はじめに:単項式について
単項式をはじめとした整式という単元は、高校の数学Ⅰの一番最初に登場します。
単項式、多項式、次数、係数…のように似たような用語ばかりで混乱してしまいますよね。
そこで今回はそれらの用語の違いを解説し、単項式をきちんと理解できるような構成にしています。
この記事を読んで、高校数学における良いスタートを切りましょう!
※今回の記事は単項式をメインで解説しています。多項式については、以下の記事をご参照ください。
目次
単項式、多項式、整式とは?
まずは、3つの言葉「単項式、多項式、整式」の意味をそれぞれの違いも含めて説明していきます。
まずは、単項式からです。
単項式とは「色々な数を表す文字(変数)と数や定数を表す文字の積として表される式」のことをいいます。
言葉だけではよくわかりにくいので、具体例を挙げましょう。
単項式とは、\(2a\)、\(xyz\)、\(4x^2y^3\)のような掛け算だけでできている式のことをいいます。
次に多項式です。
多項式とは、「いくつかの単項式の和として表される式」のことをいいます。
例としては、\(a+b\)、\(2a^2+b^3\)、\(3xy^2+z\)のように単項式の組み合わせでできている式のことをいいます。
多項式の中に含まれている単項式のことを項と呼んだりもします。
最後に整式ですが、単項式と多項式を合わせて整式と呼んでいます。
簡単にまとめておきます。
単項式:掛け算だけでできた式(例:\(2a\)、\(4x^2y^3\)など)
多項式:単項式を足し合わせたもの(例:\(a+b\)、\(2a^2+b^3\)など)
整式:単項式と多項式のこと
単項式の次数と係数
単項式において次数と係数という用語が出てきます。
ここでは両者の違いを例を挙げながら解説してきます。
単項式の次数
まずは次数からです。
次数とは「掛け合わせた変数の通算した個数」のことをいいます。
\(a^3\)を例に出して考えてみましょう。ここでは\(a\)が変数となります。
\(a^3\)は\(a×a×a\)からできていますよね?
変数である\(a\)を合計\(3\)回掛けているということで、\(a^3\)の次数は\(3\)となります。
単項式の中で、変数が\(1\)種類しかないようなものの次数は、変数の右上についている数がそのまま次数になります。
次数が\(1\)の変数には右上の\(1\)は省略されています。
例えば、次数が\(1\)の変数\(a\)を表すときは\(a^1\)ではなく\(a\)と表します。
また変数がなく数だけのような単項式の場合(例:\(3\)、\(12\))は、次数は\(0\)となります。
今度は、単項式の中でも変数が\(2\)種類以上のときを考えてみましょう。
次数とは掛け合わせた変数の合計のことでしたね。
したがって、変数が\(2\)種類以上のときは各変数の次数の和がその単項式全体の次数となります。
例として\(2a^2b\)で考えてみます。
変数\(a\)は次数が\(2\)、変数\(b\)は次数が\(1\)ですね。
よって、\(2a^2b\)の次数は\(2+1=3\)となります。
単項式の係数
次に係数に移ります。こちらは比較的簡単です。
係数とは「数や定数を表す文字の部分」のことをいいます。
簡単にいうと変数の前についている数のことです。
例として\(4a^2\)で考えましょう。
係数とは変数の前についている数のことなので、みただけで\(4a^2\)の係数は\(4\)だとわかりますね。
これは変数がどれだけ複雑になっても変わることはありません。
\(6x^3y^4z^2\)でも係数は\(6\)だとすぐにわかりますね。
\(a\)のような変数の前に数字がないものは係数は\(1\)であると考えます。
なぜなら\(a=1×a\)であり、\(1a\)とすることもできるからです。
最後にまとめておきます。
単項式の乗法(指数法則)
最後に単項式の乗法について説明します。全部で3つあります。
前提として、単項式の乗法においては数は数同士で掛け算をしますが、文字の掛け算については同じ文字同士をかけます。
\(a×a\)は\(a^2\)とまとめることができますが、\(a×b\)は\(ab\)という形までしかまとめることはできません。
まとめることができない(掛け算ができない)のは、違う文字の掛け算のときと、文字と数字の掛け算のときです。
また、これから出てくる\(m\)、\(n\)は全て正の整数とします。
単項式の乗法(指数法則)の例①:\(a^ma^n=a^{m+n}\)
このことが成り立つか確認をしてみましょう。
\(a^4a^2\)を例に考えます。
\(a^4=a×a×a×a\)、\(a^2=a×a\)であることより、
\(a^4a^2=(a×a×a×a)×(a×a)=a^6\)となって、
\(a^4a^2=a^{4+2}\)、つまり\(a^ma^n=a^{m+n}\)となっていることが確認できました。
\(a^ma^n=a^{m\style{ color:red; }{ × }n}\)にしないように注意が必要です。
式の右側は\(a^m\style{ color:red; }{ × }a^n\)と掛け算になっていますが、左側は\(a^{m\style{ color:red; }{ + }n}\)と足し算になっていることをしっかり覚えるようにしてください!
単項式の乗法(指数法則)の例②:\((a^m)^n=a^{mn}\)
こちらも確認をしましょう。
\((a^4)^2\)を考えます。
\((a^4)^2\)とは\(a^4×a^4\)のことなので、
\((a^4)^2=a^4×a^4=a^{4+4}=a^8\)となりますね。
よって、\((a^4)^2=a^{4×2}\)つまり\((a^m)^n=a^{mn}\)となっていることが確認できました。
こちらは\((a^m)^n=a^{m\style{ color:red; }{ × }n}\)です。
一番最初の指数法則\(a^ma^n=a^{m+n}\)と区別してしっかり覚えるようにしましょう。
単項式の乗法(指数法則)の例③:\((ab)^n=a^nb^n\)
これも\((ab)^3\)で確認してみましょう。
\((ab)^3\)は\(ab×ab×ab\)のことですね。
よって、\((ab)^3=ab×ab×ab\)
\(=(a×a×a)×(b×b×b)=a^3b^3\)
となります。
これで、\((ab)^3=a^3b^3\)つまり\((ab)^n=a^nb^n\)となっていることが確認できましたね。
以上3つをまとめておきます。
もしもわからなくなったときは、文字の部分を具体的な数字に置き換えてあげるとよくわかると思います。
単項式の除法(参考)
あまり出てはきませんが、単項式の除法について説明しておきます。
結論からいうと、\(a^m÷a^n=a^{m\style{ color:red; }{ – }n}\)になります。指数法則①の逆であると言っても良いかもしれません。
これについても\(a^5÷a^3\)で確認をしておきましょう。
\(a^5÷a^3\)は\(\displaystyle \frac{ a×a×a×a×a }{ a×a×a }\)と同じことですよね?
よって、\(a^5÷a^3=\displaystyle \frac{ a×a×a×a×a }{ a×a×a }=\displaystyle \frac{ a×a }{ 1 }=a^2\)となります。
このことから\(a^5÷a^3=a^{5-3}=a^2\)であることがわかり、\(a^m÷a^n=a^{m-n}\)であることが確認できましたね。
単項式の練習問題
では最後に練習問題を解いてみましょう!
問題1
次の整式は、[ ]内の文字についての何次式か。また各項の係数をいえ。
\(8a^2bx^6y^4\) \([x]\)、\([y]\)、\([xとy]\)
問題の解答・解説
この問題の解き方は、「着目する文字以外を定数として扱う」という方法です。
定数とはここでは係数のことです。
これを考えると、まず\(x\)については次数が\(6\)ですので、6次式
また係数は\(x^6\)以外のもののことですので、\(\style{ color:red; }{ 8a^2by^4 }\)になります。
同様に考えると、
\(y\)について4次式、係数は\(\style{ color:red; }{ 8a^2bx^6 }\)になります。
最後の\(x\)と\(y\)が少しやっかいです。
すでに説明しましたが、\(x,y\)については\(x\)と\(y\)のそれぞれの次数を足したものが\(x,y\)全体の次数になるのでした。
よって、\(x,y\)については\(6+4\)をして10次式、係数は\(\style{ color:red; }{ 8a^2b }\)になります。
まとめ:単項式の問題では単語の意味を把握しておくことが重要!
いかがでしたか?
単項式は式自体は単純ですが、問題はとても面倒な形で出されます。
でも大丈夫。きちんとそれぞれの用語がどんな意味なのかを知っておくことで、どんな問題がきても焦ることはありません。
ぜひなんども単項式、次数、係数について確認し、高校数学の基礎を固めていきましょう!