はじめに
こんにちは。慶應義塾大学に在学中の1年生です。
皆さん、世界史の勉強の進捗度はいかがでしょうか?
地名や人名、出来事、年号を正確に覚えるのは大変ですし確実に定着させるには多大な時間がかかりますよね。
そして、ついつい等閑にしがちなのが今回の記事で取り上げる、「文化史」です。
文化史といわれても抽象的すぎてよく分からない!と思っても大丈夫です。
今回の記事では文化史の概要から効率の良い勉強法、勉強の開始時期、さらにおすすめの参考書までと、文化史に手をつけられないままだった人や文化史で点をもっと取りたいと思う人に必見の内容となっています。
ぜひ今後の学習の参考にしてください。
目次
世界史文化史とは
では、文化史とはそもそもどんなものなのでしょうか?
文化史は簡単にいうと、その時代の人々の生活の様子やその営みの中で生まれてきた芸術作品や宗教などにスポットを当てた歴史のことです。
これだけではあまり想像がつかないと思うので、いくつか例を挙げます。
などが文化史の例ですね。
ですが、世界史選択者の中で「文化史は後回しでも大丈夫」だとか「文化史は捨てても構わない」と考えている人もいるのではないでしょうか?
でもちょっと待ってください!!
文化史は対策を立てて勉強することで必ず得点源になる分野ですよ。
次ではそれについて詳しく説明していきます。
大学受験世界史における文化史の重要性
文化史は世界史で高得点をとるためには不可欠であり、通史と同程度の完成が求められます。
ということで、ここからは世界史の入試における文化史の重要性について書いていきたいと思います。
まずはこちらの表1をご覧ください。
表1.センター試験と早慶大における文化史からの出題の割合
2018年度 | 2017年度 | 2016年度 | |
センター試験 | 6/36(17%) | 3/36(8%) | 10/36(27%) |
慶應大学 | 11/50(22%) | 5/50(10%) | 8/50(16%) |
早稲田大学 | 8/60(13%) | 6/53(11%) | 5/43(12%) |
※慶應大学は文学部、早稲田大学は政治経済学部を対象とした。
どうでしょうか?皆さんの中で文化史に対する印象は変わりましたか?
センター試験では一問の配点が2〜3点です。2016年度のような年では、文化史だけで30点近く占めていると考えると、決して文化史は等閑にできない分野であるといえます。
私立大学でも文化史の問題はある程度出題されています。しかし、センター試験に比べて難問が多く、差がつきやすいのが文化史といわれています。
筆者も慶應大学や早稲田大学の世界史の問題を数多く解きましたが、文化史の難問・悪問と呼ばれる類の問題に少なからず遭遇してきました。
ですが、私立大志望者であれば、こうした問題も出来るだけ多く正解しなければ合格は遠ざかってしまいかねません。
以上のことから、大学受験世界史における文化史の重要性がお分かり頂けたと思います。
世界史文化史の勉強法
さて、ここからは具体的な世界史文化史の勉強について解説していきます。
勉強法1:通史と一緒に理解する
前述したとおり、文化史と通史はスポットを当てる場所が異なります。しかし、文化史の理解において通史の理解は必要不可欠なものです。
なぜなら、基本的に文化というものはその当時の情勢や流行り・廃りを色濃く反映したものだからです。特に芸術面においてこの傾向が強いといえます。
文化史は単独で覚えようとするのではなく通史と絡めて理解しましょう。
勉強法2:カテゴリーごとにグルーピングする
これは文化史の中でも絵画や書物、人名などの暗記の際にぜひ活用してほしい勉強法です。
通常、文化史というのは資料集などを見ると時代ごとに分類されています。しかし、大学入試の文化史の問題、特にセンター試験の問題では必ずしも選択肢の記述が同時代の文化史ではないこともあります。
例えばこの問題です。
(引用: 大学入試センター http://www.dnc.ac.jp)
上記のような問題に関しては復習の際に「書物」というグルーピングを行って暗記することで、時代は違えど効率的に「書物」に関する文化史がまとめて学べますよね。
こうして覚えることで、連想式にそのカテゴリーの文化史を効率よく暗記することが出来ます。
ぜひ、活用してみてください。
勉強法3:視覚情報を駆使して理解する
これは文化史の勉強の効率を上げる最も効果的な方法といってもいいかもしれません。
絵画や人物の写真を実際に目にすることによって、文字のみの場合より記憶に残りやすいことは科学的にも証明されています。
黒死病といわれ、西洋で猛威を振るったペストの診療には特殊なマスクをつけたペスト医師が携わった。
よりも、
(引用: いらすとや)
図のようなマスクをつけた医師がペスト治療に精を出した。
以上のように図と共に伝えたほうが記憶に定着しやすいですし、なによりも楽しく覚えられますよね。
さらに、芸術面においては時代ごとに画風というものがあります。
画風というのは絵画に現れた、作者の傾向や特徴のことです。
各時代ごとのトレンドが反映されているものが芸術作品ですから、そのスタイルをある程度理解しておくことで、体系的に理解することができるようになります。
世界史文化史はいつから勉強する?
では、文化史はいつから勉強し始めればいいのでしょうか?
高校1、2年生のみなさんは定期テスト前や模試の前に文化史を勉強するという方法がお勧めです。
というのも、高1、2年生の皆さんにとっては、受験の軸になる国数英の3教科を中心に、日々の勉強を進めていく方が多いと思うので、まとめて世界史を勉強する時間を確保しにくいと感じるからです。
そのため、定期テスト前や模試の前の空いた時間を利用して通史と一緒に文化史も学習することで、間隔を空けずに復習する習慣も身に付き、一石二鳥なのではないかと思います。
一方で、高校3年生のみなさんは、文化史だけをまとめて勉強する方法でも対策としてはバッチリだと思います。
高3生のみなさんは通史があと少しで終了する、またはすでに終わっているという状況にいる人が多いと思います。ですので、キリ良く通史を終わらせてから文化史の勉強を始めることで、効率良く学習を進めることが出来ると思います。
世界史文化史のおすすめ参考書
ここまでは文化史のおおまかな勉強法について解説してきましたが、少し抽象的で結局どんな対策をすればいいのか分からないと思った方もいるはずです。
そんな人のために文化史に重点をおいた参考書をいくつか紹介します。
各参考書の特徴も簡単に紹介するので今後の文化史の勉強の指針にしてください!
-
- タテヨコ総整理 世界史×文化史 集中講義12 (旺文社)
この参考書はまさに通史と絡めて覚えるためのものです。
各時代の文化の裏で何が起こっていたか。それをビジュアル的に詳細に解説してくれています。
また、ポケットサイズで持ち運びがしやすいのと、赤シートで重要事項が隠すことができるのもこの参考書の良い点のひとつといえます。
-
- ニューステージ世界史詳覧(浜島書店)
これは参考書の中でも問題集として利用するのではなく、文化史のインプットの際にぜひ活用してほしい参考書です。
この参考書は先ほど述べたグルーピングがとてもしやすいレイアウトになっており、視覚情報も多く取り込まれているので文化史を対策するにはぴったりです。
また、通史に関してもフローチャート式に出来事を記述しているので通史と絡めながら覚えることも簡単にできます。
最後に
いかがだったでしょうか?
文化史は通史を理解するうえで相補的な存在ですし、文化史なしでは通史の理解も曖昧なものとなってしまいます。
文化を学ぶことで、ひとえにその土地の風俗を知るだけでなく、異文化理解の側面において、より穿った知見を得られると思います。
今回の記事を参考にして、皆さんなりの文化史対策を考えてみてはいかがでしょうか?