はじめに:比例の基礎を学習しよう!
比例は、小学校から高校まで幅広く学ぶ単元です。
そこで、今回は用語の解説とともに小学校・中学校・高校で習う比例を別々に演習問題として扱い、解説していこうと思います。
しっかりと基礎を確認して、比例の問題がスラスラ解けるようになりましょう!
目次
比例について
比例とは何か?
まずは、比例とは何かについて説明しておこうと思います。次のグラフを見てください。
うまい棒を買えば買うほど一定の比率で金額が上昇していますよね?
具体的に言うと、うまい棒の個数が一つ増えるごとに10円ずつ金額が増えているのがわかると思います。
この時、個数と金額との間に比例関係があります。
これを\(x,y\)の関係式として表してみます。
個数を\(x\)、金額を\(y\)とすると、個数と金額との関係式は\[y=10x\]になります。
次はこれを詳しく解説していきます。
比例の式、比例定数とは
一般に、比例の式は\(y=ax\)と表すことができ、\(a\)のことを比例定数と言います。
比例定数とは、一方の変数(基本的には\(x\)をさします。)を一定に変化させた時に他方の変数(基本的に\(y\)をさします。)も共に変化する一定の度合いを表す数です。
言葉では説明しづらいので具体例で考えてみましょう。
例えば、先ほどの\(y=10x\)では、\(x\)の値を\(1\)ずつ増やしていくと、\(y\)の値は\(10\)ずつ増加しており、この時一定に増加する度合いである\(10\)が比例定数となるわけです。
次に比例のグラフについて考えます。
グラフの書き方は、わかりやすい点(例えば\(x,y\)が共に整数)を\(xy\)平面上にプロットし、あとはその点を線で結ぶ、という手順でやるとやりやすいです。
試しに\(y=10x\)を\(xy\)平面で表してみます。下を見てください。
比例のグラフの特徴は、直線であること、つまり一次関数であることがわかります。
そして、直線の傾きが比例定数と一致します。
比例は一次関数の一種です。
比例の式は一次関数とはちがい切片がありません。
なお、一次関数について詳しく知りたい方は以下の記事をご確認ください。
比例定数の求め方
比例定数の求め方について解説しておきます。
\(y\)を\(x\)の式で表す時には必ず求めなければならないものですので確認しておきます。
比例定数の求め方は、シンプルです。比例定数を\(a\)とおくと、
\(a\)=\(\displaystyle\frac{ y }{ x }\)で求めることができます。
これは、先ほど登場した\(y=ax\)の両辺を\(x\)で割ったものです。
試しに例題をあげておきます。
例題
\(y\)は\(x\)に比例し、\(x=7\)のとき、\(y=21\)です。この時の比例定数を求めよ。
例題の解答・解説
\(a\)=\(\displaystyle\frac{ y }{ x }\)を使えば一瞬です。比例定数\(a\)は
\(a\)=\(\displaystyle\frac{ 21 }{ 7 }\)=\(\style{ color:red; }{ 3 }\)となります。
補足:比例を表す記号
実は、比例を表す記号というものが存在します。
高校まではほとんど見かけることがないので知らなくても大丈夫だとは思います。
しかし、大学では普通に使われる記号ですし、もし問題で突然比例の記号が出てきても動じないために一応知っておきましょう!
比例の記号は「∝」です。
例えば、「\(y\)が\(x\)に比例する」というのを文字と記号だけで表すと「\(y∝x\)」となります。
不等号の記号同様、論述問題で答案に書くような際は向きに気をつけるようにしてください。
楽したい、カッコつけたいといって書いて間違えたりしたら元も子もありません。
また、問題文中に出てきた場合は「何が何に比例するか」に気をつけてください。読み間違えると、問題は絶対に解けなくなってしまいます。
比例の練習問題
比例の練習問題(小学生版)
問題
次の表は、あるリボンの長さ\(x\)mと、その代金\(y\)円を表している。
この時、
(1)\(x\)の値が2倍、3倍となっていくと、\(y\)の値はどのようになるか。
(2)\(x,y\)の関係を式に表しなさい。
(3)このリボン2.5mの代金はいくらか。
(4)300円で最大何mのリボンが買えるか。
問題の解答・解説
表からリボンの長さと代金との間に比例関係があることがわかります。
よって、(1)は\(y\)の値も同様に2倍、3倍となっていくが答えとなります。
また表から、リボンの長さが1m長くなるごとに代金が20円ずつ増えていることがわかります。
よって、\(x,y\)の関係式で表すと、比例定数が20の一次関数であることもわかりますので(2)の答えは、
(2)\(y=20x\)となります。
(3)の問題は、(2)で求めた関係式の\(x\)に2.5を代入することによって解きます。
すると、(3)は、\(y=20×2.5=\style{ color:red; }{ 50(円) }\)となります。
(4)は(3)のように今回は、\(y\)に300を代入して、\(x\)の値を求めれば良い問題です。
ゆえに、
(4)\(300=20x\)
\(x=\style{ color:red; }{ 15(m) }\)が求まります。
比例の練習問題(中学生版)
問題
水そうの高さが\(50cm\)で、水の高さが毎分\(5cm\)高くなるように水を入れる。
水を入れ始めてから\(x\)分後の、水の高さを\(ycm\)とする時以下の問いに答えよ。
(1)\(y\)を\(x\)の式で表しなさい。
(2)水を入れ始めてから15分後の水の高さは何\(cm\)か。
問題の解答・解説
(1)毎分\(5cm\)水位が上がっていくので、まず比例定数は\(5\)であることがわかります。
今回は、もともと水は入っていなかった(つまり切片は\(0\))と考えて良いので、
答えは、\(\style{ color:red; }{ y=5x }\)となります。
次に(2)に移ります。
(1)の結果を用いれば、簡単に15分後の水位がわかります。
\(y=5x\)の\(x\)に15を代入して、\(y=75\)となります。
しかし、答えは\(75cm\)とはなりません。なぜなら、水そうの高さが\(50cm\)だからです。
\(25cm\)分は外に漏れ出したと考えるのが自然なため、最終結果は\(\style{ color:red; }{ 50cm }\)となります。
比例の練習問題(高校生版)
問題
\(\displaystyle\frac{ x+y }{ 5 }=\displaystyle\frac{ y+z }{ 4 }=\displaystyle\frac{ z+x }{ 3 }( \neq 0)\)の時、
\(\displaystyle\frac{ xy+yz+zx }{ x^2+y^2+z^2 }\)の値を求めよ。
問題の解答・解説
これは、比例式と呼ばれる高校の学習範囲の中にある比例の問題です。
このような問題では、基本的に(与式)=\(k\)とをおいて解きます。
\(\displaystyle\frac{ x+y }{ 5 }=\displaystyle\frac{ y+z }{ 4 }=\displaystyle\frac{ z+x }{ 3 }=k\)とおく。
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x + y = 5k・・・① \\ y + z = 4k・・・② \\ z + x =3k・・・③ \end{array} \right.\end{eqnarray}
①〜③の左辺と右辺をそれぞれ全て足し合わせて、\(2\)で割ると、
\(x+y+z=6k\)・・・④
④から①〜③のそれぞれを引くと、
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} z = k \\ x = 2k \\ y = 3k \end{array} \right.\end{eqnarray}
よって、
\(\displaystyle\frac{ xy+yz+zx }{ x^2+y^2+z^2 }\)
=\(\displaystyle\frac{ 2k×3k+3k×k+k×2k }{ 4k^2+9k^2+k^2 }\)
=\(\displaystyle\frac{ 11k^2 }{ 14k^2 }\)=\(\style{ color:red; }{ \displaystyle\frac{ 11 }{ 14 } }\)
となります。
まとめ:比例の問題では、\(yとx\)の関係を掴め!!
いかがでしたか?
比例の問題は、\(x,y\)の関係さえつかめてしまえば、後の問題は代入の作業が大半を占めます。
もし、\(x,y\)の関係を確認させる問題がなかったとしても、比例の問題に出会ったらまずこれを確認する習慣をつけておくと、問題を解くのが有利になるので、ぜひ実践してみてくださいね。