「大学への数学」の学力コンテストの実態(構成・内容・問題)

はじめに:「大学への数学」の学力コンテストについて!

みなさん、「大学への数学」という雑誌をご存知ですか?

「大学への数学」は、ハイレベルな高校数学の問題を幅広く扱う月刊誌で、創刊から60年以上経った今でも、旧帝大や有名私立大学を受験する高校生から絶大な支持を集めています。

今回は、その「大学への数学」の巻末に掲載されている「学力コンテスト」について紹介します。

「私は数学苦手だし関係ないや〜」という方も、まずはこの記事を読んで、「大学への数学」の「学力コンテスト」のリアルな実態を見てみませんか?

大学への数学とは?

「学力コンテスト」の説明に入る前に、「大学への数学」という雑誌について簡単に説明しておきましょう。

表紙はこんな感じです。

かわいいネッコちゃんが表紙になっていますが、「大学への数学」の表紙は(なぜか)毎回動物のイラストになっています。

堅い内容なので、せめて表紙だけでも穏やかであってほしい、という願いが込められているのかもしれません(笑)。

目次はこんな感じになっています。

雑誌の先頭には、「日々の演習」・「スタンダード演習」・「演習」・「講義」といった、比較的基礎的な数学の問題が掲載されています。

真ん中らへんのページには、毎号の特集が掲載されていますね。この号は2018年4月号なので、2018年度の大学入試問題の特集になっています。

そして後半のページでは、「宿題」や「学力コンテスト」といった、「大学への数学」の中でもハイレベルな問題が並べられています。

構成によって多少差はありますが、前半のページから後半のページになるにつれて、扱う問題のレベルが上がっていると言えるでしょう。

「大学への数学」の学力コンテストとは?

「大学への数学」の大まかな構成がわかったところで、ハイレベルな「学力コンテスト」の説明に移りましょう。

「大学への数学」の学力コンテストの内容

「学力コンテスト」とは、「大学への数学」編集部が作成した6題の数学の問題を解き、その点数を競う企画のことです。

S(文系)・A(一般理系)・B(難関理系)という3つのレベルに分かれていて、それぞれのレベルでランキングが付けられます。

Sレベルを受ける人は全6問のうち前半3問を、Aレベルを受ける人は前半4問を、そしてBレベルを受ける人は全問を解いて、その点数を競うというわけです。

自分の解答を専用の用紙に書いて、「大学への数学」編集部に提出すると、1ヶ月くらいでフィードバック(点数と講評)が返ってきます↓

ちなみに、成績優秀者になると巻末に名前が掲載され、最上位になった人たちには景品が贈呈されます。

筆者も何度か「学力コンテスト」に応募したのですが、一度成績優秀者になっただけで、景品をもらうことはできませんでした……。

景品として何がもらえるのかは筆者にもわからないので、ぜひみなさんは頑張って成績最上位になって、景品をもらってください!(泣)

「大学への数学」の学力コンテストの難易度と解くときの注意点

学力コンテストで出題される6つの問題の難易度は、いずれも東大レベルです。

文系向けの前半3問が東大文系レベルの問題で、理系向けの残り3問が東大理系レベルの問題であると言えるでしょう。

東大数学の試験時間が、文系の場合は100分、理系の場合は150分ですから、学力コンテストの問題を1問30分くらいで解けるようになると、東大数学で高得点が取れるようになるはずです。

東大(あるいは旧帝大)志望者で数学を得点源にしたい人は、ぜひ解答時間を意識しながら解いてみてくださいね。

「大学への数学」の学力コンテストで出題された実際の問題

それでは、ここからは学力コンテストで実際に出題された問題を見てみることにしましょう。

以下で扱う問題は、2018年4月号で出題された学力コンテストの問題の第1問です。

私も実際に解いてみたのですが、やはりなかなか骨のある問題でした。みなさんも、ぜひじっくりと考えてみてくださいね。

「大学への数学」の学力コンテストの問題

田中家の4人、菊池家の4人、鈴木家の4人の計12人を、3人ずつの4グループに分けるとき、同じ家族の3人で構成されるグループができないような分け方は何通りあるか。

「大学への数学」の学力コンテストの問題の解答

場合の数で「〜でないような分け方」を問われるときにすべきことと言えば……

そう、「余事象を考える」ですね。

今回の問題も、余事象を考えるとわかりやすくなります。早速解いていきましょう。

まず、12人を3人ずつ4グループに分けるやり方は、12人を3人ずつに分けた後、4つのグループの区別をなくせばいいので、

12C3 × 9C3  × 6C× 3C3  ⁄  4!   =  15440(通り)になります。

この15440通りの中から、同じ家族3人で構成されるグループを除いていきます。

パターン1:同じ家族3人のグループが3つあるとき

3つの家族はそれぞれ4人構成なので、4人から3人を選んでグループを作るという作業を3回繰り返せばいいことになります。

したがって、このパターンの組み合わせは

4C3 × 4C3  × 4C3  =  64(通り)です。

パターン2:同じ家族3人のグループが2つだけあるとき

まず、3つの家族のうち、どの家族が同じ家族3人のグループを作るかを考えると、その組み合わせは

3C = 3(通り)あります。

同じ家族3人のグループを形成する2つの家族をA、Bとして、それ以外の1つの家族をCとします。

家族A、Bから同じ家族3人のグループを形成する方法は、4人家族の中から3人を選ぶ作業を2回繰り返せばいいので、

4C3 × 4C = 16(通り)です。

残りの6人を2つのグループに入れる方法は、

6C× 3C3  ⁄  2!   =  10(通り)になります。

したがって、家族A・Bが同じ家族3人のグループを形成する方法は16 × 10 = 160(通り)あることになりますが、この中にはパターン1で求めた「同じ家族3人のグループが3つできる」組み合わせが混ざっています。

ですから、家族A、Bだけが同じ家族3人のグループを形成する方法は、

160 – 64 = 96(通り)です。

3つの家族から、(同じ家族3人のグループを作る)2つの家族を選ぶ方法は3通りだったので、

同じ家族3人のグループが2つだけできる組み合わせは

96 × 3 = 288(通り)になります。

パターン3:同じ家族3人のグループが1つだけあるとき

パターン2と同様に、3つの家族から、同じ家族3人のグループを形成する1つの家族を選ぶ方法を考えると、

3C= 3(通り)になります。

同じ家族3人のグループを形成する1つの家族をA、残りの家族をB、Cとします。

家族Aの4人の中で、同じグループを形成する3人を選ぶ方法

4C3 = 4(通り)です。

全体で12人選ぶので、残りは9人ですね。

この9人を3人ずつの3つのグループに分ける方法は9C3  × 6C× 3C3  ⁄  3!   =  280(通り)になります。

したがって、家族Aが同じ家族3人のグループを形成する方法は

4 × 280 = 1120(通り)あることになりますが、

この中には、

  1. 家族A、Bが同じ家族3人のグループを形成する方法
  2. 家族A、Cが同じ家族3人のグループを形成する方法
  3. 家族A、B、Cが同じ家族3人のグループを形成する方法

が含まれています。

家族A、Bあるいは家族A、Cが同じ家族3人のグループを形成する方法は、パターン2で求めた「家族A、Bだけが同じ家族3人のグループを形成する方法」と同じなので、それぞれ96通りです。

家族A、B、Cが同じ家族3人のグループを形成する方法は、パターン1で求めたように、64通りあります。

以上から、家族Aだけが同じ家族3人のグループを形成する方法は、

1120 – 96 – 96 – 64 = 864(通り)になります。

3つの家族から、(同じ家族3人のグループを作る)1つの家族を選ぶ方法は3通りだったので、

同じ家族3人のグループが1つだけできる組み合わせは

864 × 3 = 2592(通り)ですね。

パターン1からパターン3までの余事象の数をまとめると、

64 + 288 + 2592 = 2944(通り)で、

12人を3人ずつ4グループに分けるやり方が15400(通り)あったので、

求める組み合わせの数は

15400 – 2944 = 12456(通り)になります。

おわりに:大学への数学の学力コンテストの問題を、少しずつ解いていこう

いかがでしたか?

大学への数学の学力コンテストの問題は、一筋縄にはいきません。

しかし、こういう難しい問題をじっくり考えて自分なりの解答を出すことで、数学の力は確実についてきます。

面倒くさがらずに、少しずつ解いてみてくださいね。

それでは!!

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