はじめに
これから受験勉強を始める高2のみなさん。世界史を勉強するとはいっても、
「どうやって勉強すればいいんだろう?」
「世界史は範囲が広すぎてできない……」と悩んでいませんか。
ここでは、世界地図を見てもほとんどの国がわからないほど世界史音痴だった私がセンター試験で94点をとった経験をもとに、効率良く、確実に伸びる正しい勉強法を紹介します。
目次
高2生が知るべき、世界史の基本的な勉強指針
高2生がこれから世界史を勉強するにあたって、常に心に留めておいて欲しい2つの指針を紹介します。
この2つのことを、高2から意識して勉強するかどうかで世界史の伸びは大きく変わってきますよ!
出来事同士の関係を意識する
世界史では暗記しなくてはいけないことがたくさんありますが、やみくもに暗記するのは効率が悪いですよね。
世界史勉強の鉄則は、点で暗記せずに前後関係と因果関係を理解して勉強することです。
ここでペルシア戦争の1つである、サラミスの海戦を例に挙げてみましょう。
①サラミスの海戦では、無産市民の漕ぐ三段櫂船が使われた。
②この時期、アテネの民主政が完成されていく。
これら2つのことをそれぞれ点で覚えていくと、忘れやすく応用も利きません。
「サラミスの海戦では無産市民が漕ぎ手として活躍したことにより、無産市民の地位が上がって、アテネ民主政の完成につながった。」と前後関係と因果関係を理解した方が忘れにくいですよね。
このように「Aが起きたから、Bが発生したのだ」と理解しておくと、やみくもに暗記するより効率も良くなります。
それに加えて、年号は覚えやすくなり、並び替え問題も解くのが楽になりますよ。
地図を必ず参照する
地図が頭に入っていないと、戦争や様々な変遷がうまく理解できません。
例えば、イスラーム世界。当時のイスラームを理解するためにはどの時代にどんな王朝がどこにあったかを確実に理解しなければなりません。
もちろん、7世紀から11世紀にかけて
イベリア半島では主に、西ゴート王国→ウマイヤ朝→後ウマイヤ朝
エジプトでは主にウマイヤ朝→アッバース朝→ファーティマ朝
が興亡したと言葉で説明することも可能です。
しかし、地図を見れば、どのくらいの範囲だったのか、どの王朝と隣り合っていたのかなどもっとたくさんの情報が得られます。すると、印象にも残りやすくなりますよね。
1枚の地図だけでなく、異なった世紀のものをたくさん参照することで、移り変わりがよくわかりますよ。
もちろん入試問題では、地図問題そのものが出題されることもありますよ。
高2から確実に伸びる!世界史の勉強ルーティン
ここからは、高2から取り組んで欲しい世界史の具体的な勉強法を紹介します。
ルーティン化して、コツコツ取り組みましょう。コツコツ勉強することが高得点への近道ですよ!
『実況中継』を読む
実況中継は授業や教科書と同様に、通史の学習に役立ちます。教科書に比べて文章量は多いですが、その分説明が丁寧でわかりやすいですよ。
授業の予習をしたり、先取りして通史を見ておいたりしたい高2生にぴったりの教材です。
別冊のプリントをA3サイズに印刷し、実況中継を読みながら空いているスペースにメモや略図を書いていくと、頭の中でも整理されやすくなるのでおすすめ。
赤シートもついているので、適宜利用して語句を覚えていきましょう。
実況中継には語呂合わせやイラスト、著者が実際に訪れた異国の地の写真が掲載されていて、楽しく勉強できるのがポイントです。
私はこの参考書を読んでいると、著者の青木先生に本当に習っている気分になりました。
「本を読んでいる」という堅い感覚が無く、とっつきやすいので勉強しやすいですよ。
気になる単語は用語集でチェック
用語集は単語が簡潔に紹介されていて、短い言葉でしっかり理解できるので、どんどん活用するのがおすすめ。
例として、アクティウムの海戦を引いてみましょう。
アクティウムの海戦 Actium ⑦ 前31 ギリシア西岸沖で, オクタウィアヌスがアントニウス・クレオパトラの連合軍を撃破した海戦。この結果, 地中海の周辺諸地域はローマの下に統一され, ローマの内乱状態は終了した。(山川出版社 世界史用語集 26頁)
この短い文章に海戦がいつ起きたのか、誰が誰を倒したのか、その結果ローマはどうなったのかが凝縮されていて、すっきりと理解できますね。
勉強していて単語レベルでわからなかったもの、間違えた問題、もっと理解を深めたい箇所など初めのうちは頻繁に調べてみましょう。
だんだん、自分なりに調べるポイントがわかってくるはず。
調べた単語には、高2のうちからマーカーで印をしておきましょう。「この単語は何度も調べているな」と気付くようになり、単語が記憶に残りやすくなります。
それに加えて、ノートやプリントに調べた単語の解説を書き写すと、復習の際に便利です。
また調べた単語に関わりのある言葉にも、簡単に目を通しておくと知識の幅が広がりますよ。
重要度が示されているので、それぞれの志望校や勉強の段階に合わせて利用しましょう。
私はセンター試験(現共通テスト)に向かう電車の中で、マーカーがいっぱいひかれた用語集を見ることで自信をつける事ができました。
資料集は必須アイテム
単元ごとに頭に入れておくべき地域の地図が掲載されているので、必ず参照しましょう。
また、イスラーム諸国の興亡や中国王朝の移り変わりなど、分かりづらい変遷について、資料集ではわかりやすく表にまとまっているので、理解の助けになりますよ。
コラムや細かい部分までしっかり読み込むと、理解が深まりますよ。年表も詳しく書いてあるので、前後関係や年号を確認する際にも使ってくださいね。
通史だけでなく、文化史を学ぶ際にも必ず参照しましょう。
例えば、ファン=アイク(弟)の「アルノルフィーニ夫妻の肖像」。
「絵画後方の鏡には夫婦の後ろ姿と共に描いている画家自身が書き込まれるなど、遠くのものまで詳細に描かれ、写実性に優れている」(グローバルワイド最新世界史図表 192頁)絵画です。
これを言葉だけで聞くより、実際に絵画を見てみるとよくわかります。まさに百聞は一見に如かずですね。
また、地図同様、文化史も絵画や彫刻の作品名や作者が出題されることもあります。
一問一答の利用は避ける
世界史の勉強で一問一答は絶対使うもの!と、思っている方もいるのではないでしょうか。しかし、特に高2のうちは注意が必要です。
なぜなら、一問一答では、一つの問いに一つの単語で答えるので、知識が断片的になってしまい、重要な出来事同士の関係が意識できなくなるというデメリットがあるからです。
一問一答は避け、授業や『実況中継』→用語集→資料集というサイクルを中心にしましょう。
私が一問一答を利用し始めたのは高3の秋で、知識をざっとおさらいするためでした。
高2のうちは一問一答ではなく、まず易しい問題集を利用する方が、流れを意識できるためよっぽど効果的です。
高2生が世界史を勉強するときに注意すること
模試と応用問題の2つについて注意してほしいことを紹介していきます。焦らず、着実にステップアップしていきましょう!
模試の成績に左右されるな
共通テストや入試問題と違い、模試を受ける時点では、受験生それぞれ習熟度にばらつきがあります。
受験生の学校の進度によっても、個人の勉強量によっても実力は大きく変わってきますよね。
そのため、偏差値は自分の模試の出来を、正確に表しているとは言えません。
偏差値を気にするのではなく、自分はどの問題が解けなかったのか、確認するものと考えましょう。
解けなかったのが既習で解けるはずの問題なのか、未習で深く勉強していない範囲の問題なのかでは、意味が全然違いますよね。
前者なら勉強法を見直したり、よく復習したりする必要がありますが、後者ならこれから勉強するだけです。
私自身、世界史の勉強は遅れていたので偏差値が50を下回ることもありました。それでもあまり気にしないで普段通りの勉強を続けていましたよ。
成績や偏差値、判定に囚われて焦るよりも、復習を一生懸命、丁寧に何度もすることに注力しましょう。
応用的な勉強をしすぎるな
入試問題をみると難しそうに見えて、焦りから応用に手を出しがちです。しかし、実際は応用問題より基礎がとにかく大事!
もしも応用的な問題が解けたとしても、基礎の問題を落としていては他の受験生に差はつけられませんね。
世界史は、成績が徐々に伸びるというよりもグンと一気に伸びる特殊な教科。だから、特に高2のうちは焦らずに基礎を確実にしていく事が重要です。
「応用問題正解の道も、基礎の一歩から」ですよ!
おわりに
日本史が苦手だから、世界史はなんか面白そうだから、という理由で世界史選択をした私にとって、世界史の勉強は情報量が莫大でものすごく大変なものでした。
しかし、世界史とは学べば学ぶほど面白くやりがいのある科目です。
この記事で紹介した勉強法で高2から取り組んで周りに差をつけましょう!
▼参考文献
グローバルワイド最新世界史図表 第一学習社
世界史用語集 全国歴史教育研究協議会編 山川出版社