はじめに
「生物は暗記さえすれば良い」と思っている方はいませんか?
共通テスト生物では、センター試験よりも知識問題が減ったため、暗記だけで点数をとることができなくなりました。
そこで今回は、筆者が共通テスト生物を実際に解いてみて感じたことと、9割を得点するために必要な勉強法をお伝えします。
目次
共通テスト生物の特徴
【共通テスト生物の特徴①】出題内容・出題範囲が増加
まずは大学入試センターが公式に発表している、大学入学共通テスト問題作成方針から確認しましょう。
ここで最も重要なのは、受験者が知らない資料に示された、すなわち教科書に載っていない内容を題材に使用すると明言されていることです。
実際、2022年度共通テスト生物では大学レベルの内容が取り上げられています。
具体的には、生物学会のトレンドであるトランスジェニック植物(遺伝子組換え植物)やイネの栽培方法などです。
さらに、センター試験では選択問題があったのに対して、共通テストでは5問全てが必答問題に変更されました。
つまり、センター試験と比較すると、実質的な出題範囲が増加したといえます。
選択問題がなくなったため、全範囲を抜けなく勉強しなければ満点はとれませんね。
【共通テスト生物の特徴②】情報を整理する力が必要
高校生に対して大学レベルの内容を出題するため、共通テストでは問題のリード文がとても長くなっています。
先生と生徒の会話の中で問題の導入をするケースが多く、その中に重要なヒントが隠れているのできちんとリード文を読み込む必要があります。
また、複数の図や表が用いられていることも共通テスト生物の特徴です。
会話文や図表から必要な情報だけを読み取り、整理して答えを導く能力が求められているといえます。
2022年度共通テスト生物を現役農学部生が解いてみた
2022年度の第2回共通テスト本試験を、現役の時に第1回を受験した筆者が解いてみました。
今回解いた2022年度共通テスト生物の全受験者平均点は約49点。
筆者は生物が好きで、大学でも生物を勉強をしているのですが、4問ミスの86点(平均点+37点)という結果でした。
対して、現役時代に解いた2021年度の共通テストは、1問ミスの97点(平均点+24点)でした。
2021年度の平均点が約73点だったことからも、2022年度の生物は確実に難化しているといえそうです。
【共通テスト生物を解いた感想①】単純な知識問題が難化
難化の要因の一つとして、知識問題でより細やかな理解が求められていることが挙げられます。
例えば、「霊長類の系統」の知識を問う第1問 問1。
最初の問題であるのにもかかわらず、教科書の最後に載っている単元を取り上げています。
この単元の内容はセンター試験だと選択問題に含まれ、あまり学習しない受験生もいたくらいマイナーなため、1問目で取り上げられたことに正直驚きました。
また、「動物の発生」の知識を問う第3問 問1も難化した知識問題の一つです。
教科書で解説が薄い用語が取り上げられていることに加えて、選択肢に使われている他の用語の理解も正解を導くために必須でした。
知識問題以外でも、題材について知っていると解きやすい問題が多くありました。
例えば第4問で扱われる「アリの道しるべフェロモン」については、教科書では詳しく触れられていません。図表や問題集で取り上げられています。
教科書の知識しかなくても正解を導けるものの、図表や問題集などで関連した内容を知っておくと、アドバンテージを得ることが出来そうです。
【共通テスト生物を解いた感想②】実験・考察問題が複雑化
実験・考察問題は、知識問題よりも問題数が多く、情報をしっかりと読み取る必要があるため時間がかかります。
例えば、先生と生徒の会話から実験の内容を理解した後、表や図から実験結果を読み取り、情報を組み合わせて考えるといった問題。
問題の状況を整理するだけで、とても時間がかかります。
また、導きたい結論から実験内容や結果を予想させる、思考回路が従来とは逆になった問題も出題されました。
第5問 問3「〜。この考察を導くための実験として適当でないものを次から選べ。」のような形式です。
この手の問題では、選択肢にある実験の条件を1つずつ吟味しなくてはいけません。
実験の手順が正しくても、その実験の結果から考察できるかどうかを判断する必要があるので、とても複雑な実験考察問題だと感じました。
共通テスト生物の点数を伸ばすための勉強法
【共通テスト生物の勉強法①】まずはセミナー生物を使って基礎固めをする
共通テストが難しいからと言って、いきなり難問を解いても実力はつきません。
まずは、授業の復習と基礎問題の繰り返しが重要です。
筆者は、セミナー生物の基本問題を高3の春から夏休みが終わるまでに7周しました。
授業の直後や定期試験・模試の前に出題範囲を繰り返し解くようにすると、自然と何周もすることになります。
筆者も7周を目標にしていたわけではなく、自然と達成した形でした。
また、用語の暗記についても、ただ丸覚えするというより、用語同士の関係性を理解しながら進めると難問にも対応できるようになります。
一問一答や単語帳を使う必要はなく、セミナー生物で勉強していれば、繰り返し出題されるので十分用語を習得できますよ。
※セミナー生物が手に入らない人は、エクセル生物の基本問題で代用するのがおすすめです。
【共通テスト生物の勉強法②】単元ごとに応用力をつける
基礎固めが出来たら、セミナー生物やエクセル生物の応用問題に挑戦しましょう。
最初は、模範解答を理解できれば良いという気持ちで始めるのがおすすめです。
問題を解き進める内に、情報を整理する方法や解き方の指針が身につき、他の問題にも応用できるようになりますよ。
共通テストでは、単元をまたいだ総合問題が出題されますが、いきなり取り組むのは難しいので、単元別の問題が適しています。
問題を解くなかでわからない題材に当たったときは、その単元の教科書の説明に加えて、図表も確認するようにしましょう。
その題材に関する周辺知識が自然と頭に入るため、他の難しい問題にも対応できるようになりますよ。
【共通テスト生物の勉強法③】マーク模試や過去問を使って実力確認をする
応用力をつけたら、マーク模試や過去問を使って実力を確認するとともに、さらに力を伸ばしていきます。
まず模試についてです。
模試受験の前後には、必ず時間配分を確認しましょう。
大問1つ当たり10分弱で解いて、残りの時間を見直しに充てるという時間配分が有効だと思います。
大問1つを10分で解くためには、1問を考え込んで時間をロスすることを避けなければいけません。
そのため、わからない問題に当たったら一旦飛ばすということを受験前にシミュレーションしておくことが大切ですよ。
模試を受験したら必ず復習をしましょう。
間違っていた問題を復習するのはもちろん、根拠をもってその選択肢を消したか・選んだかを確認することが大事です。
次に、過去問についてです。共通テストの過去問が少ないことで悩んでいる人は多いでしょう。
そんな受験生に解いて欲しいのは、2回分ある試行調査の問題と、予備校や出版社が出している予想問題です。
試行調査は、大学入試センターが共通テストの問題を作成するために実施した試験で、共通テストとよく似ています。
予想問題は、それぞれの予備校が本気で予想しているので、クオリティが高いものをたくさん解くことができます。
特にZ会の予想問題集は、本番よりも少し難易度が高いので、実力をつけたい時におすすめです。
また、多くの人が見逃しているのがセンター試験の過去問だと思います。
センター試験と共通テストで、形式面での違いはほとんどないので、センター試験の過去問は活用すべきです。
センター試験は、共通テストよりも知識問題が多いという違いはありますが、実験考察問題も出題されています。
また、センター試験の知識問題で頻出だった遺伝の問題は、共通テストでも同様に出題されています。
このように、センター試験の過去問の利用は、問題の傾向を理解したり、マークシート方式に慣れたりする意味でおすすめですよ。
注意点として、今の教科書が使われるようになった2015年度以降の過去問を使用してくださいね。
おわりに
難化した共通テストに対応するための勉強法はわかりましたか?
思考力は一度身につけてしまえば失われることはないし、共通テストだけでなく2次試験の対策にもなります。
用語の関連性を意識した勉強法で、コツコツ頑張ってください!