はじめに
「必要条件・十分条件はややこしい!どちらが答えか分からなくなってしまう。」
そんな悩みを持つ人は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、わかりやすい必要条件・十分条件の判別方法と覚え方を紹介します。
最後には必要条件・十分条件の見分け方を身につけるための練習問題も用意しました。
ぜひ最後まで読んで、必要条件・十分条件を完璧にマスターしましょう!
「命題」については以下の記事もご覧ください
目次
必要条件とは:Aが成り立つためにBという条件が必要
Aが成り立てば必ずBも成り立つとき、そのAに対するBのことを必要条件といいます。
ただし、Bが成り立つとしてもAが成り立つとは限りません。
逆にこのとき、「Bが成り立たないのにAが成り立つ」ことはありえません。
「Bが成り立たないのにAが成り立つ」と仮定すると、最初に述べた「Aが成り立てば必ずBも成り立つ」ことから、Bが成立することになり、矛盾するからです。
つまり一言でいうと、「Aが成り立つためにはBが必要」ということです。
「Aが成り立てば必ずBも成り立つ」ことを「A⇒B(AならばB)」と書くこともあります。
例:
太郎くんが東京都民ならば、太郎くんは日本国民です。
よって、
- A:太郎くんが東京都民
- B:太郎くんは日本国民
とすれば、「A⇒B(東京都民ならば日本国民)」が成り立ちます。
Aに対するBが必要条件、つまり、太郎くんが東京都民であるためには、太郎くんが日本国民であることが必要条件、といえるのです。
十分条件とは:Aが成り立つためにBという条件は十分
Aが成り立てば必ずBも成り立つとき、そのBに対するAのことを十分条件といいます。
このとき、Bが成り立つとしてもAが成り立つとは限りません。
一言でいうと、「Aが成り立つためにBという条件は十分である(もう少しゆるい条件でも大丈夫かも)」ということです。
例:
上の例に書いた通り、
- A:太郎くんが東京都民
- B:太郎くんは日本国民
とすれば、「A⇒B(東京都民ならば日本国民)」が成り立ちます。
Bに対するAが十分条件、つまり日本国民であるためには東京都民であることが十分条件です。
Aが成り立てば必ずBも成り立つ、つまりA⇒Bであるとき、
- BはAに対する必要条件
- AはBに対する十分条件
といいます。
必要十分条件とは:必要条件でも十分条件でもある条件
必要十分条件とは、必要条件でも十分条件でもある条件のことです。
噛み砕いて言うと、Aが成り立てば必ずBが成り立ち、同様にBが成り立てば必ずAが成り立つとき、Aに対してBのことを必要十分条件といいます。(Bに対してAも必要十分条件になります。)
記号を使うと「A⇒B」と「B⇒A」が両方成り立つということです。このとき、「A⇔B」と書きます。
例:
太郎くんが20歳以上であれば、太郎くんはお酒を飲むことがます。また、太郎くんがお酒を飲めるならば、太郎くんは20歳以上であるはずです。
- A:太郎くんは20歳以上
- B:太郎くんはお酒を飲める
とすれば、Aが成り立てば必ずBが成り立ち、同様にBが成り立てば必ずAが成り立つので、Aに対してBは必要十分条件となります。
つまり、太郎くんが20歳以上であるためには太郎くんがお酒を飲めることが必要十分条件です。
もう忘れない!必要条件と十分条件の覚え方
必要条件と十分条件は混同してしまいがちですが、以下のように図で考えると分かりやすくなります。
内側が十分条件、外側が必要条件です。
例として、リンゴと果物を考えてみます。
リンゴは果物の一種です。逆に、果物はミカンやバナナなど、リンゴ以外のものもあります。それを図にするとこうなりますね。
- 「リンゴ」は(「果物」に対して)内側にあるので、リンゴであることは(果物であるための)十分条件です。
- 「果物」は(「リンゴ」に対して)外側にあるので、果物であることは(リンゴであるための)必要条件です。
ちなみに、この枠がぴったり重なったら、それは必要十分条件となります。
はじめのうちは、このように図を描いて考えましょう。慣れてきたら頭の中に図を思い浮かべられるようになります。
必要条件・十分条件の練習問題
では実際に問題を解いて練習しましょう。
問題1
次の4つの選択肢から1つ選んでください。
ネコであることは、動物であることの
(1)必要条件であるが十分条件ではない
(2)十分条件であるが必要条件ではない
(3)必要十分条件である
(4)必要条件でも十分条件でもない
問題1の解答・解説
上で解説したように、図にしてみましょう。
動物がネコを含む形ですね。
今回は「ネコであることは、動物であることの・・・」とあり、主語が「ネコであること」なのでネコに注目します。すると図において「ネコ」は内側。よって十分条件です。
また、「ネコ」は外側にはないので必要条件ではありません。
よって「(2)十分条件であるが必要条件ではない」が正解です。
次の問題は、より学校で習う数学に近い形の問題です。
問題2
4つの選択肢から1つ選んでください。
P:a≦-2またはa≧3
Q:a≧5
このとき、PはQであるための
(1)必要条件であるが十分条件ではない
(2)十分条件であるが必要条件ではない
(3)必要十分条件である
(4)必要条件でも十分条件でもない
問題2の解答・解説
これも図にして考えましょう。今回は数字がでてきたので、数直線にします。
PがQを含んでいるのがよく分かります。
今回は「PはQであるための・・・」とあり、主語がPなのでPに注目。するとPは外側なので必要条件です。内側ではないので十分条件ではありません。
よって答えは「(1)必要条件であるが十分条件ではない」でした。
この問題2のように、2つの数式に対して必要条件か十分条件かを問う問題は、センター試験数学1Aの第1問命題分野でよく出題されました。練習して慣れておきましょう。
最後に
必要条件・十分条件は数学の基本です。
繰り返し練習してマスターしましょう!