エーゲ文明とギリシア世界におけるポリスの成立【早慶大合格のための世界史01】

はじめに

みなさんこんにちは。

現在、慶應義塾大学の文学部に在学中の想です。

私が皆さんと同じように早慶大志望の受験生だった時に、最も苦しめられた教科が世界史です。

といっても、世界史が苦手だとか嫌いだとかそういう理由ではなくて、単に難度の問題です。

早慶大の世界史は、他の私立大学と一線を画するほどの難度を誇ります。

それは偏に、誰も知らないような人名や出来事を問うてくるものばかりではなく、シンプルな問題の裏をかくような問題も出題されます。

例えば
  

万物の根源を水と考えたのは(   )である

模試や問題集で何度もご覧になっているはずです。答えはタレスです。

ではもう一問

皆既日食を最初に予言した人は(   )である

皆さんもお気づきかと思いますが、この答えもやはりタレスなわけです。

何が言いたいかというと、皆さんが機械的に答えを解答用紙に書けるような基本問題でも、問われ方を変えられると、それは難問になってしまう可能性があるということです。

そして、早慶大の難問といわれる問題の半数以上が、単なる基本問題にこうしたひねりを加えたものであります。

つまり、それは基本問題だということです。

なんだか回りくどい表現になってしまいましたが、分かりやすくいうと、そうした問題は皆さんの日々の心がけ次第で、難問ではなくなるということです。

ではその心がけが何なのか、それを皆さん自身に気づいてもらうために、今回からこうした世界史講座を始めることにしました。

前置きが長くなりました。 今回はエーゲ文明とギリシア世界におけるポリスの成立です。 

皆さんの早慶大合格の一助となることを願います。

古代ギリシア世界以前のエーゲ文明

まずはエーゲ文明の整理から始めようと思います。

エーゲ文明はオリエント文明の影響によりエーゲ海地域に栄えた、青銅器文明の総称です。 

したがって、エーゲ文明というものは存在しません。ここには少し注意が必要です。

それでは、エーゲ海地域の諸文明の場所を地図で確認してみましょう。

 引用(Y-History 教材工房)
エーゲ文明は、さらに3つの文明に分類できます。

エーゲ文明①:クレタ文明

クレタ文明は3つの中でも最古の文明です。

中心地はクレタ島のクノッソスに位置し、伝説上のミノス王の宮殿である、クノッソス宮殿などの遺跡が存在します。

クレタ文明では絵文字や線文字Aと呼ばれる文字で意思疎通を図っていたと考えられていますが、線文字Aに関しては、いまなお未解読の状態です。

クレタ文明はイギリスの考古学者エヴァンズによって発掘され、特徴として、城壁が不在という開放的な設計がみられます。

しかし、ギリシア人の祖先にあたる、アカイア人らの侵入によって滅亡してしまいます。

エーゲ文明②:トロイア文明

トロイア文明は、小アジア西岸のトロイアを中心として、クレタ文明の影響を受けずに独自に発展を続けていった文明です。

ホメロスの叙事詩であり、トロイア戦争をテーマとして書かれた『イリアス』の中で登場する、トロイアの城壁が遺跡として発見されています。

しかし、先述したトロイア戦争(ギリシア本土の諸都市国家との戦争)に敗北し、滅亡の一途をたどることとなります。

エーゲ文明③:ミケーネ文明

ミケーネ文明はクレタ文明を滅ぼしたアカイア人らが形成した文明であり、ギリシア本土の各地を中心地として発展しました。

その中でも試験に出題される地名としては、ミケーネ、ティリンス、ピュロス、オルコメノスです。有名な遺跡としては獅子門を有する、ミケーネ王城などが挙げられます。

発掘者はドイツの実業家・考古学者のシュリーマンであり、彼はこの発掘事業の様子を『古代への情熱』という自叙伝として発表しています。

ミケーネ文明圏では、線文字Bとよばれる文字を使用していたとされ、後にイギリスの建築家ヴェントリスが解読に成功しています。

それによるとミケーネ文明の社会は今日でいう、王権主義にあたるものでありました。

クレタ文明が開放的な都市設計を進めていくのに対し、このミケーネ文明は城壁などを綿密に整備し、敵国からの攻撃に備えていたといわれています。

滅亡した理由はいまでも諸説あり、最も有力なのは「海の民」と呼ばれる民族による侵入とされています。

古代ギリシア世界におけるポリスの成立

そして、ミケーネ文明の崩壊後、ギリシアは約4年もの間、暗黒時代という混乱期に入ります。

ここで問われる事柄としては、青銅器文明から鉄器文明へ移行したという点と、ポリスという集落が形成されたという点です。

ポリスの特徴としては、独立した主権国家であることギリシア人としての同胞意識が強いことが挙げられます。
彼らは自らをヘレネスと呼び、自らの国土をヘラスと呼び、異民族をバルバロイと呼び軽蔑しました。

ポリスならではの特徴として、

  1. 神殿の保護のため、周囲のいくつかのポリスが集まり、隣保同盟という宗教的同盟を結成した点
  2. 重要な決定などの際にはデルフォイにあるアポロン神殿に集まり、デルフォイの神託を崇拝した点
  3. 自らの国土をヘラス自らをヘレネス異民族をバルバロイと呼び軽蔑した点

などがあります。

古代ギリシア世界の大植民時代

ギリシア人として同胞意識が実際に形になって表れたのが、植民活動です。

彼らは、多くの有名なヨーロッパ都市を手中に収めることに成功しました。

例えば、ドイツの3B政策のBの一つであったビザンティオン(現在のトルコのイスタンブル)、ヘレニズム期にアルキメデスの出身地であったシラクサイオニア自然哲学の中心地であったミレトスなどが挙げられます。

これらの地域に関しても地図で確認してみましょう。

植民地支配というと、どうしてもマイナスなイメージが先行してしまいますが、これによって促進されることも少なからずありました。

一例として、地中海や黒海地域を中心に植民地を作ったことで、交易路が拡大し、結果としてギリシア本土による商工業の発展鋳造貨幣の流入による貨幣経済の発展などです。

こうしてギリシア文化やポリス世界が拡大していくのです。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

今回は早慶大で問われる箇所を中心に、ギリシア世界を概観してきました。

ギリシア世界は、世界史の出発点のような分野であり、今後の通史の理解において非常に重要な領域です。

ポリスの成立の仕方、勢力の拡大や衰退を今回の記事を参考にして論理的に理解していただけると幸いです。




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