はじめに:循環小数と既約分数との変換関係
\(\displaystyle\frac{ 1 }{ 3 }\)を小数で表す時に「\(0.3333…\)」とどこまで\(3\)を書けばよいかわからないといった経験はありませんか?
循環小数という高校数学の単元はそのようなお悩みを解決してくれます。
この記事を最後まで読めば、\(\displaystyle\frac{ 1 }{ 3 }\)の小数での表し方、また\(0.3333…\)を既約分数に直すやり方がきっと分かると思います。
ぜひ最後まで読んでいってください!
目次
循環小数とは?(既約分数→小数の直し方)
有限小数・無限小数・循環小数
まずは循環小数とは何かを解説する前に、循環小数のお友達を紹介しておきます。
それが、有限小数・無限小数です。
有限小数とは、例えば\(\displaystyle\frac{ 3 }{ 4 }=0.75\)のように小数第何位かで終わる小数のことです。
一方で、無限小数とは例えば\(π\)や\(√2\)のような小数部分が無限に続く小数のことです。
そして循環小数ですが、これは無限小数の一種です。先ほどの\(\displaystyle\frac{ 1 }{ 3 }\)のようにいくつかの数字の配列が繰り返されるものを循環小数といいます。
図にまとめておきます。
循環小数の表し方
次に、循環小数の表し方です。冒頭でもいったように\(\displaystyle\frac{ 1 }{ 3 }\)を小数で表す時に「\(0.3333…\)」のように曖昧に点々で残りの小数点以下をごまかすのにあまりいい気がしません。
では、どのようにするのでしょうか?
仮に\(\displaystyle\frac{ 1 }{ 3 }\)を小数にすると小数点以下に\(3\)が無限に続くのだと書き表したいときは\(0.\dot{ 3 }\)のように数字の上に黒い点を打ちます。
同様に\(\displaystyle\frac{ 15 }{ 11 }\)は\(1.\dot{ 3 }\dot{ 6 }\)のように表します。
少し複雑なのですが、今度は\(\displaystyle\frac{ 1 }{ 7 }\)を小数にすることを考えます。
小数にすると\(0.142857142857…\)のように小数第一位から、6個の数字の配列\(142857\)が繰り返されます。
このようなときは\(\displaystyle\frac{ 1 }{ 7 }=0.\dot{ 1 }4285\dot{ 7 }\)のように端っこの数字だけに上に点を打ちます。
繰り返される数字が3個以上になるとこのように端っこの数字だけに点を打つことになりますので、この時に全部の数字の上に点を打たないようにしてください。
\(0.\dot{ 3 }\)では循環節は\(3\)、\(0.\dot{ 1 }4285\dot{ 7 }\)では循環節は\(142857\)になります。
補足:小数と分数の関係・有限小数となる条件
最後に小数と分数の関係や、有限小数となる条件を紹介しておきます。
興味のある人は覚えてみてください。
有理数を小数で表すとき、有限小数か循環小数になる。
整数でない既約分数\(\displaystyle\frac{ m }{ n }\)について
・分母\(n\)の素因数が\(2,5\)だけである場合は、\(\displaystyle\frac{ m }{ n }\)は有限小数となる
・分母\(n\)の素因数に\(2,5\)以外のものがある場合は、\(\displaystyle\frac{ m }{ n }\)は循環小数となる
既約分数とは分子と分母が共に整数で、分子と分母が互いに素である分数のことをいいます。
また、どれも10進数での話であることに注意してくださいね。
循環小数から既約分数への直し方
今度は先ほどと逆の循環小数から既約分数への直し方を説明します。
やり方はいたって簡単です。
まずは例として先ほどの\(0.33333…\)を使って、\(\displaystyle\frac{ 1 }{ 3 }\)を導いてみようと思います。
今回はわかりやすくするために\(0.\dot{ 3 }\)ではなく、\(0.33333…\)を使います。
\(x=0.3333…\)とおく。
両辺を\(10\)倍して、それぞれ両辺を\(x=0.3333…\)で引きます。
\(\begin{eqnarray}10x &=& 3.3333…・・・① \\x &=& 0.3333…・・・②\end{eqnarray}\)
①\(-\)②をして、
\(9x=3\) ゆえに\(x=\displaystyle\frac{ 1 }{ 3 }\)が求まりました。
例はいくつあげてもキリがないので、循環小数から分数への直す際のポイントを解説していきます。
計算によって何をしているのかというと、小数点以下の循環部分を消去することをしています。
どれだけの数をかけて小数点以下の循環部分を消去するのかは循環部分の桁数に依存しています。
一桁だと\(10\)倍、二桁だと\(100\)倍、三桁だと\(1000\)倍…といった具合です。
まとめます。
- 循環小数を\(x\)でおく。
- 循環部分の桁数(桁数を\(k\)桁とする)によって\(10^k\)倍する。
- \(10^k\)倍したものから、元のものを引いて循環部分を消去する。
- 左辺を\(x\)だけに整理する。
循環小数に関連した練習問題
では最後に循環小数に関する練習問題を解いてみましょう。
問題は全部で\(3\)種類あります。
練習問題1
(1)\(\displaystyle \frac{ 40 }{ 41 }\)を小数で表せ。
(2)\(\displaystyle \frac{ 40 }{ 41 }\)を小数で表したとき、小数第\(99\)位の数字を求めよ。
練習問題1の解答・解説
まずは、\(\displaystyle \frac{ 40 }{ 41 }\)を小数で表します。
\(\displaystyle \frac{ 40 }{ 41 }\)を小数で表すと、\(\displaystyle \frac{ 40 }{ 41 }=0.\dot{ 9 }756\dot{ 0 }\)となります。
よって、(1)の答えは\(\style{ color:red; }{ 0.\dot{ 9 }756\dot{ 0 } }\)です。
(2)に移ります。
(1)より小数第\(1\)位から、\(5\)個の数字の配列\(97560\)が繰り返されることがわかります。
今回は小数第\(99\)位を求めるのでしたね。
\(99=5×19+4\)ですので、小数第\(99\)位は\(97560\)の\(4\)番目の数字であることがわかります。
よって、(2)の答えは\(\style{ color:red; }{ 6 }\)です。
練習問題2
\(0.\dot{ 2 }67\dot{ 4 }\)を分数になおせ。
練習問題2の解答・解説
説明は上でしたので、解答を示すだけにここはとどめます。
\(x=0.26742674…\)とおく。
両辺を\(10000\)倍して、それぞれ両辺を\(x=0.26742674…\)で引きます。
\(\begin{eqnarray}10000x &=& 2674.26742674…・・・① \\x &=& 0.26742674…・・・②\end{eqnarray}\)
①\(-\)②をして、
\(9999x=2674\)
ゆえに\(\style{ color:red; }{ x=\displaystyle\frac{ 2674 }{ 9999 } }\)が求まりました。
練習問題3
次の分数のうち、有限小数で表されるものをいえ。
\(\displaystyle \frac{ 34 }{ 67 },\displaystyle \frac{ 9 }{ 16 },\displaystyle \frac{ 24 }{ 35 },\displaystyle \frac{ 7 }{ 20 },\displaystyle \frac{ 5 }{ 12 },\displaystyle \frac{ 17 }{ 125 }\)
練習問題3の解答・解説
分数が有限小数で表されるかどうかを判別する方法がありましたね。
「分母の素因数に\(2\)と\(5\)だけしかない分数は有限小数で表される」でしたね?
したがって、この問題は一つ一つをわざわざ割り算する必要などないのです!
問題を解くにあたってすることは、「分母の素因数分解」なんです。意外ですよね!?
それぞれ素因数分解して判別していきます。
- \(67\)は素数。
- \(16=2^4\)よりOK。
- \(35=5×7\)で\(7\)があるためダメ。
- \(20=2^2×5\)よりOK。
- \(12=2^2×3\)で\(3\)があるからダメ。
- \(125=5^3\)よりOK。
以上より、有限小数で表されるものは
\(\style{ color:red; }{ \displaystyle \frac{ 9 }{ 16 }, \displaystyle \frac{ 7 }{ 20 },\displaystyle \frac{ 17 }{ 125 } }\)
となります。
まとめ:循環小数と既約分数の変換は仕組みがわかれば簡単!
いかがでしたか?
循環小数は、本来小数点以下無限につづく気の遠くなるような小数ですが、便利な記号や賢い解法によって随分扱いやすくなったと感じませんか?
この記事を読み終えたあなたはきっと循環小数だけでなく小数全般についてよくわかったはずです。
循環小数から既約分数への直し方を忘れたりなどしたらすぐに確認するようにしましょう!