因数分解のたすきがけのやり方とコツ
因数分解は数ⅠAの範囲でとても重要な分野です。その中でも「たすきがけ」は2次式を因数分解をする上でよく使われます。
そこで今回はたすきがけのやり方とコツを、図を用いて分かりやすく解説します。
最後には理解を深めるための練習問題もつけました。ぜひ最後まで読んでたすきがけをマスターしてください!
因数分解についてまだ理解していないという方は、先にこちらの関連記事をご覧ください。
目次
たすきがけとは
そもそも因数分解とは、
$$x^2+3x+2=(x+1)(x+2)$$
のように多項式を多項式の積の形に変形することでした。
上のように2次式の\(x\)の係数が1であれば暗算で因数分解ができますが、\(2x^2+3x+1\)のように\(x\)の係数が2以上だと暗算では難しいものです。
そんなとき、素早く確実に因数分解するための方法がたすきがけです。
たすきがけのやり方
例として、\(2x^2+3x+1\)を因数分解します。
たすきがけのやり方①:筆算のようなものを書く
このように因数分解したい二次式を下に書きますが、\(x\)の項と定数項\(1\)は順番を逆に書いてください。
この水色と黄緑色の○の部分に、これから数字を入れていきます。
たすきがけのやり方②:\(ac=2\)になるような数\(a,c\)と\(bd=1\)になるような数\(b,d\)を見つける
今回の場合、たとえば\(a=2,c=1\)と\(b=d=1\)がありえます。見つけたら以下のように記入します。
このとき、\(x\)の係数が\(1\)であっても、省略せずに書いた方がベターです。
たすきがけのやり方③:\(ad\)と\(bc\)を計算し、右側に記入する
今回の場合は、\(ad=2,bc=1\)です。
このように斜めにかけるので、たすきがけといいます。
たすきがけのやり方④:\(ad+bc\)がもとの二次式の\(x\)の係数になるか確かめる
今回の場合、\(x\)の係数は\(3\)でした。
このように\(1+2=3\)になっているのでOKです。もしなっていない場合は、②に戻って違う\(a,b,c,d\)を設定してみて、②〜④を再度行います。\(ad+bc=3\)になるまでこれを繰り返してください。
たすきがけのやり方⑤:因数分解する
上までのことをまとめると、以下のようになります。
このとき、以下の青枠で囲った部分が因数になります。
\(2x^2+3x+1=(2x+1)(x+1)\)です。
たすきがけのコツ
上の解説ではたすきがけは以下のようになりました。
しかし、テストでは1秒でも速くときたいもの。いちいち矢印とか書いている手間がもったいない。というわけで、簡略化してこのように数字のみを書きます。
たすきがけを習い始めのうちは丁寧に書いた方がいいですが、慣れてきたらスピードを重視して簡略化しましょう。
たすきがけの練習問題
たすきがけは、最初のうちは時間がかかってしまうかもしれませんが、繰り返し問題を解いて慣れていけば勘がつかめてきて、すぐに\(a,b,c,d\)が見つかるようになります。
問題
\(6x^2+11x+3\)を因数分解せよ。
問題の解答・解説
たすきがけはこのようになります。
よって答えは、
\(6x^2+11x+3=(2x+3)(3x+1)\)
です。
たすきがけを完璧にして、因数分解を素早く正確にしよう!
入試問題では二次式の因数分解がメインとなる問題はあまり出題されません。
しかし、方程式など三次以上の多項式の問題で、因数定理やたすきがけを用いて因数分解をする必要があることは多くあります。
そんなとき、たすきがけが素早く正確にできないと、答えを間違ってしまうばかりでなく、無駄に時間を遣ってしまって他の問題にあてる時間がなくなってしまいます。
この記事を読んでたすきがけを完璧に理解し、問題を繰り返し解いてたすきがけをマスターしてください!