はじめに
高校物理は力学、電磁気学、波、熱力学、原子の5つの単元に分かれています。
高校物理は勉強する単元も多く、その中でもいくつかの分野に分かれていて対策が難しいため、勉強の優先順位を迷っている高校生やつまずいて不安を感じている高校生も少なくないのではないでしょうか。
そこで、この記事では力学、電磁気学、波についてランキング形式でまとめました!
本記事が勉強する際の手助けになれば幸いです。
今回、熱力学、原子は内容の分量が少なく、比較的勉強の指針が立てやすいため割愛させていただきます。
目次
力学
【力学分野難易度第1位】:相対運動
力学の中で最も難しいのは相対運動です。
相対運動とは、ある物体を他の物体を基準にして見た相対的な運動のことを言います。
相対運動では2つ以上の物体について考える必要があるので、2物体の位置や速度の関係など、考えなくてはいけないことが他に比べて多いのが特徴です。
また、物体が複数になることで現象が複雑になり、理解が難しくなってしまいます。
特に慣性力は多くの高校生がつまずきやすいです。
慣性力とはある物体に観測者の加速度と逆向きに働く力のことで、運動方程式を立てる際に忘れていたり、慣性力が働く状況について理解ができていなかったりなどで失点してしまうことが多いです。
相対運動は運動を見る視点や慣性力に注意して考えるようにしましょう!
【力学分野難易度第2位】:バネの運動
バネの運動は、いつ、どの位置で加速度、速度などが最大、最小になるのかを理解するのが難しいのが特徴です。
それらの情報を駆使して解く問題がほとんどなので、物体の運動状態を理解できていないと一問目から解けないなんてことになってしまいます。
また、相対運動の考え方を使う問題もあることが難しい点でもあります。
振動の中心が動いて2つの物体それぞれの振動を考えるような問題では、静止している状態から加速度、速度に関する条件が変わってしまうことに注意しなくてはいけません!
そんな複雑なバネの運動ですが、基本的には運動方程式から解析をすることがとても重要になってきます。
運動方程式を正確に立てることで、振動中心や角振動数などを求めることができたり、複数の物体の運動についても理解しやすくなったりします。
また、運動方程式を立てる際には力の向きやバネの合成でバネ定数が変化することにも注意しましょう!
【力学分野難易度第3位】:円運動
円運動では運動方程式が少し変わって複雑になるのが難しいポイントです。
速度vを用いるか、角速度ωを用いるかによっても式の形が変わってしまうため、運動方程式を間違えてしまったり変形でミスをして失点したりすることが多くあります。
また、相対運動でもあった慣性力に似たものとして遠心力が登場することもおさえておかなくてはいけません。
遠心力は回転する物体に視点をおいたときに中心から反対方向に働く力のことで、運動方程式を立てる際には向きなどに注意してください。
円運動の問題では特有の運動方程式を正確に覚えることで確実に得点できるようになります。
他の力学的現象に適用できる運動方程式とは異なる形の運動方程式になるため、間違えないようにしましょう。
運動方程式を正確に覚えることができれば運動方程式の立て方や慣性力の考え方の基本は一緒なので、基本的な理解を大切にしましょう!
電磁気学
【電磁気学分野難易度第1位】:交流回路
電磁気学で最も難しい分野は交流回路です。
交流回路は直流回路と違い、電圧などが波状に変化する回路のことを言います。
電源電圧が波状に変化する場合や、コンデンサーに蓄えられた電荷が放出される場合などに交流回路になることがあります。
交流回路は位置だけでなく時間によっても電圧や電流が変化するため、直流回路との違いに混乱する人が多いのが特徴です。
交流回路の問題は電磁気学の中でも難しいコンデンサーやコイルなどの知識を総動員して解く問題が多いことから、最難関分野と言えます。
そのため、まずは抵抗、コンデンサー、コイルなどの基本的な知識を完璧にするのを目標にしてみましょう!
基本的な知識が少しでも欠けていると解くのが困難になってしまいます。
また、微積物理への理解があると公式などを覚えやすいことも頭に入れておきましょう。
交流回路では電圧や電流の”時間変化”を追うので、微積物理を理解しておくと理解しやすい部分もあります。
余裕があれば微積物理も勉強しておくと良いでしょう。
加えて、交流回路はさまざまな知識を用いるため復習問題として解くのも良いかもしれません。
【電磁気学分野難易度第2位】:コンデンサー
高校物理におけるコンデンサーは平行に設置された導体板に蓄えられる電荷やその放出を考える分野です。
コンデンサーの電気量の公式の通り、コンデンサーに蓄えられる電荷は電気容量と電圧に比例するため、電気容量や電圧が変化することによって電荷が放出されます。
先に述べたように交流回路にも出てくるのでしっかりと対策しなくてはいけません。
コンデンサーでは誘電体の挿入、平行板の移動、スイッチの切り替えによって蓄えられる電荷が変化するのが特徴です。
コンデンサーの問題ではそれらのような条件を変えることによって、電気量の変化を問う問題が多いです。
電気容量は公式を見てみると誘電率、極板間距離、極板の面積によって変化することがわかるでしょう。
そのため、コンデンサーの問題ではそれぞれの条件下での状態を整理することが大切になってきます。
極板間距離、極板の面積、電圧などの条件をメモして頭の中を整理するようにしましょう!
特に、何が変化して何が一定なのかに注目して考えると格段に解きやすくなります。
【電磁気学分野難易度第3位】:電磁誘導
電磁誘導とは時間変化する磁場や磁場中を動く導体の相互関係によって生じる現象のことです。
基本的な公式は簡単で下の図にようになっています。
この公式はアンペール力と混同しやすいので注意しましょう。
一見簡単そうに見える電磁誘導ですが、力学との融合問題が難しいのが特徴です。
例えば、導体棒が磁場のかかった坂道を滑走する問題が有名で、解いたことのある方もいるのではないでしょうか。
その問題のように回路に生じる誘導起電力が時間的に変化したり、回路に抵抗などの素子があるととても複雑な問題になります。
そのような問題に対しては力学的な視点と電磁気学的な視点の両方から見て解くようにしましょう。
「定常電流が流れている時は速度が一定なので力が釣り合っている」のように電磁気学だけでなく力学としても解けるような頭の柔軟さが必要になってきます。
波
【波分野難易度第1位:波の干渉】
波の分野で最も難しいのは波の干渉です。
波の干渉とはいくつかの波が互いに影響することによってその波長や振幅が変化する現象のことを言います。
回折格子によるものや波源の移動によるものなど種類はさまざまで、振幅が最も大きくなる位置や振幅が0になる点を考えるような問題が多いのが特徴です。
波の干渉の問題では幾何学的な考え方も必要になってくるのが難しい点になります。
回折格子などでは波の位相差を求めるときに経路の差を考えるのですが、経路の差は基本的に三平方の定理や三角比を用いて求めます。
そのため、丁寧に図示して波源の位置関係を正確に捉えることが大切です。
経路差を間違えてしまうと連鎖的に失点してしまう可能性があるので、まずは図を正確に描いて経路差を求めることから始めましょう!
【波分野難易度第2位:レンズ】
次に難しいのはレンズですが、レンズは覚える公式が少なく、覚えるべき公式は下の式だけです。
この公式だけでは「レンズは簡単じゃないか」と思った人も多いでしょう。
凸レンズ、凹レンズの違いやいくつかのレンズを組み合わせた問題はとても複雑になるのがレンズの難しい点です。
凸レンズは上の公式で大丈夫ですが、凹レンズになると焦点距離が負の値になることを忘れてしまいやすいです。
他にも、レンズ1つなら計算は簡単ですが、レンズが二つ以上になると公式の使い方がわからなくなる人が多いです。
まずは公式の正確な理解をした上で図を丁寧に描くようにしましょう。
公式の各値の符号が何を表しているかが重要になってくるので、導出してみて理解を深め、図を丁寧に描いてレンズと物体との位置関係を正確に捉えるようにしましょう。
公式の導出は基本的な幾何学を用いることで簡単にできるのでぜひやってみてください。
【波分野難易度第3位:ドップラー効果】
ドップラー効果という言葉は聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
救急車が近づく時と遠ざかる時で音の高さが異なるように、波源や観測者の速度によって波の周波数などが変化する現象のことです。
ドップラー効果の公式は簡単で下の図のようになっています。
このように基本的な公式は簡単で覚えやすく、間違えるとしても波源と観測者の違いくらいでしょう。
しかし、ドップラー効果は応用問題になると難易度がアップします。
例えば波源や観測者の運動が1つの直線上ではなくなったり、波の反射について考える必要が出てくると難しくなります。
ドップラー効果では何を観測者として、何を波源とするかを正確に捉えることが大切です。
例えば反射の場合はまず壁を観測者として見たあとに実際の観測者との関係を考えれば簡単に解くことができるようになるでしょう。
おわりに
以上が物理の単元別難易度ランキングになります。
難易度ランキングをつけてはみたのですが、本質を理解できれば難しい問題も容易に解くことができるので安心してください。
このランキングを参考に自分なりに優先順位を考えて勉強しましょう!