はじめに
数学をやる上で、「命題」という話題は切っても切り離せません。
特にセンター試験の数学ⅠAでは、この命題について理解していないと解けない問題が数多く出題されてきました。
そこで今回は「命題」について、関連ワード「真偽」「逆」「裏」「対偶」を含めて解説します。
最後にはこれらを身につけるための練習問題も用意しました。ぜひ最後まで読んで、真偽と逆・裏・対偶を完璧にマスターしましょう!
命題についての基礎知識:「真偽」「逆」「裏」「対偶」の覚え方
命題とは、判断を言語で表したものです。
たとえば「リンゴは果物である」は命題です。「ラーメンは飲み物である」のように、正しくないことでも命題になります。
真偽とは、その漢字の通り、真実か偽りか、ということです。覚えやすいですね!
「リンゴは果物である」という命題の真偽は真、「ラーメンは飲み物である」という命題の真偽は偽です。
記号を使って「A⇒B」とも表せます。
逆とは、「AならばB」という命題に対して「BならばA」という命題のことです。
覚え方としては、左右を逆にすればいいということです。
裏とは、「AならばB」という命題に対して「AでないならばBでない」という命題のことです。
否定する、つまり裏返しにすると、裏になると覚えましょう!
対偶とは、「AならばB」という命題に対して「BでないならばAでない」という命題のことです。
対偶は覚えるのが簡単で、逆と裏を組み合わせただけです!
図で表すと以下のようになります。
「リンゴは果物である」という命題に対して、
- 逆:果物ならばリンゴである
- 裏:リンゴでないならば果物でない
- 対偶:果物でないならばリンゴでない
となります。
覚えるべき性質:もとの命題とその対偶の真偽は同じ!
もとの命題とその対偶の真偽は同じになります。
たとえば、「リンゴは果物である」という命題は真偽が真でした。
対偶の「果物でないならばリンゴでない」という命題も真です。果物でないリンゴは存在しませんよね。
逆・裏・対偶と真偽の判別の練習問題
それでは問題を解いて上で勉強したことを確認してみましょう。
問題1
命題「ジュースは飲み物である」の逆・裏・対偶を答え、それぞれの真偽を答えなさい。
問題1の解答・解説
- 逆:飲み物はジュースである
- 裏:ジュースでないならば飲み物でない
- 対偶:飲み物でないならばジュースでない
真偽に関しては、
もとの命題:真
逆:偽
(お茶は飲み物ですがジュースではありません)
裏:偽
(お茶はジュースではありませんが飲み物です)
対偶:真
(飲めないジュースは存在しません)
となります。
(このように、裏と逆も真偽が一致します。裏の対偶が逆だからです。)
次はもう少しセンター試験などに則した形の問題を解いてみましょう。
問題2
命題「\(x^2 \gt 0\)ならば\(x \gt 0\)」の逆・裏・対偶を答え、それぞれの真偽を答えなさい。
問題2の解答・解説
\(x \gt 0\)の否定は\(x ≦ 0\)です。
- 逆:\(x \gt 0\)ならば\(x^2 \gt 0\)
- 裏:\(x^2 ≦ 0\)ならば\(x ≦ 0\)
- 対偶:\(x ≦ 0\)ならば\(x^2 ≦ 0\)
真偽は、
もとの命題:偽
(\(x=-1\)のとき、\(x^2 \gt 0\)は成り立ちますが\(x ≦ 0\)です)
逆:真
裏:真
(\(x^2 ≦ 0\)のとき\(x=0\)ですから\(x ≦ 0\)が成り立ちます)
対偶:偽
(\(x=-1\)のとき\(x^2 =1\)となります)
問題3
命題「\(x \gt 0\)かつ\(y \gt 0\)ならば\(xy \gt 0\)」の逆・裏・対偶を答え、それぞれの真偽を答えなさい。
問題3の解答・解説
「AかつB」の否定は「AでないまたはBでない」となります。
- 逆:\(xy \gt 0\)ならば\(x \gt 0\)かつ\(y \gt 0\)
- 裏:\(x ≦ 0\)または\(y ≦ 0\)ならば\(xy ≦ 0\)
- 対偶:\(xy ≦ 0\)ならば\(x ≦ 0\)または\(y ≦ 0\)
真偽は、
もとの命題:真
逆:偽
(\(x=y=-1\)のとき\(xy\gt 0\)ですが\(x \gt 0\)も\(y \gt 0\)も成り立ちません)
裏:偽
(\(x=y=-1\)のとき\(xy=1\)です)
対偶:真
(\(x\)か\(y\)のどちらかが負でないと\(xy\)は負になりませんし、\(x\)か\(y\)のどちらかが\(0\)でないと\(xy\)は\(0\)になりません)
おわりに
いかがでしたか?
命題は数学の基礎になります。はじめは論理学のようで難しいかもしれませんが、繰り返し練習してマスターしましょう。
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