はじめに:古代ギリシア文化史の内容・覚え方を徹底解説!
高校の世界史学習者にとって、最後の鬼門はやっぱり文化史ですよね。
「通史は流れで覚えられるけれども、文化史は項目ごとの繋がりが薄くて覚えづらい……」
そんな悩みを抱えている方のために、この記事では古代ギリシア文化史の内容と覚え方を徹底解説します!
この記事を一通り読めば、自然と古代ギリシア文化史の知識が頭に入るはずですので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね〜。
- 神余秀樹『タテヨコ総整理 世界史×文化史集中講義12』旺文社、2012年。
目次
古代ギリシア文化の内容・覚え方
古代ギリシア文化の内容・覚え方①:イオニア自然哲学
最初はイオニア自然哲学です。
イオニア自然哲学に属する有名な4人の思想家は、「万物の根源」(この世全ての物質を生み出す根源)について、それぞれ以下のような主張をしていました。
- タレス:水
- ヘラクレイトス:火
- デモクリトス:原子
- ピタゴラス:数
ピタゴラスが「数」を万物の根源だと主張したのは、「ピタゴラスイッチ」からの連想でなんとなくわかりますよね。問題は残り3つです。
まずは、「万物の根源」である水・火・原子・数を覚えましょう。
「タレス」という人名から「垂れる」という言葉が連想できます。水・火・原子・数の中で「垂れる」のは水だけなので、「タレスは水」と覚えられますね。
また、ヘラクレイトスの接頭語である「ヘラ」は、ギリシア神話の主神ゼウスの妻で、貞節を重んじる嫉妬深い女性だったと言われています。
「激しい嫉妬」から「燃え盛る炎」を発想できれば、「ヘラクレイトス→ヘラ→嫉妬→火」という連想で「ヘラクレイトスは火」と覚えられますね。
3人覚えてしまえば、あとは消去法でデモクリトスを覚えられます。これでイオニア自然哲学は大丈夫です。
古代ギリシア文化の内容・覚え方②:ギリシアの文学
次は文学にいきましょう。ちょっと覚えることが多いですが、関連づけと語呂合わせを使えば効率よく覚えられます。
ギリシア文学で覚えていてほしい人物とその作品は、だいたい以下の通りです。
- ホメロス:『イリアス』・『オデュッセイア』
- ヘシオドス:『労働と日々』・『神統記』
- サッフォー:女流詩人
- アイスキュロス:『アガメムノン』
- ソフォクレス:『オイディプス』
- エウリピデス:『メディア』
- アリストファネス:『女の平和』・『女の議会』
歴史文学:ホメロスとヘシオドス
まず、「歴史文学」というくくりで、ホメロスとヘシオドスを覚えましょう。
「ホメロスがイリアスでオデュッセイア」ということさえ覚えてしまえば、残りの作品はヘシオドスのものとして記憶できますね。
悲劇:アイスキュロス、ソフォクレス、エウリピデス
次に、「悲劇」というくくりでアイスキュロス、ソフォクレス、エウリピデスを覚えましょう。
アイスキュロスの作品は、同じ「ア」から始まる『アガメムノン』なので簡単に記憶できます。
ソフォクレスの作品は、同じ「ス」で終わって名称に小文字が入っている『オイディプス』として覚えられます。
オイディプスは、ドイツの精神分析家フロイトが提唱した「オイディプス・コンプレックス」(男児が母親を愛し、父親を嫉妬すること)でも出てくるので、しっかり覚えておいてくださいね。
2人覚えれば残りはエウリピデスだけなので、「エウリピデスが『メディア』」と単純に覚えてしまいましょう。
余談ですが、この『メディア』は嫉妬に狂った女性の話で非常に面白いので、機会があればぜひ読んでみてください。
女性作家:サッフォーとアリストファネス
最後に、「女性作家」というくくりでサッフォーとアリストファネスを覚えましょう。
サッフォーは、昔のイギリスの女性首相サッチャーに似ているので、以下の写真を見て「サッチャーに似ているからサッフォーは女性作家なんだな」と覚えてください。
アリストファネスは、著作が『女の平和』・『女の議会』なので女性作家として覚えやすいですね。
古代ギリシア文化の内容・覚え方③:ギリシアの学問
3つ目は学問です。こちらも覚えることが多いですが、関連ごとに分けて上手く語呂合わせを使えば問題ありません。
ギリシアの学問分野で覚えていてほしいのは以下の8人です。
- ヘロドトス:『歴史』(ペルシア戦争記)
- トゥキディデス:『歴史』(ペロポネソス戦争記)
- ヒポクラテス:医学の父
- ソフィスト:弁論・修辞学の父
- プロタゴラス:「人間は万物の尺度である」
- ソクラテス:ソフィストを批判、客観的な真理の存在を主張
- プラトン:イデア、哲人政治、アカデメイア、国家論
- アリストテレス:リュケイオン、万学の祖、アレクサンドロスの教師
歴史家:ヘロドトスとトゥキディデス
まず、「歴史家」というくくりでヘロドトスとトゥキディデスを覚えましょう。
厄介なことに、この2人は著作の名前が同じです。ではどう覚えるかというと、
「名前が短い戦争(ペルシア戦争)について書いたのが、名前の短いヘロドトス。名前が長い戦争(ペロポネソス戦争)について書いたのが、名前の長いトゥキディデス。」
こうすれば忘れません(経験談)。
医学:ヒポクラテス
ヒポクラテスは医学の父として有名です。
現在も多くの大学医学部で「ヒポクラテスの誓い」という医師の職業倫理が教えられていますので、興味のある人はこちらから読んでみてくださいね。
哲学:プロタゴラス(ソフィスト)、ソクラテス・プラトン・アリストテレス
最後は哲学です。哲学は、「ソフィストとそれ以外の3人」で覚えましょう。
ソフィストとは、古代ギリシアで弁論術やレトリック技術を教えていた人の総称です(個人名ではありません)。
このソフィストたちの中で最も有名なのがプロタゴラスです。彼は、「人間は万物の尺度である」と主張し、あらゆる物事は判断する人間の基準(尺度)によって価値を変えるものだと考えていました。
ソフィストの「プロ」だから「プロタゴラス」、と覚えましょう。
ソフィスト以外の3人とは、ソクラテス・プラトン・アリストテレスのことです。
ソクラテスはプラトンの師匠で、ソフィストに対抗し、絶対的な真理があると主張しました。
ソフィストに対抗した人は、同じ「ソ」から始まる「ソクラテス」だと覚えればいいですね。
プラトンとアリストテレスはごっちゃにされがちですが、まずはプラトンから覚えましょう。
ソクラテスの弟子であるプラトンは、不完全な現実世界に対して完全なる「イデア」の世界が存在すると主張し、学園「アカデメイア」を創設しました。
「プラトンはイデアのアカデメイアを創設」と考えれば、イデアの「ア」とアカデメイアの「ア」をつなげられるので覚えやすいですね。
そして、プラトンの教えを受け継いだアリストテレスも、自身の学園「リュケイオン」を創設しました。
学園の名前で「リ」という文字がついていたら、名前に「リ」がつくアリストテレス、と覚えればいいですね。
ちなみにアリストテレスは、マケドニアの大王アレクサンドロスの家庭教師としても有名なので、合わせて覚えておくといいかもしれません。
古代ギリシア文化の内容・覚え方④:ギリシアの建築・彫刻
ギリシア文化史最後の関門は建築と彫刻です。こちらは比較的覚えやすいので、サクッと乗り越えましょう。
建築家:フェイディアス
ギリシアの建築家で覚えてほしいのは以下の1人だけです。
- フェイディアス:パルテノン神殿やアテネ女神像の建築
1人だけなので特に覚えるのに苦労はしないと思います。「パルテノン神殿を建てたのがフェイディアス」と覚えてしまいましょう。
建築様式:ドーリア式・イオニア式・コリント式
建築の様式で覚えてほしいのは以下の3種類です。
- ドーリア式建築:普通、荘重で重厚
- イオニア式建築:一番単純な形、優雅な印象
- コリント式建築:一番複雑な形、繊細で技巧的
この3つの建築様式は写真を見て答える問題が多いので、形が単純なものから順番にイオニア→ドーリア→コリントと覚えるようにしましょう。
「イオニア自然哲学」の名前を覚えている人なら、「古いものは単純だからイオニアが単純」と覚えてもいいですね。
おわりに:古代ギリシア文化史の内容・覚え方のまとめ
いかがでしたか?
この記事では、古代ギリシア文化史の特徴と覚え方を徹底的に解説しました。
「そうは言っても、やっぱり覚えられるか不安……」という方は、
- まず関連分野(文学、建築、学問……)ごとに覚えることを整理する
- 分野ごとに、語呂合わせなどを使いながら覚える
という暗記の順番を意識してみましょう。分野ごとに暗記事項が整理されて、記憶が混乱しにくくなるはずです。
もちろんすぐには覚えられないでしょうから、この記事で紹介した語呂合わせや関連分野を確認しながら、継続的に学習を進めてくださいね。
それでは!!