【3分で分かる!】多項式とは?加法、減法、乗法についてわかりやすく

多項式に関する基本的な知識

多項式は、高校数学の一番はじめに学習し、高校数学の基礎になるものです。

しかし、多項式には色々なルールがあって、初学者にはとても面倒に感じられる単元でもあります。

そこで今回は、多項式にまつわる基本的な知識を総ざらいして、多項式についてよくわかる内容にしました!

ぜひ最後まで、読んでみてくださいね!

この記事は多項式について解説しています。単項式については、以下の記事をご参照ください。

【3分で分かる!】単項式とは?単項式とその次数・係数などについてわかりやすく

2020.08.19

多項式とは?

まずは多項式、さらに同じ単元で登場する単項式、整式とは何かを説明していきます。

説明のしやすさから単項式から説明していきます。

単項式とは、「色々な数を表す文字(変数)と数や定数を表す文字の積として表される式」のことをいいます。

具体的には、\(a\)、\(4x^3y^2\)のような掛け算のみでできた式のことを指します。

一方で、多項式とは「いくつかの単項式の和として表される式」のことをいいます。

具体的には\(a+b\)、\(3x^3y^2+3z\)のような単項式の組み合わせ(足し算)でできた式のことを指します。

また、多項式の中に含まれる単項式のそれぞれを、その多項式のといいます。

\(3x^3y^2+3z\)であれば、単項式の\(3x^3y^2\)と\(3z\)の足し算でできていますよね。

この多項式の項は\(3x^3y^2\)と\(3z\)です。

たとえ\(3x^3y^2\style{ color:red; }{ – }3z\)のように引き算であっても、単項式の\(3x^3y^2\)と\(-3z\)の足し算だと考えれば問題ないですね。

そして、この多項式の項は\(3x^3y^2\)と\(-3z\)となります。

最後に整式ですが、整式は「単項式と多項式の総称」です。

よって整式と書かれていれば、単項式のことも多項式のことも指しているのだと考えてください。

これまでの内容をまとめておきます。

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多項式の次数

次に多項式における次数について説明していきます。

多項式の次数は、「多項式を作る単項式の次数の最大のもの」をその多項式の次数とします。

例えば、\(3x^3y^4-4xy^5+5\)を考えます。

これを\(x\)と\(y\)の整式とみれば\(3x^3y^4\)の次数が最大になりますので、\(x\)の次数\(3\)と\(y\)の次数\(4\)を足し合わせて全体の次数は\(7\)になります。

しかし、\(x\)だけを変数とみなし\(y\)を定数として扱うと\(3x^3y^4\)の\(x^3\)と\(-4xy^5\)の\(x\)を比べることになり、次数のより大きい\(3\)が全体の次数になります。

また\(y\)だけを変数とみなし\(x\)を定数として扱うと\(3x^3y^4\)の\(y^4\)と\(-4xy^5\)の\(y^5\)を比べることになり、次数のより大きい\(5\)が全体の次数になります。

つまり、着目する変数によって、同じ多項式でも次数が変わりうるので注意が必要です。

多項式の整理

多項式の整理の仕方には一定の法則があります。

その法則に従わずに出した答えというのは、場合によっては間違いとされてしまうこともあるので注意が必要です。

では、その法則を説明していきます。

多項式の整理の法則①:項は数字→文字の順で

例えば\(3ab\)という項があったときに、\(ab3\)や\(a3b\)のように書いてはいけないということです。

必ず数字が前で、文字が後ろであることを押さえておきましょう。

参考

今回の内容と関係はありませんが、皆さんは\(π\)はどこに書くかを知っていますか?

正解は数字と文字の間です。

\(3πx\)のように書くのが正解で、\(π3x\)や\(3xπ\)などとは書きません。

また、文字の順番はアルファベット順です。

\(3ab\)と書きますが、\(3ba\)と書くと不自然ですので気をつけましょう。

多項式の整理の法則②:同類項はまとめる

まずは言葉の説明からしていきます。

同類項とは、「変数部分が一致する項」のことをいいます。

例えば\(a\)、\(a^2\)、\(4ab\)、\(b\)、\(-48a^2\)という5つの項があったとします。

同類項は一体どれとどれだと思いますか?

正解は\(a^2\)と\(-48a^2\)です。

\(a\)と\(a^2\)は同類項ではありません。

同じ文字でも次数が違えば別の項の扱いになりますので注意が必要です。

さて、同類項をまとめるとはどういうことなのでしょうか?

試しに\(4a^2+4ab+3a+5a\)という多項式について考えてみましょう。

この多項式には同類項がありますね。\(3a\)と\(5a\)です。

これは1つにまとめる必要があります。

やり方は単純で、係数の足し算を行えば良いだけです。

\(3a+5a=8a\)となり、\(4a^2+4ab+8a\)と整理することができます。

同類項を1つにまとめずに答えとしてしまうと減点される可能性がありますので、同類項の整理は必ずやるようにしましょう!

多項式の整理の法則③:多項式は降べきの順に並べる

こちらも言葉の説明からいきましょう。

降べきの順に並べるとは「変数についての次数の高い順に書くこと」をいいます。

参考

降べきの順の逆もあります。

次数の低い順に並べて書くことを、昇べきの順に整理するといいます。

しかし、次数が低い順に並べることなど滅多にないので覚えなくて良いです。

例を出して考えてみます。

\(3x^2-ax+2-x^2+3x+a\)という整式を\(x\)について整理してみましょう。

ここでいう「整理」とは、整式の中の同類項をまとめ、降べきの順に並べることを指します。

同類項はすぐに見つかると思います。変数が同じ項に着目するのでした。

\(3x^2\)と\(-x^2\)、\(-ax\)と\(3x\)、\(2\)と\(a\)ですね。

これらをまずまとめます。

\(3x^2\)と\(-x^2\)を\(2x^2\)に、\(-ax\)と\(3x\)を\((-a+3)x\)に、\(2\)と\(a\)を\((2+a)\)にまとめます。

\(a\)は文字、\(3\)や\(2\)は数で計算ができないので、このようなときは単純に()(カッコ)でまとめるだけでOKです。

そして、次数が高い順に整理します。これが降べきの順に並べるということでしたね。

よって、最終的な答えは\(2x^2+(-a+3)x+(2+a)\)となります。

整式の整理においては同類項のチェックと降べきの順に並べることを常に意識しておいてくださいね。

多項式の乗法公式

整式の乗法では、いくつかの覚えておくべき公式があります。

今回は二次式までの5種類の公式を紹介します。

しかし、5種類の公式の内3種類は中学範囲ですので、紹介するだけにします。

中学で習う乗法公式

  • ①(1)\((a+b)^2=a^2+2ab+b^2\)
  • ①(2)\((a-b)^2=a^2-2ab+b^2\)
  • ②\((a+b)(a-b)=a^2-b^2\)
  • ③\((x+a)(x+b)=x^2+(a+b)x+ab\)

ここからは高校生になってから習う乗法公式を紹介します。

多項式の乗法公式①:\((ax+b)(cx+d)\)
\(=acx^2+(ad+bc)x+bd\)

実際に展開することで、公式の確認ができます。

\((ax+b)(cx+d)=acx^2+adx+bcx+bd\)

同類項を整理して、

\((ax+b)(cx+d)=acx^2+(ad+bc)x+bd\)

になりました。

多項式の乗法公式②:\((a+b+c)^2\)
\(=a^2+b^2+c^2+2ab+2bc+2ca\)

こちらも展開によって確認しますが、このままだと少しやっかいです。

そこで、\((a+b)=A\)とおいて展開してみましょう。

\((a+b+c)^2\)

\(=(A+c)^2=A^2+2Ac+c^2\)

元に戻して、

\((a+b)^2+2(a+b)c+c^2\)

\(=a^2+2ab+b^2+2ac+2bc+c^2\)

あとは、降べきの順に整理して

\((a+b+c)^2\)

\(=a^2+b^2+c^2+2ab+2bc+2ca\)

になります。

乗法公式をまとめておきます。

Screen Shot 2017-09-10 at 16.03.24

これらの公式は全部覚えるようにしましょう!

多項式の練習問題

最後に練習問題を解いてみましょう。

問題1

次の整式を簡単にせよ。

\(2(x^2+2xy-3y^2)+3(3x^2-xy+4y^2)\)

問題1の解答・解説

今回の問題でやることは次の3つです。

  1. 分配法則を使って展開する。
  2. 同類項をまとめる。
  3. 降べきの順に整理する。

①の分配法則についてはこちらの記事も参照してください。

【3分で分かる!】分配法則の仕組みとやり方をわかりやすく

2020.08.21

では、分配法則を使って実際に展開していきましょう。

\(2(x^2+2xy-3y^2)+3(3x^2-xy+4y^2)\)

\(=2x^2+4xy-6y^2+9x^2-3xy+12y^2\)

次に同類項をまとめます。

しかし、今回は\(x^2\)、\(xy\)、\(y^2\)を変数として同類項をまとめられそうです。

整理すると、

\((2x^2+4xy-6y^2)+(9x^2-3xy+12y^2)\)

\(=11x^2+xy+6y^2\)

最後に降べきの順に並べます。

今回はもともと降べきの順に並んでいるので、そのまま答えは\[\style{ color:red; }{ 11x^2+xy+6y^2 }\]となります。

問題2

次の式を展開せよ。

\((2x^2-2x+3)^2\)

問題2の解答・解説

地道に展開しても問題自体は解けますが、複雑ですし何より楽に解きたいですよね。

そこで登場するのが、乗法公式です!

\((a+b+c)^2=\)
\(a^2+b^2+c^2+2ab+2bc+2ca\)

です。

これに当てはめていくだけで答えができてしまいます!

\(a=2x^2\)、\(b=-2x\)、\(c=3\)をそれぞれ代入します。

公式に当てはめて、

\((2x^2-2x+3)^2\)

\(=4x^4+4x^2+9-8x^3-12x+12x^2\)

\(=\style{ color:red; }{ 4x^4-8x^3+16x^2-12x+9 }\)

公式に当てはめるだけですが、同類項をまとめることや降べきの順に並べることは忘れないようにしてくださいね。

まとめ:減点を防ぐために、多項式は見やすい形に整理しよう!

いかがでしたか?

多項式の加法、減法、乗法は同類項の整理や降べきの順といった面倒なルールがたくさんあります。

しかし、これらは全部計算過程を見やすくして計算ミスを減らすためや採点者に見やすい形にして採点ミスを減らすためにとても大切なものなのです。

無駄な減点を防ぐためにも、多項式は常に見やすい形に整理することを心がけるようにしましょう!




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