【3分で分かる!】連立不等式の解き方をわかりやすく

はじめに:連立不等式の解き方について

連立不等式はセンター試験、二次試験でもおなじみの問題で、解けないと最終的な得点に大きな影響の出る重要な問題です。

直接問題として出るケースは稀で、変域を求める時などに登場する縁の下の力持ちです。

そこで今回は連立不等式の解き方について解説します!

最後には理解を深めるための練習問題も二種類用意しました。

ぜひ最後まで読んで連立不等式についてマスターしてください!

連立不等式の解き方:一次不等式編

まず一次不等式の解き方を例題を交えながら解説していきます。

一次不等式の問題

連立不等式

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 5x+1≦8(x+2) \\ 2x-3<1-(x-5) \end{array} \right.\end{eqnarray}
を解け。

一次不等式の問題の解答・解説

まずは、与えられた不等式を別々に解いていきます。

まず、上の方の不等式を解きます。右辺を展開して\[5x+1≦8x+16\]

\(5x\)を右辺へ、\(16\)を左辺に移項して、\[1-16≦8x-5x\] \[-15≦3x\]

両辺を\(3\)で割って、\(-5≦x\)がでました。

この\(x\)の範囲を数直線上で表すと下のようになります。

スクリーンショット 2017-06-05 23.36.24
不等号の下に「=」がついている場合、その値が含まれていることを示すため数直線上で図示する場合は中黒の丸(●)線をまっすぐ上に書きます

同様に下の方の不等式を解きます。整理すると、
\(2x+x<1+5+3\)
\(3x<9\)
両辺を\(3\)で割って、\(x<3\)となります。

こちらの\(x\)の範囲も数直線上で表すと下のようになります。

スクリーンショット 2017-06-05 23.44.49
不等号の下に「=」がついていない場合、その値が含まれていないことを示すため、数直線上で図示する場合は中空きの丸(◯)線を斜めに書きます

この問題でするべきことは、与えられた2つの不等式の共通範囲を求めることなので、グラフを合成して

スクリーンショット 2017-06-03 15.04.20

よって、例題の最終的な答えは上図で考えると二つの領域の重なった黄緑色の部分であり、\[−5≦x<3\]となります。

連立不等式の解き方:二次不等式編

次は二次不等式です。基本的なやり方は一次不等式と変わらないので例題で確認しましょう。

二次不等式の問題

連立方程式

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 2x^2-5x-3<0 \\ 3x^2-4x-4≦0 \end{array} \right.\end{eqnarray}

を解け。

二次不等式の問題の解答・解説

まず、上の不等式を解きます。

因数分解をして、\((2x+1)(x-3)<0\)

A×B<0\(\Leftrightarrow\)「A<0かつB>0、またはA>0かつB<0」であることを、ここで用いると

「\(2x+1<0\)かつ\(x-3>0\)、または\(2x+1>0\)かつ\(x-3<0\)」

よって、「\(x<-\frac{ 1 }{ 2 }\)かつ\(x>3\)、または\(x>-\frac{ 1 }{ 2 }\)かつ\(x<3\)」

ここでは\(x<-\frac{ 1 }{ 2 }\)かつ\(x>3\)では共通部分が出てこないので

\(-\frac{ 1 }{ 2 }<x<3\)の方が求める範囲となります。

これを数直線上に表すと、

スクリーンショット 2017-06-05 23.53.26

下の不等式も同様に解きます。

因数分解をして、 \((3x+2)(x-2)≦0\)

よって、\(-\frac{ 2 }{ 3 }≦x≦2\)

これを数直線上に表すと、

スクリーンショット 2017-06-03 16.06.00

上の2つの範囲を1つの数直線上に表すと、下図のようになります。

スクリーンショット 2017-06-03 16.32.09

よって、2つの領域の共通範囲は黄緑の部分であり、\[-\frac{ 1 }{ 2 }<x≦2\]が求める不等式の範囲になります。

二次不等式では、解なし、特殊解に注意せよ!!

連立方程式には時に、2つの領域が被らない「解なし」という状態と、二つの領域がただ一点だけを共有する「特殊解」という状態が発生します。

以下では、こういった稀なケースについて例題とともに確認します。

解なしになる二次不等式の問題

連立不等式

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x+7<1-2x \\ 6x+2≧2 \end{array} \right.\end{eqnarray}

を解け。

解なしになる二次不等式の問題の解答・解説

やることは今までと同じなのですが、最終結果が少し変則的です。

上の不等式は整理すると \(3x<-6\)とできるから、\(x<-2\)

下の不等式は整理すると\(6x≧0\)とでき、\(x≧0\)

上記の2つの領域を数直線上に表すと…

スクリーンショット 2017-06-03 17.00.22

この場合2つの領域に共通範囲が存在せず、いわゆる「解なし」の状態になっています。

解答としては、連立不等式の解はないと書くだけでオッケーです。これを書くだけで立派な解答なので、数字が答えに入っていないからといって余計な情報は書かなくて大丈夫です。

特殊解を持つ二次不等式の問題

連立不等式

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 5x-7≦2x+5\\ 3x+4≦2(3x-4) \end{array} \right.\end{eqnarray}

を解け。

特殊解を持つ二次不等式の問題の解答・解説

2つの不等式を解きます。まず、上の不等式は\(3x≦12\)、したがって\(x≦4\)

下の不等式は整理して、\(3x+4≦6x-8\)

ゆえに \(-3x≦-12\) よって、\(x≧4\)

以上より、2つの領域を図示すると下図のようになります。

スクリーンショット 2017-06-03 17.35.07

この図を見てもらうとわかるのですが、2つの領域が\(x=4\)しか共有していません。この場合、連立不等式の解は\(x=4\)となります。

不等式を解いたのに、範囲で答えが出ないのは不思議な感じがしますが、自信をもって解答しましょう。

連立不等式の練習問題(標準)と解答・解説

それでは、連立不等式の練習問題を解いてみましょう。まずは、標準的なレベルの問題からです。

連立不等式の練習問題(標準)

不等式\(-2x+1<3x+4<2(3x-4)\)を解け。

連立不等式の練習問題(標準)の解答・解説

まず与式は連立不等式

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} -2x+1<3x+4・・・① \\ 3x+4<2(3x-4)・・・② \end{array} \right.\end{eqnarray}

を解く問題であると解釈できるかがポイントです。これはつまりA<B<C\(\Leftrightarrow\)A<B\(\cap\)B<Cであることを用いています。仮にA<B<Cに対してA<BとA<Cとして問題を解き進めても必要条件にしかなっておらず、適切な解が出てきません。

まずは①を解きます。やることは今までと同じなので過程を省略します。

①から、\(5x>-3\)

よって、\(x>-\frac{ 3 }{ 5 }\)・・・③

②から  \(3x>12\) ゆえに  \(x>4\)・・・④

③、④を図示して、

スクリーンショット 2017-06-03 20.27.32

よって、求めるべき連立不等式の解は\[x>4\]となります。

計算過程で「\(>\)」の記号を流れが自然になるよう使いましたが、基本的に不等号の向きは「\(<\)」で統一するようにしたほうがいいです(見た目をよくするためです)。

連立不等式の練習問題(発展)と解答・解説

次は発展問題です。文字が登場して見た目は少し複雑ですが、基本やることは同じなので、今までの内容も確認しながら最後まで解き切ってください!!

連立不等式の練習問題(発展)

aは定数とする。2つの不等式

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 3x+5>5x-1・・・① \\ 5x+2a>4-x・・・② \end{array} \right.\end{eqnarray}
を同時に満たす整数が存在し、かつそれが自然数になるとき、aの値の範囲を求めよ。

連立不等式の練習問題(発展)の解答・解説

①は具体的な\(x\)の範囲が求まるので、①からまず解きます。

①から、\(2x<6\)        よって、\(x<3\)・・・③

次に②を考えます。文字が登場しますが基本的にやることは変わりません。

②より\(6x<-2+4\)        よって、\(x>\frac{ -a+2 }{ 3 }\)・・・④

\(a\)が定まっておらず、\(a\) の値によって④の\(x\)の領域が動いてしまいます。図示すると下のようになります。

スクリーンショット 2017-06-04 2.28.36

そこで、まずは「①と②が共通範囲を持つような実数\(a\)を求める」という必要条件を出します。

それからその共通範囲に整数は自然数しか存在しない(つまり\(0\)と負の整数は共通範囲に含めてはならない)ような\(a\)の範囲をさらに絞っていくという作業を行います。

上図からわかるように①と②が共通範囲を持つような実数\(a\)の条件は\(\frac{ -a+2 }{ 3 }<3\)であり、その共通範囲の整数が自然数のみであるような条件は\[0≦\frac{ -a+2 }{ 3 }<3・・・⑤\]となります(最初の不等号にイコールがついていることに注意してください)。イメージとしては下の図になります。

スクリーンショット 2017-06-04 2.44.50

図中の黄緑色の部分が\(0\)よりも右側に存在しないと自然数の解以外の整数解が出てしまって、題意に合いません。

⑤を解いて、求めるべき\(a\)の範囲は\[-4<a≦2\]となります。

まとめ:連立不等式は様々なパターンに適応を

どうでしたか?

連立不等式は色々なところで手を替え品を替え出題されます。

冒頭にも言いましたが、連立不等式でのミスは大失点につながりかねません。ぜひ何度も練習してマスターしてください!!!

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