回は三角錐の体積と表面積の求め方についてです。
三角錐の体積や表面積の問題はやり方がパターン化されていることが多いです。したがって、公式さえ覚えてしまえば簡単なんですよね。
しかし、三角錐の体積については微積と絡めて東大でも出題されているのですよ。
決して油断のできない単元であることもわかると思います。
ということで、この記事で三角錐の体積と表面積の求め方をマスターしてしまいましょう!
この記事では、最初に公式や基本事項を確認して、公式の証明を丁寧に解説し、最後に練習問題にトライします。
ぜひ最後まで読んで理解してくださいね!
それではいきましょう!
目次
三角錐とは何?基本事項を押さえよう!
まず三角錐とは何かを確認しておきましょう。
三角錐の定義は、垂直断面が常に三角形になる錐体です。
つまり、上から下に垂直に立体を切るとどこを切っても三角形になる錐体が三角錐であるということになります。
錐体(すいたい)というのは、「空間内の一点から放射状に伸びる直線によって形作られる錐状の立体図形の総称」です。
イメージとしては、ピラミッドや富士山などが挙げられます。
とにかく上が尖っている立体図形が錐体であると考えてもらってOKです。
錐体の中で、垂直にスライスすると絶対に三角形になるものを、特に三角錐と呼んでいます。
定義では上のような説明になりますが、単純に「底面が三角形だから三角錐」と覚えても構いません。
また三角錐は、面が4、辺が6で構成されています。
面が4つで構成されているので、三角錐は四面体とも呼ばれています。
さらに三角錐には特殊なものもあります。
構成する面が正三角形、または垂直断面が常に正三角形になる三角錐を正三角錐(正四面体)と呼びます。
正四面体についてもっと知りたければ、こちらを参照してください。
以上が三角錐の説明になります。では、次は三角錐にまつわる公式を確認していきましょう!
三角錐の体積・表面積の公式を確認しよう!
三角錐の体積の求め方の公式
まずは三角錐の体積を求める公式です。
こちらには非常に便利な公式が与えられています。
それは、(三角錐の体積)=(底面積)×(高さ)×\(\style{ color:red; }{ \frac{ 1 }{ 3 } }\)です。
三角柱であれば、(三角錐の体積)=(底面積)×(高さ)で求めることができます。
一方で、図形のてっぺんがとんがっている三角錐の体積を求める場合、必ず\(×\frac{ 1 }{ 3 }\)をします。
なぜ\(×\frac{ 1 }{ 3 }\)をしなければならないのかについては、少し厄介な証明が必要なため後で詳しく解説します。
難しければ、気にしなくても大丈夫です。
基本的には、公式だけを覚えておけばここではOKです。
とにかく\(×\frac{ 1 }{ 3 }\)を忘れないように気をつけてくださいね。
三角錐の表面積の求め方の公式
次は三角錐の表面積を求める公式です。
表面積の方はいたって単純で、三角錐を構成している4つの面の面積を足し合わせれば求めることができます。
(三角錐の表面積)=(底面積)+(側面積)
底面積も立派な表面積の一部ですので、合計で4つの三角形の面積を合成することになります。
また表面積を考える場面では、展開図を考えてみることも大切です。
これについてはあとの練習問題で確認してみましょう!
では、ここでこれまで出てきた公式をおさらいしておきます。
では次に、体積の公式になぜ\(×\frac{ 1 }{ 3 }\)が必要なのか説明していくことにしましょう!
三角錐の体積の公式の証明
ここでは三角錐の体積の公式を証明してみましょう。
テーマはなぜ錐体の体積は\(×\frac{ 1 }{ 3 }\)する必要があるのかです。
結構証明が面倒なのですが、なるべく簡単に説明してみようと思います!
しかし、今回はそのほかのもっと簡単な方法で証明をしてみようと思います。
(証明)
まず、特殊な錐体について証明をします。
少しテーマからずれますが、正四角錐で考えてみます。
図の左は正四角錐です。
一方で右図は、左の正四角錐を6つ組み合わせて作った立方体です。
このことをもとにして、まず右の立方体の体積を求めてみましょう。
一辺が\(2h\)の立方体ですので、\((2h)^3=8h^3\)になります。
で、左の正四角錐はこれを6で割ったものですので、正四角錐の体積は\(\frac{ 4 }{ 3 }h^3\)になりますね。
ということは、正四面体の体積は底面と高さの積を何倍すればいいのでしょう?
(?倍すればいいと考えます)
底面は一辺\(2h\)の正方形、高さは\(h\)ですので、
(正四面体の体積)=\((2h)^2×h×?\)=\(\frac{ 4 }{ 3 }h^3\)
\(4h^3×?=\frac{ 4 }{ 3 }h^3\)
この?に当てはまる数は、\(\frac{ 1 }{ 3 }\)ですね。
これで、正四面体の体積は底面積と高さの積を\(\frac{ 1 }{ 3 }\)したものになると確認できましたね。
しかし、これはまだ途中です。
このままでは正四面体の体積は\(×\frac{ 1 }{ 3 }\)するとわかっただけです。
三角錐の体積で\(×\frac{ 1 }{ 3 }\)する証明をしないといけません。
では続けて証明をしてきます。
先ほどの正四面体の底面積を\(S_a\)、ある三角錐の底面積を\(S_b\)とします。
高さはどちらも\(h\)とします。
この2つの立体を底面から同じ高さのところで切断します。
大切なことは、同じ高さであればどこで切っても断面積の比が同じであるということです。
その比率は、底面積の比と同じですよね。
つまりどこを切断しても断面積の比は\(S_a:S_b\)になるのです。
ということは、三角錐の体積は、正四角錐の体積を\(\frac{ S_b }{ S_a }\)したものになるということなのです。
ということで、三角錐の体積は
(三角錐の体積)=\(\frac{ 1 }{ 3 }S_ah×\frac{ S_b }{ S_a }=\frac{ 1 }{ 3 }S_bh\)
になります。
ということで、三角錐の面積も\(\style{ color:red; }{ ×\frac{ 1 }{ 3 } }\)することが証明できました。
(証明終了)
いかがでしたか?
少し面倒だったと思います。
この証明を使えば、どんな錐体の体積も\(×\frac{ 1 }{ 3 }\)することが証明できます。
難しければ理解しなくても大丈夫ですが、\(×\frac{ 1 }{ 3 }\)することだけは絶対に覚えておいてくださいね。
三角錐の体積・表面積の練習問題(3題)
では、実際に問題を解いてみましょう。少しずつ難易度が上がっていくようになっています。
練習問題1
次の三角錐の体積を求めよ。
練習問題1の解答・解説
三角錐の体積の公式は(三角錐の体積)=(底面積)×(高さ)×\(\frac{ 1 }{ 3 }\)でしたね。
まずは、底面積(三角形\(BCD\))を求めます。
\((三角形BCD)=3×4×\frac{ 1 }{ 2 }=6\)
よって、三角錐\(ABCD\)の体積は、\[(三角錐ABCDの体積)=6×5×\frac{ 1 }{ 3 }=\style{ color:red; }{ 10 }\]となります。
練習問題2
次の正四面体の表面積を求めよ。
練習問題2の解答・解説
正四面体は、三角錐の特殊な状態でした。
しかし、表面積を求める時にすることは一般的な三角錐と全く同じです。
そして、今回は全ての面が一辺4の正三角形になっています。
よって、一辺4の正三角形の面積を4倍すれば、求めたい表面積が出てくることになります。
(表面積)=(一辺が4の正三角形の面積)×4
よって、\[(表面積)=4\sqrt{ 3 }×4=\style{ color:red; }{ 16\sqrt{ 3 } }\]となります。
演習問題3
次の三角錐の体積と表面積を求めよ。ただし、\(BC=BD=\frac{ 5 }{ 2 }\)、\(AB=5\)とする。
練習問題3の解答・解説
この三角錐の体積は簡単に求めることができますね。底面を三角形\(BCD\)、高さを\(AB\)とすれば体積が計算できそうです。
よって、\[(三角錐ABCDの体積)=(\frac{ 5 }{ 2 }×\frac{ 5 }{ 2 }×\frac{ 1 }{ 2 })×5×\frac{ 1 }{ 3 }=\style{ color:red; }{ \frac{ 125 }{ 24 } }\]になりますね。
しかし、表面積については一工夫が必要です。
真面目に4つの三角形の面積を求めて足そうとすると、3つまでは三角形が普通にもとまるのですが、三角形\(ACD\)が簡単には求まりません。
そこで、この三角錐の展開図を考えてみます。
すると、今回の三角錐は以下のように展開することができます。
よって、求める表面積は一辺が5の正方形の面積と同じであることがわかりました。
故に、求める表面積は\(5×5=\style{ color:red; }{ 25 }\)です。
真面目に面積を計算していて詰まってしまったら、その立体の展開図を考えてみるのも一手かもしれません。
三角錐の面積・表面積|まとめ
いかがでしたか?
今回の公式はなかなか証明が難しくて、理屈がはっきりとは理解しにくい部分もあったかもしれません。
なので、今回だけは三角錐の体積は(三角錐の体積)=(底面積)×(高さ)×\(\frac{ 1 }{ 3 }\)、表面積は面を構成している4つの三角形の面積を足し合わせれば良いのだと機械的に覚えてしまいましょう。
一方で、今回のような立体や図形の絡む問題では、展開図を持ち出すと計算が嘘のように楽になるといった「柔軟な思考」が必要となる場合もあります。
どのやり方でやれば最短距離で解答までたどり着けるかを常に意識しながら、問題を解く練習を続けて欲しいと思います!!
それでは〜